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【プロモーション分析Vol①】 完全オンラインプログラミングスクール『Techacademy』

こんにちは、DAIです。

個人的に、他社さんのマーケティング施策からいろいろと勉強することが多く、最近、梅木さんや黒澤さんの分析系記事を読み漁っていました。

僕もよく他社さんの分析自体はしていたのですが、この際分析結果をしっかりとまとめておきたいと思ったので、書いていきたいと思います。

今回調査したのは、キラメックス株式会社のTechacademyというサービスです。プログラミングスクール市場で、比較的大きなシェアを取っていそうなスクールとなっています。

Techacademyのプロモーション分析結果から分かった推しポイント

Techacademy社のプロモーションでの推しポイントです。

①マーケティングのチャネル・ファネルがカスタマージャーニーからよく逆算されて設計されていて、UX的にも優れている点
②そのためか、おそらく許容CPAが高く、効果的に広告費をかけられている点

です。

今回は、チャネルとファネルについて、がっつりと深ぼってみていきたいと思います。

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前提:企業概要

Techacademyは株式会社キラメックスが運営するプログラミングスクール。

キラメックス社は、2010年5月にグルーポンに似たアプリをリリースしているが、競争環境が激しくなり、2012年にピボットしてオンラインプログラミングスクール事業を始めた。

成長フェーズに入るところを、2016年にユナイテッド社に子会社完全子会社としてM&Aされている。

2019年10月17日の記事によると、M&A後にはスクールの受講生数はM&A直後の30倍に増加したとのこと。※

ユナイテッド社の成長期待事業となっている。※

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M&Aは経営の重要な選択肢。キラメックスがユナイテッドのグループに入り、成長を続ける理由
ユナイテッド社の決算報告より

事業概要

Techacademy社の事業概要は、以下の通り。

①B2C 社会人向けプログラミングスクール事業 Techacademy
②B2C スカウト型社会人向け人材DB事業 Techacademy キャリア
③B2C 子供向けプログラミング教室事業 Techacademyジュニア
④B2B 研修事業 Techacademy IT研修

となる。

買収から4年経った2020年現在、すでに純利益で1億9,195万円。

・当期純利益:1億9,195万円
・利益剰余金:2億1,938万円

黒字化している。

キラメックス株式会社の決算 売上 経常利益を調べ、世間の評判を徹底調査 - 起業ログ


※起業ログより転載

市場環境の前提:

SWOT分析

Techacademy 【プロモーション分析】 - Google スプレッドシート (1)

プログラミングスクールの市場は現在かなり大きくなっていて、たくさんの企業が参入してきている。

画像23

※参考


Techacademyの強みは、以下3点だと思われる。

・完全オンライン化により、コストが低く、許容CPAを上げられそう
・企業間のネットワークにより、提携企業が他社よりも増やせそう
・ビズリーチ型人材DBビジネス, 法人研修をやっているので、アップセルが見込める

逆に弱みとしては、大資本のパワーゲームがしにくいので、大型資金調達でスタートアップが取りに来たら怖い。

ただし、プログラミングスクール自体相当労働集約モデルなので、ビジネスモデル上スケールするにつれて採用が難しくなる(人材の質の低下, エンジニアの母集団がそもそも少ない)

なので、その弱みはそこまでないのでは?と考える。

また、プログラミングスクールの市場規模は増してきていて、さらに参入障壁が低いので、競合が増えそうではある。特に大手人材エージェントは不況と相まって、参入してきそうではある。(利害相反になる可能性はある)

主なプロモーション施策

今回は、社会人向けサービスの「Techacademy」のプロモーションを分析する。

まず、リサーチした結果をもとに、想定されるカスタマージャーニーがこちら。

Techacademy 【プロモーション分析】 - Google スプレッドシート

マーケティングチャネル・ファネルを図式化したものがこちら。

画像3

主なチャネル

主なマーケティングのチャネルとしては、

①アフィリエイト広告
②Youtube広告
③リスティング広告
④ディスプレイ広告
⑤オウンドメディア
⑥Youtubeチャンネル

となっている。

主なマーケティングファネル

そこから、

①ノウハウ動画視聴(メールアドレス入力)
②無料体験
③無料カウンセリング
④受注

といったファネルを踏んでいる。

主なKPI(予想)

予想されるKPIはこんな感じなのではないかと予測する。

Techacademy 【プロモーション分析】 - Google スプレッドシート (2)

以下、それぞれのチャネル・タッチポイントや、マーケティングファネルについて深ぼっていく。

マーケティングファネル詳細

マーケティングファネルは、以下のように遷移する。

①ノウハウ動画視聴
②無料体験申込
③無料カウンセリング申込
④受注

①ノウハウ動画視聴

先ほどアップロードした、チャネルとファネルの図をみていただきたい。

画像4

ノウハウ動画へ、Youtube広告、リスティング広告、ディスプレイ広告から流している。これは個々のチャネルを見るときに、後述するが、潜在層向けのターゲティングを行っているときに、ノウハウ動画視聴へ誘導している。

ノウハウ動画は、各セグメントのニーズに合わせて、1ページのLPを作成している。メールアドレスを入れると、学習をスタートできる。ここで、まずは潜在層向けのリードを獲得している。

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メールアドレスを入力すると、限定動画を見ることができる。

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動画は、以下のカスタマージャーニーの①に刺さるようなコンテンツだった。

①初めてプログラミング学習を行う際に、何から始めていいか分からない!
②やることは分からないけど、どの教材をどう進めたらいいか分からない!
③始めてみたけど、エラーで挫折した

動画視聴後、遷移先のLPのCTA

①無料体験
②直申し込み

へ誘導している。

また、CTAのオファーとしては、

・限定訴求:N日までの申込の方に
・割引訴求:1万円OFF

としていて、次のファネルへの遷移率を上げるような施策となっている。

無料体験

無料体験申込が完了すると、以下のような画面へ。

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最初にモーダルが表示されて、「一度の無料カウンセリングは先に申し込んでおきましょう!」と出てくる。

無料体験申込から無料カウンセリングへの遷移率を上げる際にCTAで非常に参考になった。

また、無料カウンセリング来訪で、Amazonギフトカード500円プレゼントしていて、ここの遷移率を上げる施策になっている。

無料カウンセリング

UI上で日程を調整して、期日にオンライン会話ツールを利用している。無料カウンセリングでは、HPによると、なんでも質問してOKとのこと。

マーケティングファネルまとめ

再度確認するが、マーケティングファネルは、以下のようになっている。

画像22

また、それぞれのKPIはおそらく以下のように設定されている。

①ノウハウ動画LP Session:Ad
②ノウハウ動画メールアドレス入力CVR:LPO
③ノウハウ動画→無料体験CVR:期日訴求,割引訴求(1万円) 
④無料体験→無料カウンセリングCVR:Amazonギフト券500円

適当に予測の数値を入れてみたが、ここの遷移率を最適化させていっているのではないかと予想する。

Techacademy 【プロモーション分析】 - Google スプレッドシート (2)

マーケティングチャネル

次に、マーケティングチャネルを分析する。

主なチャネルは以下の通り。

①アフィリエイト広告
②Youtube広告
③リスティング広告
④ディスプレイ広告
⑤オウンドメディア
⑥Youtubeチャンネル

順番に分析していく。

①アフィリエイト広告

まず、アフィリエイト広告。

こちら、とあるASPさんのデータをもとに、競合との比較を行った。

【マーケティング分析】Techacademy - Google スプレッドシート

用語の補足になるが、アフィリエイター側の収益性を測る言葉で、EPC (Earning Per Click)がある。これを、個人的には二つに分離して、

発生EPC = 成果発生金額 / クリック数
承認EPC = 成果EPC * 承認率

と定義した。そして承認EPCを比較してみたところ、他社のスクールと比較しても比較的高いEPCになっていた。

これは、どういう意味かというと、広告主が許容CPAを上げられるので、アフィリエイターの取り分が多く、アフィリエイト記事を書いてくれやすい。だからアフィリエイト経由でのプロモーションが成功しやすいのである。

なぜ許容CPAを上げられるか推測するが、

①CPAを上げてもよいので市場シェアをとりにいくために広告費を踏んでいる説
②プロモーションのCPAがファネルの離脱率を下げていて、許容CPAが低い説
③無料体験の数が多すぎて、受注までの承認率になっていない説

があり、

・すでに黒字化している点
・個人ブログのアフィの数値でも、承認率はかなり高い点

から、②なのではないかと考えている。

アフィリエイトでのアクセスからは、ノウハウ動画を挟まずに、直接無料体験への誘導をリンクで行っている。おそらく、ナーチャリングはアフィリエイターさんがすでにしてくれていることを想定しているのであろう。

②Youtube広告

画像9

あまりYoutube広告については詳しくないので詳細な説明はしないが、おそらくリターゲティング広告と、配信面を設定して配信している。

純粋なGoogle広告でいうと、上記の画像のように、Before After系の動画を配信していて、こちらからノウハウ動画LPへ誘導している。

また、タイアップでいうとホリエモンチャンネルへの出稿を行っている。

2020年4月更新
DAIGOさんとのコラボも確認
視聴維持率、死ぬほど高い。

エンジニア求人市場 リーマンショックの時はどうだった? - YouTube

リスティング広告

Ahrefsからリスティング広告のキーワードを抽出してみた。

【マーケティング分析】Techacademy - Google スプレッドシート (1)

商標KWに関しては、公式HPへ誘導、キーワード的には潜在層向けキーワード(人工知能 作り方)から顕在層向けキーワード(Webデザイナー 未経験)などが存在する。比較的CVから遠い(=CPCが低い)キーワードにも出稿している。

これがどれくらい無料体験にまでつながるのか分からないが、もし成約しているのであれば、非常に上手なファネル設計になっていると思う。

③ディスプレイ広告

見たことはあるが、データが足りないので割愛。

⑤オウンドメディア

Techacademyはオウンドメディアにも注力している。

こちらは、AWSに関する記事のLP。ノウハウ動画LPへCTAを記事下とサイドバーに設置している。アクセスしたときは、URLパラメーターにOptimizeが入っていたので、おそらくABテストをしているはず。

AWSとは?使える代表的なサービスや学習方法まで徹底解説   TechAcademyマガジン

すでに上位が取れているキーワードをAhrefsから抽出してみた。

【マーケティング分析】Techacademy - Google スプレッドシート (2)

これからプログラミングを学ぶ人向けのキーワードでビッグキーワードが取れている。この熱量の人に、いきなり無料体験に誘導するのは、確かに難しそうなので、ノウハウ動画視聴へ誘導しているのは非常に良いと思った。

Youtubeチャンネル

TechacademyはYoutubeチャンネルもやっている。

_4  TechAcademy  テックアカデミー  - YouTube

Social Bradeから、最もよく見られている動画のデータを抽出してみた。

https://socialblade.com/youtube/user/techacademyjp

画像14

オウンドメディアと同様に、これからプログラミングを学ぼうとしている未経験者向けのコンテンツを配信している。

HTMLとは何か?という動画を見てみると、再生回数は7.8万回とかなりよいパフォーマンスを出している。

_4  1-1 HTMLとは何か?(はじめてのHTML) - YouTube

概要欄には、動画ノウハウLPへ遷移させている。

オンラインブートキャンプ無料説明会   TechAcademy  テックアカデミー

Youtubeも、オウンドメディアとほぼ同じ横展開で、リード獲得を進めていそうである。

概算だが、概要欄クリックCTRが5%、無料体験LP CVRが5%で、7.8万視聴回数だとすると、CVが

78000 * 5% * 5% =195CV

くらいは入っていそう。

日本だとまだプログラミングのノウハウに関しては、まだ競合環境が少ないので、新しいチャネルとしてすごくワークしそうだと思った。

総論:プロモーションを振り返って

Techacademyさんを分析して、マーケティングで素晴らしいなと思ったのが、カスタマージャーニーから逆算して施策を打っている点。

推測したカスタマージャーニーだが、Techacademyさんのチャネルに合わせて考えると、とてもキレイである。

Techacademy 【プロモーション分析】 - Google スプレッドシート

また、Techacademyのマーケティングは、無理な押し売り感があまりなく、ユーザーが必要なタイミングで必要な情報を設計している点で、マーケティングのUXも非常に参考になった。

気づいたら申し込んでいそうな、理想的なマーケティングチャネル・ファネル設計のように思える。

また、オウンドメディアのKWを横展して、Youtubeで動画制作している点も非常に参考になった。ちなみに海外のCodeacademyも、Youtube施策でかなりユーザー数を獲得しているので、よい施策のように思えた。

追記)

2020年5月3日

認知施策よりのプロモーションが増えている。

有名人起用して、インタビューして、そのコンテンツを広げて、おそらくリターゲティング広告で、認知施策より。




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