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《レポ・感想文》「FRUITARIUM」/煮ル果実

12月9日恵比寿ガーデンホールで開催された、煮ル果実さんのファーストワンマン「FRUITARIUM」に参戦してきました。 本当に素敵なライブだったので、忘れないように感想を残したいと思い書き始めたら、思った以上に長くなってしまいました。前半ライブレポ、後半感想という形式を取っていますが、ライブレポというよりは本当に私が見たものを記録して感じた感想も記録しており、自分語りばっかりだと思います。興奮状態だったので記憶も曖昧ですが、これが私の頭に残っている物なのでその辺りをご理解頂き、読んでいただけると嬉しいです。

この文章では、演者としての煮ル果実さんを煮ルさん、インターネットで活動するアーティストとしての煮ル果実さんを「煮ル果実」と呼びたいと思います。

「煮ル果実」は確かに存在していました。

3年前、コロナ禍によって行われるはずだった初めてのライブが中止になり、今回は満を持して開催決定したワンマンライブでした。私は地方在住で、普段から東京に行くのをかなりハードル高く設定していましたが、この時ばかりは勢いで先行抽選に応募し当選しました。ライブの前例が無いアーティストのライブを、どんな動機で「観たい」と思ってチケットを取ったのか今では記憶にありませんが、煮ルさんが素敵なものを見せてくれるという確信があって東京に向かったのは確かです。

「どんなライブをするか分からないけどオールスタンディングだからダウンとリュックは駅に預けて身軽に行こう」という私の考えは正しかったです。番号が呼ばれ、フロアに入った時は既にお客さんが前から隙間なくミチミチに入っていました。私はライブが大好きで、ライブハウスが大好きです。コロナ後もライブハウスに何度か足を運びましたが、こんなにも密度の高いライブは初めてでした。コロナで中止になったライブの復活と共に、コロナで失った物が戻ってきている感じがして、嬉しくなったのを覚えています。
開演前に1つ印象的だったのは、MVに登場したキャラクターが映った映像が流れ、それが終わった時フロアに拍手が起こったことです。「ああ、ここにいる人はみんな煮ル果実が大好きで、今すごくワクワクしているんだ」と思い、こんな幸せな空間があるのかと噛み締めていました。

Anniv.
『YESMAN』Trial ver で流れたオープニング映像が流れていました。製作された方のツイートを見るに、この映像は恐らく中止されたワンマンで流れる予定だったと推測してます。この演出で煮ルさんが3年前から抱いていた気概のようなものを感じながら、映像に映るカウントダウンを祈るような気持ちで見ていました。実際ちょっと手組んで祈っていた。

キルマー
ステージの前に張られた紗幕にMVが投影され、その後ろに煮ル果実さんの姿が透けて見えました。インターネットで姿を見せず活動する人のライブが初めてだったため、「ああ、こういうスタンスでライブをするのか」と納得したのを覚えています。Aメロから手拍子が起こり、私も手を叩いていました。サビで盛り上がりが頂点に達した時フロアの観客が次々に手を挙げ始め、私も恐る恐る手を挙げて振りました。私は純粋に音楽のみを楽しむライブの経験が浅く、ここで何をするのが正しいのかは分からなかった。それでも、気づけば抑えられなくなった昂りを手を挙げることで表現しようとしていました。最後のサビでは躊躇いなく手を挙げたし、きっと今日は最高の日になるとこの時思いました。
あとアウトロで気付いたんで見間違いかもしれませんが、主旋律ご自身で弾かれてませんでした、?凄すぎ、??

トラフィック・ジャム
(これはこの後にもずっと言えることなんですけど、)MVが投影されることでパッと何の曲が始まったか分かるのが一気にテンション上がってよかった、、黄色と黒の車が走る映像が目に焼き付いてます。煮ルさん最初の「Shut up」言ってた気がする、かっこよかった。サビで手を突き上げるのがこの曲の正しい在り方な気がして私は上げてたけど、フロア全体みんなノリノリだったなあという記憶があります。ラスサビ前にラップのように畳み掛ける部分に、強い気迫を感じました。楽曲でボーカルをしているflowerと煮ルさんが交互に歌っていることに気付いて、私は今メタとリアルの狭間にいる、、?と感動しました。初めてのことだらけで驚きぱなしだ、

ハングリーニコル
普段聴いている時の私の印象ではどちらかというと静かめな楽曲だと思っていた曲がライブでのキラーチューンに化けていて驚く、というのを私はこの日何度か経験しましたが、この曲がその1回目です。曲の最後の方では「meal」「ghoti」などの英語のフレーズの直後に入る歓声に合わせて手を挙げるような楽しみ方をしている人が見られ、私もノリノリだったしすごく楽しかったです。個人的に印象的だったのは、「君の傘が十字架に見えた」で片手を横に伸ばし、そのフレーズを歌い終わった時もう片方の手も伸ばして自身の体を十字架に見立てていた演出でした。紗幕も相まって煮ルさんの体が十字のシルエットのように映っていて、どきどきした。
曲も半ばを超え、曲の途中にある「paーri time」という掛け声の直後、フロアとステージを隔てていた紗幕がはらりと落ちました。私はこれにあまりに衝撃を受けたのですが、これは前述した「ああ、こういうスタンスでライブをするのか」という納得が一気に打ち砕かれたからです。それと同時に、私はこの演出が本当に嬉しかった。画面の向こうにいた「煮ル果実」というアーティストが、1人の人間として私たちが普段生きている世界に来てくれた気がした。いつも聴いていた楽曲の奥にはこの人がいたんだ、と私はこの時改めて感じました。

「皆さん、やっと、会えましたね」

優しい声だった。ファンにとって念願だったライブが彼にとってもようやく果たせたことだというのを実感して、胸が熱くなりました。この辺りあまり記憶が残っていないんだけど、「もうやってくれてる人もいるけど、手を叩いたり上げたりして思い思いに楽しんでください」というようなこともおっしゃっていた。お声が優しければ発言も優しかった。

マディー・マーマレード
「朝まで踊れ」「明日まで歌え」というサビのフレーズが興奮状態のフロアにぴったりハマり、一体感が増していたなあと今になって思います。フロアを順に指しながら「おひとつ飛ばさず別嬪さん」とフロアの観客を悪く言わないスタンスにほっこりしたのも束の間、あとは全員ただの!のとこは全然ハッキリ口にしてたので笑った。

サルバドール
紗幕が落ちてからMV投影の演出がなかったのであれっきりだったのかと思った所、煮ルさんとバンド隊の後ろの壁にMVが投影されていました。最初のオレンジ色が見えた瞬間、カエル潰れたみたいな変な声が私の喉奥から出ました、1番好きなんですこの曲、、、、「蟻と私と175の街」というフレーズが大好きなのでこれ歌ってる煮ルさんの姿をはっきり覚えています。「サルバドール ドール」と繰り返しながら高まっていく空気感を手拍子をしながら、全身を震わせて感じていました。ラスサビで一気に吹っ切れるというか、自棄になるというか解放される瞬間が大好きなので、MVと共にその感覚を浴びれたのが感無量でした。

「暴れていいですか?」

極楽鳥花
本当にこちらに尋ねるように、穏やかな口調でそう言った煮ルさんは、口調とは裏腹に宣言通り大暴れしてました。箇所は記憶違いの可能性が高いので違っていたら申し訳ないんですけど、Bメロのワンフレーズ直後の間奏のような場所で体勢を低くしながら服を靡かせてクルクルと回っていて、その動きがすごく激しくてかっこ良かったです。投影されたMVにぴったり合う真っ赤なライトがステージを照らして、間奏の「痛い」を連呼する箇所でシャウトのように叫んでいた煮ルさんから切実さを感じて、私はそれに浮かされるように体を揺らしていた。もうちょっと規制が緩和されたらサビの合いの手も一緒に言いたいなあと思いながら楽しんでました。

休憩タイム(転換)
水分補給のアナウンスが映し出され、1人でぼんやりと前を向いていたら、同じく1人で来ていた隣の優しいお姉さんが話しかけてくださった。「サルバドール好きなんですか?」と声を掛けられ、カエルが潰れた声を完全に聞かれていて恥ずかしくなった。大好きです。
(これは余談ですが、そのお姉さんとは終演後最寄りの駅までご一緒してもらい、そのままお別れしました。会場に入った後フロアの入口が分からず、チケットの番号よりかなり入場が遅れてしまい少し悔しさがあったのですが、優しいお姉さんと隣合えたことでその後悔は完全に消えました。素敵なご縁に感謝しています。)

〜DJTIME〜
フロアに「不審者侵入」の警告音とアナウンスが響いた。会場中に貼ってあった指名手配犯であり、ポスターの真ん中に描かれていたパイナップルの男性がDJとして登場。沢山の曲をセンス良く繋げてフロアを湧かせました。

ドクトリーヌ
盛り上がるに決まっている曲。この曲はセルフカバーがあるのでてっきり本編で演るものかと思ってましたが、バンド形態だと難しいのかもしれないなあと。憶測だけど。突然のDJ登場に戸惑いもあったけれど、この曲があまりにノリがいいので全部吹き飛んでしまいました。「スレスレの」「ペラペラの」に合わせて手振るの楽しかった、

ゴーン・ゴードン・ダウン
この曲もかなり静かな曲だと思っていたけど、サビがすごく盛り上がっていました。普段聴いてる時はあまり気にしていなかったけど、フロアで流れるとフレーズのキャッチーさが際立っていて、声出し出来たら更に楽しいだろうなあと思ったりした。

吝嗇家
歌い出ししばらくしても事態が飲み込めませんでした。まさかこの曲が、、、今この曲を聴きながらこの文章を書いているのだけど、未だにイントロのギター3回を聞く度に感情がとんでもない昂り方をします。私の体が身軽だったら、サビでぴょんぴょんと跳ねてしまいたいほどノれる曲でした。是非本編でフルも聴きたいです、、、マジでまさか聴けるとは思わず頭真っ白になってしまい、

ワーカホリック
それでいてこの繋ぎ方も天才だった、、BPMが一緒なので自然に曲が変わった感じがして一瞬戸惑いました。良すぎて、、最後の「這って詫びても」の所で床を這うようなマイムをやっていたのが印象的でした、可愛い

ANNA NO MUSICA
アイアルの勘違い

この辺り記憶がかなり曖昧なんですが(吝嗇家で脳がやられてしまったので)、ライブっぽさ、クラブっぽさに煮ルさんの曲の色が混ざった盛り上がり方をしていたなと。ANNA NO MUSICAの不穏なBメロとサビの疾走感楽しかったんだよ、曲聴いてなんとなく楽しかった記憶があるだけで実体を覚えていない、楽しい記憶があるだけで幸せですが、、、NOMAN収録楽曲かなり好きなので嬉しかったのと、表題曲ではない曲もこうした形で取り上げてくださる煮ルさんの、楽曲への愛とファンへの愛をひしひしと感じました。

フランケンX
運命

まさかのキメラ曲!DJタイムで衝撃の選曲が続いていたけど、まさか正式なコラボソングが来るとは、、、(敢えて正式という表現をしています、Secret trackはLIVING DEAD収録なので) 2曲とも繋がらず、イントロから流れてましたね。だからこそ受ける衝撃が凄かった。運命は疾走感のあるAメロにBメロからサビまで神秘的な感じが続いているんですが、サビでフロアの観客が天井に向かって手を伸ばしているのが神聖さと一体感を感じて素敵でした。歌詞も相まって。

マザーランド
驚きは続きます!!!イントロを流してからの歌い出しをスクラッチ、観客が曲に気付いた頃にしっかりFlowerが歌い始めて画面に曲名表示、、と煮ルさんこれ完全にみんなのことびっくりさせようと思ってやってませんでした!?!?びっくりしましたよ、なんせボカロverの公開初めてなので、、、Flowerの歌う「楽園じゃない」というフレーズが頭に残っています。いつか何らかの形でフルバージョンを聴きたいですね、

バーバヤーガ
照明がファンタジックなショッキングピンクになったと思えば、ファンタジーな曲が始まりました。流れたのはFlowerの方のバージョンです。この曲に合わせてノリノリになるのがすごく楽しくてはしゃいでしまい、ラスサビが繋げられ「魔法よ解けないで 解けないで」と繰り返されている時、はしゃいでいる中でこの時間は永遠に続かないことを思い出したりしました。この曲でDJTIMEが締められたのも個人的には最高だなあ、と思いました。

これはDJTIME通しての感想なんですが、私は1人の演者によってフロアの観衆が操られるのが大好きなので、手振ったり上げ下げのジェスチャーをされてフロアが一斉に従うの凄い良かったなあって思います。ノリノリで手振ってました。手振ってたのはANNA NO MUSICAだったかなあ、、、

パイナップルDJは無事警備員に捕獲され、その旨を伝えるのに加え「このトラブルによるチケットの返金は受け付けておりません」というアナウンスが流れてウケてました。

煮ルさんとバンド隊の方々、今度は幕の開いた状態で再び登場です。「変な人来ましたね〜」と他人事みたいな振る舞いをして、小さい声で「顔暑、、」と言ってました。これは全然関係ないですけれど、パイナップルDJの赤いフードと覆面の完全装備、冬とはいえ流石に暑そうでしたね。

ヘブンドープ
創・天国と地獄 三部作からここで1曲目です。普段音楽を聴いてる時とはまた別の音楽体験が出来るなあ、と今回のライブを通じて思っていたのですが、この曲が1番それを感じた気がします。例えば、1番では「快楽耽りゃヘブンヘブンドープ」でフロアの盛り上がりが最高潮に達したのですが、2番では「RIP来世全てを忘れて」からサビに達して盛り上がっており、聴くだけではなく全身で感じることによって新たな発見があるのだなあ、と思ったりしました。頭で理解していなくても音楽の盛り上がる場所で自然に体が動くのは人間の本能なのかもしれないです。
もう1つ印象的な箇所はやっぱりラスサビですね。今回のライブ、煮ルさんとボーカロイドが交互に歌ったりする演出が多く見られたのですが、ラスサビではメインのパートをFlowerが歌い、煮ルさんはラップしてました。思わぬ共存にワクワクしたのと同時に、ラップが上手すぎました。

ヲズワルド
今回のテーマが「遊園地」ということで、この曲が聴けたのが嬉しかったです。曲が違うかもしれないですが、確かこの曲で煮ルさんが語尾を上げるような個性的な歌い方をしていた記憶があります。雰囲気が出ていて素敵でした。最初からゆっくり時間をかけて盛り上がっていく曲という印象がありましたが、それが没入感を生んでステージに夢中になったのを覚えています。私はもう新成人ではありませんが、新成人の時に「新成人に合図を」というフレーズを見て嬉しくなったというよく分からない思い出があるので、そのフレーズを直接聞けて嬉しかったです。自分語りです。

ナイトルール
これもファンタジーな曲ですね。曲に入る前、ニュースの声が途切れ途切れになったような音が流れ、後から確認したところ煮ル果実さんが書かれた小説『ナイトルール』に出てきたニュースが流れるシーンと同じ音声でした。良ければ確認してみてください。https://nilfruits.com/wp-content/themes/niru_theme/nightrule.pdf この小説あまりにも好きです。
ピッチはPOPGATOのボーナストラックのセルフカバーと同じものでした。この曲のセルフカバー凄く好きで、煮ルさんの優しい声とぴったり合ってるなあと思っていたのですが、生で聴けて更に好きになってしまい、、悲しみを決意に変えて、感情を込められたラスサビに心を揺さぶられました。手に入れられないものに手を伸ばしている気持ちになりながら、それでも天井に向かって手を挙げていました。

トリコロージュ
これもライブで歌うにあたってピッチ変えてましたね、ファンタジー感が増してて凄く好きな音程でした。ライブが至高の娯楽という感覚が私の中にずっとあるので、この曲をライブで聴けるっていうのが大きな意味を持っているなあと今になって思い返すと感じます。イントロが無いと煮ルさんの声が前振りなしで響き渡って、それも凄く良かったです。声で始まって声で始まる曲なのを意識したこと無かったのですが、これも今回のライブで気付くことが出来ました。

「大切な曲です。聴いてください」

アイロニーナ
ポップでカラフルなMVの色合いとは裏腹に、凄まじい量の思いが込められていることを知っているつもりでしたが、そんな理解をゆうに超える感情を見せられました。
「信じたいんだよ」と繰り返す声が震えてるように感じて、切実さがステージから遠い私にすら伝わってきました。私に伝わったものが、本人が抱いている思いのほんの一部なのかと思うと切ないですし、それ以上に生で聴かなければ伝わらない思いを少し受け取れたのは嬉しかった。煮ルさんが感情を込めて、フロアがその感情を取り込むように盛り上がってるのにステージに映るニーナはヒースのことを抱き締め返していなくて、、という感情ぐちゃぐちゃポイント、最高でしたね、、、

YOMI
最新曲であり、三部作完結の爽やかな印象を受ける楽曲。ああ、そろそろ終わりが近づいているなとここで気付きました。あっという間だった。私はこの曲をすごくポジティブな曲だと思っているので、煮ルさんが歌うYOMIで何かが浄化された気持ちになった。何かはわからないけど、、、流れているMVで最後に2人が笑顔だった時、ああ、よかったと心の底から感じたので、煮ルさんの歌から祝福が伝わってきたのだと勝手に思っています。

Unniv.(MC)
MCの内容が記憶違いでニュアンスが変わってしまうのが嫌なんですが、本当に素敵なことをおっしゃっていたので少しだけ。これは私の訳です。
「ライブが終わって、この先本当に辛くて立ち直れない程の困難があって、音楽を聴く余裕もなくなるかもしれない。それでも、弱くて良い。弱くても良いって思える楽曲を作り続けます。生きて、必ずまた会いましょう」
あやふやで申し訳ないのですが、心を打たれたのでどうしても書きたかった。この発言で、ライブ前にツイートされてたフレーズが重みを増しました。https://twitter.com/vinegar_vinegar/status/1600793558566387713?s=46&t=8gyFvd9TRf02JJrdEIHCnA
音楽聴くのもライブ行くのも、結局生きてないと出来ないことだもんなあ、と改めて思いました。ライブは非日常で、それを楽しみにして生きていけるんだなあ、と。この辺は自分なりに色々考えたので後述します。
あと、本編かアンコールか怪しいのでここで書いてしまいますが、「今回の裏テーマは感謝」ということもおっしゃっていた。本当に優しい。この辺も色々考えて長くなりそうなので後に纏めます。
また会える日まで生きる決意が湧いたところで、本編最後の曲が始まりました。

イヱスマン
ピアノの音が切なく聞こえて、こんなに楽しいのにもう終わっちゃうんだと寂しくなりました。MVに映るclap!の文字と一緒に手拍子が出来てすごく嬉しかった。サビに屍人という単語を使うセンスが最高だと思ってたんですけど、ライブだと映えますね、、、大声で屍人!って叫んでました、心の中で。フレーズに合わせて拳を突き上げて、貪るようにこの時間を楽しんでいました。「囲まれ看取られ」の所の切実さから、ラスサビでヤケになったレベルの盛り上がり方までの変化が凄かった、屍人が呻吟に変わった時、ああ、終わってしまう、、と思いながら、ひたすら手を挙げ続けていました。

アンコール
時間的に、多分着替えてすぐ出てきてくださったんだと思う。「実際にアンコールされると嬉しいですね、、」と照れながら言っておりほっこりしたのと同時に、さっきまでの気迫とのギャップ凄いな、、と思いました。
アンコールの2曲はMVの投影無し。生身の煮ルさんを感じられたような気がします。

シュールマン
軽快なメロディの中にも、ストレートな思いが伝わってくる楽曲。Cメロでどんどん盛り上がっていくというか、感情がこもっていくというか、それが本当に良かったです。ドラムソロであつゆきさんと見つめあって、長めにのソロが終わったらラスサビを歌いだして、、、というのが「ライブ来てるなあ」という感じがしてちょっと泣きそうになった。

バンドメンバーの紹介がここでありました。自信ないけど、、。マニピュレーターのあすきーさん、どの曲でも両手挙げて楽しそうに跳ねてらっしゃって、こちらまで楽しい気分になりました。ボーカロイドの楽曲を実際に演奏するのはこちらの想像よりずっと難しいと思うんですが、それを完璧に仕上げたバンド隊と煮ルさんの力量たるや、、、

皆知ってる曲だと思います。一緒に歌ってください。みたいなことをおっしゃって、最後の曲に入りました。

紗痲
言わずと知れた煮ル果実の代表曲。今確認したらこの曲がまた再生数1位になってた。(1000万超えが2曲もあるのマジでド肝抜かれますね、、、)ステージにMVは投影されないものの、MVを連想させる大人なピンク色が煮ルさんを照らしていました。ステージのバックには煮ルさんを挟んで羽のような模様が映っており、煮ルさんがギターを持った天使のように見えて凄く綺麗だったのを覚えています。
曲の途中で「1,2,3,4ってカウントしたら、跳べる人だけで良いので跳んでもらってもいいですか?」と尋ねるシーンがありました。この期に及んで腰が低いなあって、、何言われてもこっちは従うのに、、、ラスサビの手前の盛り上がるところで煮ルさんがカウントして、それに合わせて思いっきり跳びました。マスクで跳ぶと息苦しいけど生きてる感じがして良いね、、、。結局サビの間中跳び続けて、残り僅かな時間を感じながらそれを貪るように楽しんでいました。幸せだった。
煮ルさんは、何度もこちらに手を振りながら、ステージから下手に捌けていきました。

煮ルさんが去った会場にはエンドロールが流れ、今回のライブ開催に関わった全ての人の名前が記されていました。エンドロールが終わると特報があり、ライブの開催が告知されました。もう1つ大きな情報があったのですが、これは公式で告知されていないので伏せておきます。とても大きな発表でした。
割れんばかりの拍手に包まれながら、2時間弱のライブは終わりました。

21時過ぎにライブが終わり、そのまま夜行バスで地元に帰りましたが、ほとんど寝れずセトリの音楽を夜通し聴き続けた結果、到着前にイヤホンの電池が切れました。ライブから数日経った今でも興奮が醒めず、凄く素敵なものを観ることができたんだなあと実感しています。このライブに参戦できて、本当に幸せです。

このライブを通して私は本当に沢山の衝撃を受け、その衝撃の正体を色々と考えていました。そこで考えたことをちょっと文章にしてみたいと思います。この先はライブレポとかでは無く私の感想なのでご容赦ください。

現実に拡張された「煮ル果実」の世界観
私はインターネットで活動しているアーティストのライブに行った経験がない。「煮ル果実」にとっても今回は初めてのライブであり、私はどんなライブを行うか全く想像がつかなかった。
私は中学生の頃からライブハウスが大好きだ。だからこそ驚いたのだが、私はオールスタンディングのライブハウスでこんなに凝った演出を行う人を見たことがない。大きなホールでライブを行えば、演出の幅も増えるだろう。それなのにライブハウス(ガーデンホールは厳密にはイベント施設らしいが)でライブを行い、ボカロと共に歌い、映像や照明のみならずフロアの外にはオブジェやポスター等で完璧に作り上げられた世界観に、「煮ル果実」の真髄を感じた。私は彼のこだわり抜かれた世界観が映る楽曲が大好きだ。楽曲の中のこだわりがライブという形で体感出来たのが、本当に幸せだった。
今回のライブの最後にはツアーが発表された。会場はO-WESTと梅田クワトロ、どちらも今回のガーデンホールよりキャパシティが狭い。ガーデンホールは一応イベント施設だが、こちらは両者ともれっきとしたライブハウスである。演出に制約が出てくるかもしれない。それでも、私は煮ルさんのライブハウスでライブをやる、という選択に本当にワクワクしている。
私は、オールスタンディングの形を取った今回のライブが本当に楽しかった。同じものを愛する人の温度を感じて、大好きな音楽のノリに身を任せて、体を沢山動かして全身で楽しんだ。そもそもボカロ曲をこんな形で楽しめるなんて思っていなかった。今度のツアーも今回と同じメンバーさんでのバンド形態だし、きっと映えるだろう。願わくば、煮ルさんにはライブハウスの新たな可能性をどんどん教えてほしい。4月が今から楽しみです。

「煮ル果実」は生身の人間だった話
前述の通り、私はインターネットで活動しているアーティストのライブが初めてだった。というかインターネットで活動してる人を好きになった経験もほぼない。私が今まで精力的に応援しライブに足を運んでいたアーティストは、大体ライブを活動のメインにしているバンドだった。「煮ル果実」のメインコンテンツはやはりボーカロイド楽曲で、SNSやメディア露出が多少あれど、制作された楽曲を聴いて楽しむことが主だ。私はこれを「マジックミラー」と形容している。煮ル果実が全世界に向けて作った楽曲を、消費者として聴く。マジックミラー越しにこちらから煮ル果実の活動を見ている。その視線がこちらに向くことはない。トップアイドルとファンとの距離の遠さとはまた違う形の、マジックミラーを隔てた距離がインターネット活動を行うアーティストに存在していると、そう思っていた。
しかし、今回のライブで煮ル果実は演者として、観客の前に姿を現した。観客に向かって自分の曲を歌い、「感謝している」と観客に語りかけた。会場には、足を運んだ観客を楽しませるための工夫が惜しげなく施されていた。今回のライブで、インターネットにいた「煮ル果実」というアーティストが、私たちのいる現実に現れて空間を共有し、現実で沢山のものを与えてくれたのである。これは別に私が「煮ル果実」を人間として見ていなかった、とかそういう話では無いのだが、それでも今まで楽曲を通してでしか知りえなかった彼が画面の向こうにちゃんといたんだ、と改めて実感し衝撃を受けた。観客の前に現れた煮ルさんは、何から何まで優しい人だった。ギターが上手くて、歌も上手くて、物腰が柔らかくて、ファンのことを想ってくれていた。
楽曲制作で苦しんでいた、というお話を聞くと、この人が命を懸けて作った曲を私が指一本で聴ける世界がおかしいと思っていたし、申し訳なさだっていっぱいあった。でも、「弱くても良いと思える曲を創り続けて、待っています」という言葉の通り、煮ルさんは聴く人に向かって曲を届けようとしてくれているんだ、こちらの一方通行じゃなかったんだ、と今回のライブで分かったのが、凄く嬉しかったし勝手に救われた気分になった。
この話題とは少しズレるが、個人的に凄く良いなと思った煮ルさんの発言がある。「ボーカロイドのお陰で、こんな凄い景色を見ることが出来ました。」ボカロを愛していて、その愛が現れた煮ル果実の楽曲が好きです。これからも、末永く素敵なボカロ曲を沢山世に出してほしいです。

「ライブは至高の娯楽である」ということ
ここからはマジで自分語りになるし、人によってはかなり不快に思う内容かもしれない。大前提として、私の価値観が変わったエピソードを記しているだけで、何かを否定するつもりは全くない。あくまでも私の感想です。
私にとってライブは決して特別なものではなかった。ライブを日常とする界隈にかなり長く浸かっており、そこではステージから全員の顔が見渡せた。私はライブに行くことによって、演者から自分だけに直接与えられる言葉や態度が自分の心を最も震わせることが出来ると思っていた。演者に会いにライブに行っていた。その筈だったのに、今回のライブを心の底から楽しむことが出来てびっくりしているのだ。私のいた場所からは煮ルさんの顔がほとんど見えなかったし、その事は気にもならなかった。ステージから顔が見えないぐらい沢山の人がいる空間で、同じ音楽が好きな人が集まって、音楽を楽しむ。こんなに単純で幸せなことを思い出せたのが嬉しかった。音楽でこんなに夢中にしてくれる人がいるなんて、私は幸せだと心の底から思った。
誰かに会いに行くライブは、多幸感がある反面音楽ではなく人間同士のやり取りになり感情を激しく使うので、その分終わったあとの疲労感も大きい。フロアにいる他のファンの目は気になるし、思い通りの反応が貰えず落ち込んで帰ったこともある。目的が異なるので当たり前だが、今回のライブではそういったことは全く無かった。勿論終わってしまって寂しいという思いはあるけれど、「最高の時間だった」「次のライブまで頑張ろう」と清々しい気持ちで帰路に着くことが出来た。かつて、好きだったバンドのライブに初めて足を運んだ時も、私にあったのは「好きな曲が生で聴ける」という期待と高揚だった。ライブは現実を忘れられる空間であり、日常からは遠い。それを心の支えにして頑張れる、特別な場所だ。ライブは至高の娯楽だ。まさか初めて訪れたアーティストのライブで、こんな事に気付けるなんて思ってもいなかった。この事に気付けたのは、観客を夢中にさせるために沢山の演出と最高のサウンドを準備し、観客を音楽で熱狂させた煮ルさんのお陰です。これからは激情に身を任せず、純粋に音楽を楽しんでやり直せるのかな、、と思った。なんかこれあれだね、書いてて思ったけど人の温もりを知った怪物みたいだね。音楽っていいね、、、

長々と話しましたが、衝撃の連続で価値観まで変えられてしまった最高のライブ、FRUITARIUMに参戦できたこと、本当に嬉しく思います。多分この経験、私の人生でかなり重要な日です。既にこんなに長い文章書いちゃってるし、、、。
煮ル果実さんの作る世界観が大好きで、歌詞が好きで、楽曲が大好きです。これからもしライブの開催回数が増えたらそれは本当に嬉しいですし、私はそのライブを特別なものとして楽しみたいと思います。まだ、というかこれからも煮ルさんがインターネットでの活動を続ける限り、煮ル果実をマジックミラー越しに応援しているという感覚が抜けることはないと思いますが、煮ルさんが私たちに話してくれた想いをたまに思い出しながら、これからの活動がより良いものになるようお祈りしています。こんなに夢中にしてくれる煮ル果実さんと出会えて、私は幸せです。読んでくれてありがとう。

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