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高校生の時に実際に体験した『響け!ユーフォニアム』的話

ご挨拶

皆様、こんばんは。
中学、高校、大学と青春時代をサックスに捧げた音楽大好き人間のDaiKINGです。

2024年4月7日から遂に、シリーズ最新作にして最終作となるであろう『響け!ユーフォニアム』のアニメが始まりますね!3期!
私の愛してやまない京都アニメーションの最新作!
とっても楽しみ!

という事で今回は私が高校生の時に実際に体験した『響け!ユーフォニアム』的な話をしていこうかと思います。
物語と同じくハッピーエンド、という訳ではないのですが、この経験から学んだ教訓を皆様に共有できたらと思います。
それでは、はじまりはじまり。


『響け!ユーフォニアム』から

『響け!ユーフォニアム』のアニメ第1期では、全体を通して最大の山場となる次のようなエピソードがある。


主人公(黄前久美子)と同じく京都の北宇治高校吹奏楽部員で、その親友でもあるトランペット吹きの女の子(高坂麗奈)。
彼女はプロのトランペット奏者を父に持ち、幼少期から音楽に触れて育ったため、高校1年生ながら卓越したトランペットの演奏技術の持ち主だ。

私が今からする話は、この主人公の親友である高坂麗奈に起きたひと夏の青春の話、そしてそれに関連する私の青春の話だ。


ところで、吹奏楽部には野球部における夏の甲子園と同様、『吹奏楽コンクール』という毎年夏に開催される大会がある。
支部大会、県大会、全国大会とそれぞれで良い演奏を披露して上に進み、最高の演奏を披露した吹奏楽部を決める大会だ。大会は中学校、高等学校、大学・職場一般の3部に分かれており、その規模の大きさが伺える。
この吹奏楽コンクールは全国の吹奏楽部が参加する日本国内最大規模のコンクールの場であり、そしてそれはパフォーマンスで観客を楽しませる文化祭や演奏会とは違って、純粋な演奏の優劣を決する場だ。

吹奏楽コンクールには人数制限があり、ある程度の部員を擁する吹奏楽部は事前に部内でコンクールに向けてオーディションを行い、メンバーを選抜する。
とは言え野球程少人数の枠という訳でもないため、基本的には3年生全員、2年生選抜数名、1年生がまれに数名となる事が多いのではないか、というのがベテラン元吹奏楽部員としての私見だ。ちなみにこの場合の1年生というのは余程上手いか、余程人が足りていないかのどちらかであることが多い。

例外として、全国大会常連校は学年関係なく完全オーディション制の事が多い。
逆に一番最初の支部大会では、学校の規模によって人数不足のため、春に入学して初めて楽器を触った1年生が全員出場しているなどといった事もある。


吹奏楽コンクールの概要に触れて少し脱線してしまったが、彼女達、北宇治高校吹奏楽部も夏にこの吹奏楽コンクールに出場予定である。
実力で他を圧倒する彼女は、1年生ながらコンクールメンバーとなり、吹奏楽コンクールにおける課題曲中のソロパート(1名のみが演奏する)の演奏権を3年生の先輩1名(中世古香織)と争う事となる。

3年生は吹奏楽コンクールがどんな結果であれ当然今年度で引退となるため、まだ次(来年以降)のある2年生以下の他のトランペットパートの部員は先輩にその役目を譲る。
しかし彼女は、吹奏楽コンクールは演奏技術の優劣を決する大会なのだから年功序列ではなく、純粋な実力で演奏者を決定すべきだ、としてこれを譲らない。


『年功序列』VS『実力主義』


両者共により良い演奏を目指して日々練習を重ねるが、結局のところ最終的な決定は部員全員による投票に依ることとなる。
部員全員がホールに集まり、両者がそれぞれ全員の前で1人で演奏し、皆が各々より優れた奏者だと思う方に挙手をする。

3年生の先輩も高校生としては申し分のない非常に優れた演奏を見せるが、1年生の彼女の格が違い過ぎた。
プロに匹敵する演奏スキルを見せつけ、得票数は1年生が3年生を下した。

最後に顧問(高校教師)が3年生に対して
「あなたはソロを吹きますか?」
と問い、3年生の先輩が
「吹かないです。吹けないです。」
と答え、ソロ演奏者は1年生である高坂麗奈へと決まる。


より良い演奏という同じ目標に向かいつつも、両者の立場の違いから生まれる葛藤が見事に描かれた秀逸なエピソードだ。


DaiKINGの体験

実はこれに非常に良く似た話が私にもある。


時は某年夏。
当時、DaiKINGは高校2年生。
某自称進学校吹奏楽部所属のアルトサックス吹き。
同部のアルトサックス吹きには他に3年生が2人と2年生が私の他にもう1人、そして1年生が1人いる。
3年生の先輩2人と私は中学時代から吹奏楽部に所属していた経験者であり、もう1人の2年生と1年生は高校から吹奏楽部に所属し、サックスと出会った初心者だ。


高校2年生の夏、吹奏楽コンクールに向けて日々練習中。
選抜メンバーはオーディションを終え、人数制限との兼ね合いで3年生2人と私を含む2年生2人に決まっていた。

そして奇しくも『響け!ユーフォニアム』同様、課題曲中にはアルトサックスのソロパートがあり、4人の中の誰かがそれを担当することになる。

もう1人の2年生は前述の通りまだサックス歴は1年ちょっとで、元々ソロを好まない本人の強い希望も相まってソロ担当選抜からは辞退した。
それに対してDaiKING含む他3人は中学から吹奏楽を続けている経験者。
したがって先輩A、先輩B、DaiKINGの中からソロ担当者を決めることになった。
私の場合は、私がやりたい!と言った訳ではなく(やりたくない!と言った訳でもないが)、当然この3人の中の誰かだね、という事が3人のみならず部全体で暗黙の了解のようになっていた。

どちらの先輩もとても上手い(1人はその後音大に進学することになる実力者)が、3人の実力は拮抗。
聞くところによると各々上手いが個性のベクトルが違うというのが正確な第三者的分析のようだ。
私もその分析には、当時も今も非常に納得がいく。
最終的な決定権を有する顧問(高校教員)でさえもソロ担当者を決めあぐねている様子だった。


そこで話はまさに『響け!ユーフォニアム』と同じ流れを辿ることとなる。
なかなかソロ担当者が決まらないため、最終的に顧問と部員全員が揃った場で3人がソロパートの演奏を各々行い、一番優れていたと思う者に手を挙げて得票数の多かった者をソロ担当者とすることとなった。

劇中と同じようにホールに集まった部員全員は目を瞑り(この点は、『響け!ユーフォニアム』より中立性が高かった。)、我々3人がランダムにソロパートを演奏。
その後部員それぞれが良いと思った人に手を挙げ、それを顧問が集計し、最多得票者がソロ担当者となる流れだ。


結果。

各々ある程度票は分かれはしたが、最多得票者は
DaiKINGに決まった。


しかしここで顧問がこれまで積み上げてきた時間と苦労を無に帰す発言をする。


「そうか、皆はDaiKINGの演奏が一番いいか。そうだな。確かに今の演奏だったらDaiKINGが一番かもな。でもDaiKINGの演奏にもまだまだ改善の余地はあるよな。全国大会で金賞を取るのに、これが完璧って訳では絶対無いはずだ。よし、もう少し練習してもらってまた考えてみよう。」


と言ってその会はお開きになった。
この言葉は10年以上経った今も尚、顧問の声と共に鮮明に思い出せるくらい私の記憶に残っている。


あれ?結局決まらないの?
と思い数日が経ち、蓋を開けてみれば知らぬ間にソロ担当者は先輩のうちの一人に決まっていた。
顧問と先輩2人や3年生部員、外部指導者との間で何らかの話合いがあったような噂を耳にしたが、正確な事は分からないままだった。


今となっては

私は先輩2人が本当に大好きだったし尊敬もしていた。
(高校生時代は一緒に遊んだり部活後にご飯を食べたりしたし、大学生になっても泊まりで遊んだ事があるくらいだ。)
2人は不正をしてソロパート担当者になるような人では断じて無いし、結果的にソロパート担当者が先輩に決まった事に不満は無い。
先輩の素晴らしい演奏は自分の演奏には無いものが沢山あり、憧れでもあった。
華々しい大会のステージ上で先輩が卓越したソロを披露し、その一番近くである真横でそれを聴きながら共に一曲を作り上げる栄誉は他にない。


実の所、私が吹奏楽部に入部したのはサックスが上手く吹けるプレイヤーになりたかったからであって、吹奏楽コンクール自体にそこまで思い入れはない。
これは完全に個人の意見であるが、音楽とは文字通り音を楽しむものであって、音を競うものではない、と感じたからだ。
この点は私と『響け!ユーフォニアム』の高坂麗奈との明確な違いだ。

だから私は最初から年功序列で先輩が吹くと言われても、全然気にはならない。
なぜならそういう事なら来年は自分の番で順番なのだし、と思う。とても画一的で平等な基準だとも思う。

もちろん逆に実力勝負だと言われても、それでも構わない。
世の中、往々にしてそのような事はあるし、結果として全体的な演奏もより良いものになるはずだ。

各々の代の流儀(年功序列か実力主義か)で吹奏楽コンクールを経験することも部員の自主性という観点では尊重されるべき事だ。『響け!ユーフォニアム』劇中でも、部内に生まれる同様の葛藤は見事に描写されている。


だが、顧問の取った選択は違った。
最初に実力勝負だと銘打って部員全員を集めて我々3名を試したにもかかわらず、蓋を開けてみればそれは3年生に大義を与えるための儀式に過ぎず、それに反した結果は反故にされ、その内実は年功序列だったのだ。

これはあまりにも我々を馬鹿にしすぎている気がした。

仲間である部員達を前に緊張の中、真面目に真摯に自分の実力を最大限発揮するように演奏をした我々3人。
特に部員全員の前で後輩と競い、その優劣を詳らかにされる先輩2人。
練習時間を削って集まり、決め難い判断をしてくれた部員達。
最終的に私に投票してくれた3年生の先輩方の事を思うと非常にありがたくもあるが、心苦しくもあった。


ソロパート担当者をどうやって決めるかの方針は本当に考え方次第で、どちらにも正義があると思う。
この点については恐らく全国のあらゆる吹奏楽部で毎年対立が起きていることだろう。
だから私はその両者の是非優劣についてここで述べることはしない。

しかし自分の隠れた希望を実現するために、本物の「正義」を犠牲に偽物の 「正義」濫用する行為は、酷く醜いものに私は感じた。


終わりに

以上、私DaiKINGが高校生の時に実際に体験した『響け!ユーフォニアム』アニメ第1期によく似ているが、アニメとは違って後味の悪いでした…!笑
とても長くなってしまいましたが、最後まで読んで下さって本当にありがとうございました。

この一件はモヤッとする話でしたが、先輩卒業後はもうお前いいだろ!ってくらいソロを吹かせてもらったし(前述の通り、相方はソロが苦手なため)、先輩達は今も変わらずずっと大好きだし、顧問も好きなところは他に沢山ある人です。
ちなみに顧問はトム・クルーズ似のイケオジ。
多分教師と高校生含めて学校で一番のイケメン。
第一志望の大学に合格した際は、飛び跳ねてハグして喜んでくれたな〜笑


まとめると、
①年功序列のような伝統と実力のバトルって結構あるよな〜!
②どっちも各々の正義があるからそこは忘れずにいたいね!
③でもその正義を形骸化させてはならないよな!
④そもそもそうなる前にちゃんと色々考えて決めておこう!



と思ったお話でしたm(_ _)m
このまとめの部分、皆様の日常生活の中で何かヒントになれば幸いです。
改めて、最後まで読んで下さってありがとうございました!


おまけの話

こんな所まで読んで下さってありがとうございます。
そんな優しさ溢れる読者のあなたにもう1つ、私の正義(音楽道)と顧問の正義バトルについての小話を。

実はこの事件の翌年夏、高校3年生となったDaiKINGはまた夏の吹奏楽コンクールに向けて日々練習をしておりました。

そして訪れる毎年恒例のオーディション。

部員全員にオーディションを受ける権利があるのですが、結局選ばれるのは毎年3年生全員と2年生数名、そして1年生ごく数名。
もうお分かりかもしれませんが、うちの部は基本的に実力主義の皮を被った年功序列になっていました。
よく言えば混合型とも言えるかもしれませんが。
オーディションは行うが、3年生はなんだかんだで全員合格。
2年生以下は枠との兼ね合いで純粋な実力主義を強いられていました。

毎日頑張って、頑張って、頑張ってオーディションに臨んだ2年生の中には、最終的に吹奏楽コンクールに出られない事となり、毎年大粒の涙を流す子がたくさんいます。
(私は運良く3年間毎年コンクールに出場した人間だが、正直これが毎年見ていて本当に辛かった。)

そんな中、サックスパートのパートリーダーで、ある程度実力もあって、当然選ばれる事は分かっている3年生の私。

なんだか形だけだなぁ、と思ってしまった私はコンクールやオーディションというものに嫌気がさし、オーディションをボイコットしました。
高校3年生の夏、何かこういった形だけの、上辺だけのモノに反旗を翻したかったのかもしれません。

今考えると非常にタチの悪いクソガキ的発想ですが、アルトサックスパートの実力的に私が吹奏楽コンクールに出ないとなると相当困る事になるだろう、これでなにか顧問や部の体質に問題提起ができないか、と考えたのです。
顧問だけじゃなくて他の部員達も困る事を考えられないのがまさにクソガキ。

しかしそれが本当に名実ともに清廉潔白なオーディションなら、辞退する事も当然の権利としてあるだろうし、私よりも吹奏楽コンクールに出たい誰かもう1人が、私の代わりに夢を叶えることができると思ったからです。


この話のオチ。

結局の所、その後顧問に呼び出され
なんでオーディション出ないんだ、高校生最後のコンクールなんだから出なさい!
と諭され、特にそれ以上は反論することなくオーディションを受け、選抜メンバーとして高校生活最後の吹奏楽コンクールを思いっきり楽しんだDaiKINGでした。

優等生の高校生DaiKINGにはこれくらいが精一杯の反抗でしたとさ。


貴重な3年間の高校生活で、吹奏楽部での大切な経験を部員全員にさせてあげたかったという顧問の気持ちに気付くのはもう少しあとのおはなし。


長い長い自分語りに付き合って下さって本当にありがとうございました…!
高校生時代の私の小さな正義についてのお話でした。
最後まで読んで下さって本当にありがとうございました。

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