エッセイのようなハードボイルド小説のような馬鹿息子的テキスト

つらつらと書いていくつもりだがなにも思いつかない、ちょうど一時間後にぴったり締め切りが来てしまう、コーヒーでハイになって、盗んだ猫がどこかへ行ったきり帰ってこないので、キャットフードは案外おいしいんじゃないのかなと一粒たべると糞まずかった、カップうどんでも食べようか、そんなときにチャイムが鳴った、誰だろう、カンカンにおこった編集者ササオかもしれない、ササオは僕の小説の世界観の理解者であるが、締め切り締め切りうるさいのでたまにタイキックを喰らわせたくなる。まだチャイムは鳴っている。いったいだれなんだよ、ばーか、受信料払ってんだぞ、こっちは、ネクタイの結び方を忘れて、新人賞の授賞式でレオス・カラックスのTシャツで登壇し、ちょっと話題になったきりで、まあまあの印税を頂いたのだが、もうそれ以降、そうだなあ、僕はパッとしないポルノ作家として本当にごく一部の人間には知られているんだな。

チャイムがうるさいので、ドアを開けた。
そこには炬燵人間がいた。

「こたつのなかでちんこたつ」と炬燵人間は4年ぶりの再会早々に馬鹿な下ネタを吐いてやがる。
「あのときの死体はどうしたんだ?」恐る恐る僕は聞いてみた。
「ちゃんとポラロイド写真を撮って、死体は冷凍庫に保存しているよ」
「よかった」
4年前にハードボイルド小説の執筆に挑戦しようと思い、いろいろあり、取材のためにある探偵事務所のある探偵と会うことになった。それが炬燵人間である。普段は浮気調査を主に調査対象にしているのだが、僕が小説家だと知ると、炬燵人間はある資料を僕に特別に見せてくれた。それが伯爵夫人疾走事件の捜査資料だ。すべての資料に目を通して、僕は確信したのだ。この事件を題材にしようと。しかしこの事件は未解決で、警察も捜査中で、やめた方がいいですと炬燵人間が言うので、お前から見せておいてなんだよ、うるさいぞ、口答えするとお前のアソコをへし折るぞ、と脅すと甲子園に出場するも二回戦で負けてしまった坊主のベンチを温めていた野球少年のような涙を流したので、僕は炬燵人間のアソコを本当にへし折ると、今度は泣いている野球少年を見て泣く偽善者徳光和夫のように悶え泣いた。すると、炬燵人間は突然、
「カップルユーチューバーなんてシネ。アーメン!!」と泣き叫んだ。
「おお、親友になろう」と僕は炬燵人間の手を取り握手した。
 伯爵夫人はどこにいったのだろう。つらつら書いてきてなんだが,、不親切で申し訳ない。初期のゴダールのようなジャンプカットのように小説でも飛ぶことは可能だろうか? 

       ★

 伯爵夫人が疾走してからもうあれから二十年たつ。未だ犯人見つからず。そして僕は未だ『(仮)伯爵夫人事件』の書き出しが思いつかないので、炬燵人間にとりあえず電話をする。
つながらなかった。
僕だって、推理小説を書きたいよ。といのが僕の今の心境ですね。






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