インターネット初心者

 タイトル通り、今回は初めてインターネットに触れたときのお話をしていく。日頃からお世話になっているインターネット。アマゾンやメルカリを利用してお金のやり取りをしたり、知らない誰かのブログを覗いたり、SNSを使って遠い地にいる相手と言葉のやり取りをしたり、ネットニュースを読んで逐一情報確認をする。今でこそ使い慣れてしまっているし、これを使わなければ生活が成り立たない人が大勢いる。そんな人達でも、インターネット初心者であった時期があるのだ。

 私が初めてインターネットに出会ったのは小学6年生のときである。当時はフラッシュ動画が流行っており、学校ではフラッシュ動画の話題が度々浮上していた。学校生活でも、放課後の部活動でも、「千葉•滋賀•佐賀」とか「キモえもん」の話で盛り上がっていたが、私は何の話か全く分からなかった。部活が終わった後に帰宅し、風呂や晩ご飯も済ませた私はまず真っ先に両親が使用していたPCの前に座った。しかし、使い方がわからない。PCを使うこと自体が初めてだったので、母から電源の入れ方やパスワードの設定まで教えて貰えた。初めてのPC、電源を入れて綺麗なホーム画面が表示されたときのあの感動は未だによく覚えている。早速私はインターネットでフラッシュ動画について検索をかけた。

 そこまでは良かった。明るいホーム画面に感動し、フラッシュ動画にときめきを抱きながら検索をかけた。そう、ここまでは確かに良かった。しかし、実際に動画を見たそのときだった。

「なんだこれ!つまんな!」

率直につまらないとPC画面の前で声を大きな出したのである。学校で盛り上がっていたくらいだったから、どんなに面白いものなのか、凄みのあるものなのかと思って期待していたが、あまりにもつまらなかったということだけはよく覚えている。勝手に期待し、勝手に萎える。とても滑稽な姿だが、こういうところに小学生の残酷さが出ていると今になって思う。動画を作った本人の前でも確実につまらないとコメントしてしまっていたかもしれない。私自身も人間としてはつまらないものだったとも思うが、それを考慮した上でも学校で流行っていたフラッシュ動画が面白いとは思えなかった。それと自分の場合は小学校2年生のときに大縄跳びで死にかけるという珍事故をやらかしていたり、下ネタが好きだったという性格もあり、それらと比較してしまっていたところがある。フラッシュ動画に関しては、語呂やリズム感が良いからそれでウケたのだろうなということくらいしか分からなかった。自分がつまらないと思ったものが何故周囲にはウケていたのか、また、どこが良かったのかを考える機会は貰えたのでフラッシュ動画を知ったのは良い経験だった。それと同時に、自分は見て楽しむ側ではなく、何かを創作していく側に回った方が良いとも確信を持った瞬間だった。創る側に回ると、あらゆるものを見る角度が変わって行くのを実感することが増えていった。

 中学生になってからはAdobeのIllustratorやPhotoshopを使い始めた。自分のAdobeアカウントを作成して、ソフトをダウンロードすることを覚えた。中学生の私は担任の顔写真をトリミングして指名手配のコラージュ画像を作って自分の教室の黒板にでかでかと目立つように貼り付ける等して面白がっていた。小学生のときはフラッシュ動画を見てあまりのつまらなさに萎えていたのに、中学生になってからはインターネットからダウンロードできるソフトを使ってしょうもないことをし始め、ソフトの間違った楽しみ方をする、実にクソがつく程に生意気な生徒だった。しかし、先述のこともあり、そんな自分ですらコラージュやネタを用意する度にこれはウケるのかと考え込む。創作したものを公にする前に、仲良くしてくれた友達にこれはどうか、どこがダメかと見せていた。創作していく上で1番やってはいけないことは「面白ぶる」ことだと、そう認識していたからだ。面白ぶって創ったものがウケなかったときの反動の怖さを、フラッシュ動画を初めて見たときのあのつまらないと思った気持ちを忘れることは無い。もし、あのときフラッシュ動画を見ていなかったら、私は自分で創ったものを面白ぶって見せびらかして冷たい視線を浴びていたはずである。しかし、フラッシュ動画を見てあのような気持ちになったから、このような確認行動を欠かさないようになった。これがインターネット初心者のときに学んだことだった。私は中学卒業後、高校では美術と野球をしていたが、成果物ができても1度も上の立場の人に見せるということをしなかった人が結構いたのは衝撃的だった。今後の人生でも成果物を公にする前に見せる機会が増えて行くので、小〜中学生にしてこれを学べて良かった。

 現在でもこれは活かされている。自分はこれまでの経験上、仕事ではイラスト作成や画像編集を多く任させて頂いているが、やはり面白ぶるのは怖いので確認を欠かすことができない。初めてやったことは学習しやすいからか、自分の頭にもインプットされやすい。インターネットに限ったことではないが、初めて自分がチャレンジすることには、常にときめいている必要があるのかもしれない。

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