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No.019 ほこりを、拾います

職場の書棚近くの床にほこりが落ちてたんです。
拾える大きさだったので拾って捨てました。
でもその瞬間、ちょっと思ったんです。
捨てて良かったのかなって。

過去にも、ゴミを拾うとき何となくそんな感覚になることがありました。

ほこりに命があるとまでは言いません。
でも、そこにいたかったんじゃないかなって思うんです。
違う場所に移されたことで、びっくりしちゃったかもって。
あでも、ちゃんと捨てますけどね。(笑)
ほかの人にこんなこと言ったことはないですし。
言ったら絶対ドン引きなので。

自分がいるべき場所というか、いた場所というか。
そこにいてもいいんだって感覚。
そういう感じなのかもしれません。
あ、もしかしてドン引きしてます?

で、そのほこりを私が勝手に移動させちゃったものだから。
移動というか捨てたんですけど。(笑)

どうせほこりはまた増えますけどね。
ほっとけばたくさん出てくるし。
うちの職場、やたらほこりが多いんですよ!
毎日掃除機かけてるんですけど。
で、しょうがなく手で拾わなきゃいけなくて。
だから余計に色々考えちゃうんです。

私、中学のとき陸上やってたんです。
中長距離で、どっちかというと中距離が得意で。
県大会にも出るくらいでしたから。
でも3年になってすぐケガしたんです。
で、夏の最後の大会に出れなくて。

事故です、交通事故。
私が自転車で、向こうは車。
まあまあひどいケガでしたから、自分ですぐにわかりました。
あ、もう大会ダメだって、冷静に考えてましたね。
救急車の中でも、痛みよりもそのことばっかりで。
入院中もずっとそうでした。
泣いたら負けだと思って、絶対泣きませんでしたけど。

大会までには治ってたんで、応援には行ったんですよ。
でも苦しかった。
正直、行きたくなかった。
皆と一緒にいられたのは良かったんですけど、でも選手じゃないし。
がんばった仲間とは一緒に喜んだり泣いたりできましたけど。
でも半分くやし涙だったのかもしれません。

その悔しさをずっと引きずっちゃって。
高校では、もう陸上はやりませんでした。
全然違う競技かるた部に入りました。(笑)
あ、はい百人一首のことです。
払いは得意でしたね。
決まり字とか、暗記のほうもけっこう楽しくて。
今でもやれば半分くらいはいけますよ、多分。
というか私、運動部だったから結構いけたんですよ。
運動部出身の人も意外といましたけど。
ていうか、かるたは運動部なんですよ。
走り込みもマジでやりましたし。
陸上部が練習やってるのは意識して見ないようにしてました。

はあ・・・

まあそんな感じです。
何が言いたかったんだっけ・・・。

そう。
私はほこりなんです。
移動させられたんです。
選手からベンチへ。
そしてかるた部へ。
いるはずの場所からゴミ箱へ移動させられたんです。

捨てられた私の誇りを拾い直してあげたい。
元の場所に戻してあげたい。
そういうことですね、きっと。

でもそれはやっちゃダメ。
そこにいる価値もあったんだけど。
移動する価値もあったということだから。
そこで頑張らなきゃいけない。

だから、、、うん。
これからもほこりは拾ってごみ箱へ捨てます。
堂々と。

こんな心境で職場でごみを拾ってるって…(笑)
バレたらみんなドン引きですよね。

私の、今の誇りはここにあります。
いい職場に巡り会えたから。
しばらくここでがんばります。

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