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駒込駅東口限界ラーメン商業施設【閉店後追記あり】

 駒込駅東口限界ラーメン商業施設こと「東京ラーメン館 七福神 駒込総本店」(※2021/7/28追記:すでに閉店しています。閉店後のことも、最後に少し追記しています)。うだうだ言いつつ約2か月かけてひと通り制覇しましたので、つらつらと書いてひとつの区切りとしようと思います。年内に終わらせられてよかったね。

・駒込駅東口限界ラーメン商業施設とは
 駒込駅東口から徒歩数分くらいのところにあるラーメン商業施設です。2020年10月の終わりくらいにオープンして、オープンから数日間は大黒天もびっくりのラーメン無料バラマキを行い閑静な住宅街に謎の大行列を形成しました。お前らどっから出てきたんやというくらい人間がいました(当社比)。あとは上掲のツイートの通りです。

・駒込駅東口という立地
 JR山手線という日本最強の在来線にあって、「降りたことがない駅」トップであるという駒込駅。でも一応地下鉄南北線との乗り換えができますし、改札内に書店、改札外にコージーコーナーがあり、駅ビルにはホテルメッツもありますが、そっちじゃないほうの改札が東口です(南北線駒込駅には該当の出口がないので、3番出口か4番出口あたりから出てGoogleマップに案内してもらってください)。間違って出てしまったら最後、よくわからない30年くらい前の街並みに放り出されます。出て左に行くと駒込銀座商店街というのがあって多少明るいのですが、右に行ってしまうとアザレア通りというもうちょっと密度が低い商店街があります。東京の象徴ともいえる山手線の沿線を狭義の東京とするならば、明らかに駒込駅東口はその最果ての地にあります。その意味で「限界」と申しております。それ以上でも以下でもありません。でもちなみに駒込より田端のほうがより限界だと思います。
 駒込は別に最寄りの駅というわけではないのですが、数年前に友人が住んでいたことからアザレア通りの店に端から端まで入る勢いで飲みまくっていた土地ということもあって身近に感じる場所でもあって、自宅からも多少近いのでたまに歩くことがあります。そしたら何か月か前に、新しいビルが建てられていて、こんなところに何が入居するんだろう、と思ったところ、ある日ババーンと1棟丸ごとラーメン商業施設になっておりました。その衝撃たるや。そもそもアザレア通りは三菱UFJ銀行のATMが撤退したところに入ったマッサージ屋がいちばん近代的な建物であったくらいの土地なのです(知らんけど)。こんなところにこんなものがあっていいはずがない。ということで、無料バラマキ期間が終わって潮が引いた頃を見計らって潜入してみることにしました。

・6F「博多豚骨ラーメン<ばってんまる>」

 どんなもんかな、と思って足を運び、さて何階にしようかな、と思いました。おそらくどうせ全フロア行く気がするから1Fから攻めようかな、とも考えましたが、1Fが「醤油も味噌も!」みたいな感じだったことにどことなく地雷臭を感じて、上から行くことにしました。
 新築のビルの綺麗なエレベーターのドアが開くとすぐ店舗。左手に券売機があり、数席のカウンターとテーブル席がいくつかあります(雑)。フロアは割と狭いです。入口には消毒用アルコールが置いてあるほかサーマルカメラでの検温も求められて"現代"を感じましたが、だったらSuicaかPayPayくらい使わせてくれとも思いました(現金のみ)。ちなみにサーマルカメラは少しの時期を経ていまはほぼただ立っているだけになっている気がします。店内が綺麗なのはいいんですけど、カラフルなメニュー表(SNSアカウントのQRコードつき)や居並ぶ外国人の店員に現代の"""資本"""の匂いを早くも嗅ぎ取りました。
 食べログのできるだけ読みたくないレビューみたいな文章を長々と書いてしまい申し訳ありません。味は普通です。豚骨ラーメンは一部の有名チェーンを除くと比較的低廉な価格である傾向とはいえ、都内(※ただし限界)で650円は良心的な値段だと思いました。職場の近くとかにあったらたまに通うかもしれません。ただ、背脂めしはあまりにもチューブにんにくの味しかしなくて、うーんとなりました。これならライス(150円)・小ライス(100円)のほうが気持ちよく食べられます。替玉(120円)もありますが、替玉は麺の質がよりダイレクトに出てしまうので、食べてないですけどちょっと不安です。次に行ったとしてもどうせ炭水化物をとるならライスにしてしまうかもしれません。
 ちなみに、駒込銀座通りには博多ラーメン勇極という店があり、豚骨ラーメン600円でライスが無料おかわり自由です(ちょっと調べてみたところ数年で餃子屋→家系→博多豚骨と店が変遷しているっぽくて、それはそれで厳しいなという気持ちになりますが)。また、アザレア通りのいちばん向こうには麺やあかつきというライトな二郎系ラーメンの店があるんですけど、そこも謎に細麺の豚骨ラーメンを出しています。

・5F「街の駄菓子屋 こまや」
 あまりにも謎すぎる突然の駄菓子屋。例えば露面にあったら入ってみたかもしれないけど、エレベーターで5Fを押して下りないといけないというのが心理的に厳しいので覗いてもいません。混雑時は1Fでは誘導の人が「何階ですか?」と聞いてくるし、帰りにも店員さんがエレベーターの下ボタンを押してくれるので、2-4Fだと帰りに寄ることも許してくれません。誰が行っているのか。まったくわからない。こうなってしまうと怖くて行けない。家族連れ(いないことはない)なら寄るかもしれません。
 ただまあ、店員1人でたぶん回るし在庫管理も厳しくないと推測されるので、ランニングコストが賃料プラスアルファくらいですんでいるのかもしれません。駄菓子問屋は確か日暮里にあったし。あと、各フロアは基本厨房と席でいっぱいいっぱいなので、事務所やバックヤード的なものがあるのかもしれないといま書きながら思いました(やっぱり怖いので確かめには行けませんが)。

・4F「本格四川坦々麺<皇龍>」

 ツイートを見てみると2日後に行ってますね。興味は引かれていたんだと思います。レイアウトは6Fとまったく一緒(ちなみに2Fも3Fも一緒)、メニュー表のフォーマットも一緒で、なるほどだいたいわかった、となりました。ちなみにトイレは偶数階にしかありません。それでも器はジャンルにあわせて割と凝っていて(以降の写真もご覧ください)、こだわりみたいなものも感じなくはないです。
 豚骨ラーメンより担々麺が高いという順序で考えると「それはそうね」という気分になりますが(これもまあ別にさしたる根拠はありませんが)、できたばかりの店に850円はちょっと冒険という気もします(僕がラーメン屋に出す値段としては標準くらいなのですが、もうちょっと金銭感覚が厳しい人も多いのではないかと思います)。味にはそれなりに厚みがあり、上述の通りですが辛すぎずしびれも強すぎず、しかし足すこともでき、大衆向けのつくりになっていると思います(担々麺専門店みたいなところって、しびれレベルが1から5まで選べるけど普通は3以上だよな? みたいなほんのり怖いノリのところが多くないですか?)。
 下北丼は本当に写真の通りとしか言いようがないんですけど、「下北」というのはどうやら下北半島のことを指しており、青森で有名な地元のタレみたいなやつを使っているらしいです(「下北丼」で検索すると下北沢のすた丼のページばかりがヒットしてうるさい黙れという気持ちになりました。メジャーな丼ということではないようです)。じゃあなんで担々麺にそれなの、という話になりますが、単に1-4Fで共通のメニューとして出しているだけのようです。4F固有のメニューとしてルーローハンがあった気がするので、それを食べればよかったなと思います。その他、ちょっとした中華料理的なものがメニューにありますが、他フロアと共通の厨房でどうやって作っているのかよくわからなくて、食べていませんがそういう怖さがあります。下北丼は写真がよく盛れていた(婉曲表現)ので一瞬ガッカリ感がありましたが、背脂丼と同じ値段と考えると悪くないような気がしてきました。
 ちなみに担々麺ということですと、線路に沿ったところに担々麺 辣椒漢という店があり、専門店として本格的な担々麺を出しているほか、汁なしも食べられます。また、先ほどの麺やあかつきは担々麺も出しています。なんやそれ謎すぎるやろ(基本的に二郎系の店なので食べている人は見たことないです)。

・3F「駒込醤油ラーメン<宝勝軒>」

 だいたいわかった、という気持ちで訪問したところとんでもないことになりました。ラーメンって基本原価率が高いらしいのでそれ自体の是非がどうかという話はあるのですが、やっぱり「1000円の壁」というものは少なくとも気持ちの上では高くて、これを超えてくるのはかなりこだわっている有名店だったり、トッピングを欲張った場合だったりという感覚があるので、基本の味でそこに到達してしまうというのはちょっとヤバいという印象をもちます。
 そもそもなんですけどこの施設には構造的なヤバさがあって、店前にはきれいなパネルはあるけどそれぞれの値段は原則わからないようになっています。なんとなくの気持ちでエレベーターに乗って何階かに行き、ドアが開いたらいきなり店舗内で券売機がドン。エレベーターのドアが閉まる。そしたらラーメンが1000円、さあどうする。ヤバい(イメージなんですけど、風俗ビルってこういう感じじゃないですか?)。
 ラーメンといわれると独身男性の食べ物というイメージばかりが僕はあったのですが、特にあっさりしたラーメンにはファミリー層にもわりかし需要があって、近隣でいうとアザレア通りを抜けた先のもはや何もないところにある自家製麺ほんまとか、西日暮里の麺屋 義、千駄木のよみせ通りにある麺やひだまりあたりの淡麗系な無化調のラーメン屋さんに入ると、カップルや親子連れに囲まれてしまって驚くことがあります。山手と二郎ばかり食べていた頃には気づきませんでした。
 ひるがえって、例えば家族連れが日曜日だし新しくできた限界ラーメン商業施設でちょっとラーメンでも食べてみようか、となったときに、なんとなくこの階が選ばれてしまうような気がするんですよ。実際公式Twitterは一番人気とか言ってました。なんとなくの気持ちでエレベーターに乗って3Fに行き、ドアが開いたらいきなり店舗内で券売機がドン。エレベーターのドアが閉まる。そしたらラーメンが1000円。お父さんお母さんいまどんな気持ち? ってことです。なんでここまで蛇蝎のごとく3Fだけ(いうほど3Fだけか?)ボロクソに言っているかというと、まさにそういう家族連れを目の当たりにしたからなんですよ。N=1なのでめちゃくちゃ偏見なんですけど、でもそんなに的外れなことは言っていないつもりです。
 僕も値付けに若干(またはそれ以上に)引きながら券売機のボタンを押し(それでも味玉を乗せているのは独身男性の甘えた金銭感覚というほかありません)、丼が来てみるとまあやりたいことはわかりました。上述の通りなのですが、丼とレンゲがバカデカいんです。帰結としてスープがとにかく多い。麺量は普通と書きましたがちょっと多かったようにも思います。でもトッピングは普通で、丼がデカいぶんかなり寂しく感じます。ちなみにトッピング四種盛り(チャーシュー・メンマ・味玉・のり)は500円。これを乗せたら1500円。神名備のラーメンが余裕で食べられる値段になります。もはや悪い冗談です(四種盛りは各階[4F除く?]共通。一応言っておくと僕自身は注文したわけではないので分量などはわかりません。が、よくあるラーメン屋の「特製」の値段と比べてしまうと高く見えてしまうのは確かです。銀座じゃなくて最果ての地にあるんだぞ)。そもそもパネルを見てこの階にくる人たちは、値段もそうですがこの分量を求めていないし予想もしていないでしょう。写真のパネルを並べると丼の大きさもほとんどわからずもはやドッキリという趣があります。せめて店名だけでもクソデカどんぶり亭みたいな感じに改名するべきではないでしょうか。味は魚介の風味がしっかりしていた気がするんですけど、正直それ以外の要素が強すぎてあまり覚えていません。
 正直に申しますとこの3Fの話をしたくてnoteを書いているようなところがあります。ほぼ目的は達成したのでいま結論を申し上げますと、なんでもいいからラーメンが1食食べたいねという気持ちなら6Fを、ラーメンといいつつ担々麺でもいいなら4Fを、とにかく腹ごしらえがしたいなら1Fのランチセットを、駒込駅東口限界ラーメン商業施設の"""神髄"""を味わいたいなら3Fをおすすめします(2Fの話もしてやれよ)。そもそもなぜ駒込駅東口限界ラーメン商業施設に行くのかという点と向き合う必要も感じますが。
 もう疲れてきたのですがちなみにいうと、あっさりしたラーメンということですと前述の自家製麺ほんまが近隣にあるほか(塩は少々濃いですが醤油はまさに淡麗系です)、醤油ラーメンだと至近にガンコンヌードルというお店もあり(メニューのバリエーションは他にもかなりあります)、魚介系ということでも南口のロータリーあたりに大勝軒系の麺屋ごとうがあります。

・2F「札幌味噌ラーメン<味噌のひぐま>」

 すみませんがここからはほぼ消化試合となります。このときは休日の昼間だったのですがけっこう賑わっていて、2Fに行って食券を買ったら席がないので非常階段を上がって3Fの席に座ってくれと言われました。こういうシステムのハズレの居酒屋ビルに池袋と新橋で入ったことがあります。ちなみに3Fは割とすいていました。一番人気とはなんだったのか。先ほど書いた1000円のクソデカラーメンにエンカウントした家族連れはこのとき見かけました。
 味噌ラーメン880円は少々お高めの感もありますが、感覚が麻痺しているのでもうよくわかりません。いま改めて見てみると3Fと6Fでは「味玉そば」「味玉ラーメン」の扱いで100円だった味玉が単品扱いで120円ですね(3Fと6Fでも単品のトッピングとして買うと120円)。2Fはメニューのバリエーションが豊富だったように思うので、券売機(小さいタイプだった)のボタン数の制約があったのかもしれません(確かめもせずに適当に言っています)。なんやそれ。でも注文制の1Fでも単品120円しかなかった。ほんまそういうとこやぞ(こうやって細かいところをネチネチ言い出してしまうところに自らの独身異常男性性を感じます。気をつけたいです)。
 食べたときは「思ってたのと違った」という印象が強くて、ツイートにもそんな感じのことを書いてしまいましたが、最近都下の有名な札幌味噌ラーメンのお店に行く機会があって、そことまあまあ近いものだったようにも思えてきました。ひとくちに札幌味噌ラーメンといっても幅があるのだと思いますが、ある部分には近づけて作っているということなのかもしれません。脂分で食わせる感じというのは書いた通りで、味噌が立っているような味を期待していくと少々違ってしまうと思います(その味は1Fの味噌ラーメンが近いです)。札幌で味噌ラーメンを食べたことは2-3回くらいあるはずなのですが、どんなだったか忘れてしまいました。
 開店当初に施設内のこの店にクローズアップしてテレビの取材を受けたことがあるようです。確かにご当地色の強いジャンルで、博多豚骨よりは少なくとも都内ではレア。メニューにもバリエーションがあり、確かに1店舗メディアに出すならここになるのかなとも思います。カレー味噌ラーメンってどんな味なんでしょうね。
 ちなみにいうと、駒込銀座通りのほうにらーめん むつみ屋 駒込店という味噌ラーメンのお店があります。6Fから見切り発車でやってきた近隣情報紹介ですが、結局最後までやってこられて驚いています(1Fは2F・3Fとジャンルが被るといえば被るのでなし)。こうして見るとラーメン屋が多い土地ですね。そんなところに縦に5店舗もラーメン屋を増やすなよと一瞬思ってしまいますが、それだけラーメンを食べる土壌があるということだったのかもしれません。

・1F「中華そば<小野商店>」(醤油ラーメン)

 先にもちょっと書きましたが、「醤油ラーメンも塩ラーメンも!」「お酒を飲んでラーメンも食べられる!」みたいなコンセプトでやっている店舗で、そういうお店はたいていうまくもまずくもないものしか出てこない印象があるので、最後に回すために上から訪問していったという経緯があります。軒先にも席がある開放的な店舗で(キッチンが広くてカウンターがなく、室内だけだと席がぜんぜん足りない)、券売機制ではなく注文制をとっており、1Fで入りやすいということも加えて、ちょい飲みの用途に使いやすいたてつけには確かになっています(個人経営の飲み屋がけっこうあるという土地柄でもあります。前述の通り、僕も以前はけっこうお世話になりました)。
 ただまあ、ここでは別に飲まないだろうという気持ちにもなってしまいます。2F以上にはない生ビールのサーバーなどもありますが、別に居酒屋メニューが充実しているわけでもないし、しっかり飲むなら居酒屋に行くし、ちょっと飲むなら2F以上で瓶ビールにしてもさほど効用は変わらないように思ってしまいます。トイレに行くとなると2Fに上がらないといけないらしいのもしんどいポイントです。餃子なんかも出していますが、言えば2F以上にも持ってきてもらえると貼り紙がしてありましたし。なによりここまで約1か月を要し、夜の訪問だったということもありけっこう寒く、それが厳しかったです。屋台でもないのに震えてラーメン食いたくないよ、というのが正直なところです。
 さて醤油ラーメンです。バカ舌なのでめったなことは言えないのですが、鶏ガラと煮干しがベースということで、ジャンルとしては3Fとかぶっているという感じがありました。一応中太麺と細麺が選べるという個性があるほか、どんぶりがクソデカでなく、値段も800円を切っているので、過ごしやすい気候であれば相対的に悪くないとも思いました。

・1F「中華そば<小野商店>」(味噌ラーメン)

 さて、ここまできたところで少々間が空いて、先週ようやく最後に1Fの味噌ラーメンを食べてきました。ランチ時間帯の訪問で、店内はそこそこ賑わっていました。狭い店内とはいえ、駒込駅東口のどこにそんなに人がいるのかわからないのですが、ともかくお昼休みにラーメンでも食べるか、という需要の取り込みには一定程度成功しているようです。客層として、あまりこだわりがないのでオープンで入りやすい1Fに入った、という人が多かったという印象でした。
 ランチ限定のセットが最初からあったものなのかどうかよくわかりません。少なくとも別にそこまでリピートはしないだろうから、と半チャーハンと半餃子まで欲張ってつけました。ラーメンの価格を固定して計算すると、半チャーハンは180円、半餃子は150円ということになり、平時の値付けの半分になります。他の選択肢と比べてもチャーハンの値下げ幅は大きく、また分量もかなりあり、満腹になれるという意味でお得感はありました。餃子も3個で150円となると別にこんなものかなと思いますが、普段6個を600円(3個を300円)で出しているという事実には腰が抜けてしまいます。大きいチェーンと比べるのはフェアでないのかもしれませんが、日高屋や王将の倍以上出して食べる感じのものでは少なくともありません。
 味噌ラーメンですが、2Fのものとは毛色が違っていたというのは上述の通りです。脂分というよりは味噌が立っているという感じで、ひらたく言うとインスタントで食べ慣れた味噌ラーメンの延長線上にある感じがあります。野菜もデフォルトで乗っており、単品で770円と考えると、ライトに今日は味噌ラーメンにしようかな〜くらいの気分で食べて、ちょうど期待値くらいの効用が得られる気がします。
 結局もう一度ちなみに情報なんですけど、三度目の登場となる麺やあかつきはチャーハンがうまくて中華メニューもまあまああり、アルコールメニューも充実しています(繰り返しますが二郎系が基本の店なのであまり出ているメニューではないだろうとも思います)。ごはんものということでいくと、自家製麺ほんまの卵かけご飯がこだわりを感じられておいしいです。

・総括
 そろそろオープンから2か月が経ちます。ようやく一周しましたが、長い戦いだったという気持ちです。ひとが人生においてとれる食事の回数は有限なのだという当たり前の事実に向き合わせていただく時間でした。ここまで書いてみて、コイツめちゃめちゃ駒込行ってんなという感じがありますが、もう一度書いておくと別に僕は駒込に住んでいるわけではありません。近いといえば近いのですが、それによって逆に電車で行くのも不便という感じがあって徒歩で行くしかなく、割としっかりした散歩の距離になります。運動不足の独身男性がやっと歩いたかと思えばラーメンか。飽食の時代ですね。
 施設全体をまとめると、例えばラーメン商業施設というと新横浜のラーメン博物館みたいなのを想起しますが(品川駅そばの「品達」って潰れちゃったんですね……)、そういう「既存の有名店が集まって出店しています」という成り立ちではなく、全フロアを共通の会社が運営しており、前述のようにハズレの居酒屋ビル方式です。なお、ハズレの居酒屋ビルというのは運営方法のたとえとして申し上げているのであって、それ以上でも以下でもありません。各店舗もフランチャイズ店ではなく、それぞれオリジナルの店名で営業されており、最初はフードコートを縦に重ねたようなものかと思っていたのですが、そういうものとも性質が異なるようです。

 はっきり言ってしまえば、味は普通です。でも東京のラーメンの「普通」ってレベルが高いと思うので、それをジャンルを変えて5店舗ドンと出したのはけっこう頑張ったと思います。ガチの専門店と比べてしまうと多少見劣りはしてしまうけど、立地はまあ別として綺麗な建物と内装で、商業施設というパッケージとしてしっかり成立しているし、わざわざ遠くから行くようなものでもないけれど、足を運んでしまえばライトにちゃんと楽しめる仕上がりになっていると思います。まだまだオープン間もない時期ではありますが、土日の昼なんかはにぎわい(当社比)を見せており、それが初期投資やランニングコストに対して成功といえる程度なのかはわからないですが、そうした風景をみていると少なくとも寂しさみたいなものは感じさせません。
 近隣とのバッティングはまあ仕方ないとして、各店舗のジャンルのチョイスもけっこうおさえるところをおさえているという印象もあります。器も店舗ごとに目につくものに変えられていて、サイドメニューでも多少は店舗ごとの個性を出そうという工夫もみられます。さっき検索していたらたまたま見つけたのですが、店舗のロゴは1軒ごとにランサーズで募集をかけて発注したようで、それが望ましい現代であるかは別として、けっこうコストとクオリティのバランスにも努力したんだなと勝手に感じました。全フロアを仕切っている感じの責任者風の人とお客さんが話しているのを見たことがあったのですが、けっこういい人っぽい感じがして、人間がやっているんだな、という漠とした感想も抱きました。

 値段にしたって、出会い頭にクソデカラーメンが出てくるやつはまあ置いておくとすれば、1杯ラーメンを食べて帰るというなら別に、相場からしてそんなに高いということでもありません。でもだったらどうしてそんなネチネチ書いたんだというと、マジで客単価上げたいんだなというのがトッピングやサイドメニューから感じ取れてしまうあたりに理由があるのかもしれません。トッピング四種盛り500円や餃子6個600円はさすがに腰が抜けてしまいます(このnoteを書きながら改めて五度見くらいしました)。観光地価格みたいなものなら別にいいんですけど、そこは駒込駅東口アザレア通りであるわけで。別に僕はラーメン屋でそのくらいの値段を出すことはままありますが、それにしてはちょっと、クオリティという意味でもコスパが微妙かなと。リピーターがつかないと厳しい立地であるのではないかと素人ながら勝手に思うのですが、二度以上注文するサイドメニューはないと思います(長く続いているラーメン屋、ひいては飲食店ってすごいんだな、としみじみ思いました)。
 カラフルなメニュー表やフォトショでレタッチした写真くらいはまだいいとして、東京23区の最果ての狭小な新築のビル、ランサーズで発注されたロゴ、居並ぶ都の最低賃金(推定)で働く外国人アルバイト、客単価引き上げの涙ぐましい努力。結局すべてに"""資本"""を感じてしまうんですよね。やっている人は全員悪くないです。ただただ資本家が悪い。結局のところ家賃が高いんですよ。知らんけど。ここまで書いてみてわかりました。費用と便益の間に広い広い家賃の川が横たわっているからこうなってしまうんです。

 資本家階級を打倒し、労働者の国を皆で連帯して建設していきましょう。ともに闘いましょう。どうもありがとうございました。


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(2021/7/28追記)

 駒込駅東口限界ラーメン商業施設はもうありません。この記事を書いていた2020年末の時点ではまだ元気に営業していたのですが(謎の「メンテナンス」による臨時休業の日はそれでもたまにありました。労働者が確保できなかったのではないかと推察しています)、年明けにまた緊急事態宣言が発出されたあたりから怪しくなり始めます。時短営業の要請を受けて営業時間が中休みなしの9時〜20時に繰り上げられ、ほどなくして1Fは6時からの朝ラー営業を開始します。

 また、おそらく同時期から本格中華のオードブルやってますとか、1Fのモツ煮がおいしいですとか、新メニューを開発しますとか、スタンプカードを作りますとか、朝はチャーシューエッグ500円(!)もいかがですかとか、明らかなテコ入れが始まります。宣言延長の流れとなってからはさらに中華弁当やお惣菜のテイクアウト販売がスタートする一方、1Fと2Fのみの営業となりました。3Fのラーメンは1Fで出すこともしていたようですが(味似てたからね)、担々麺と博多豚骨ラーメンは姿を消すことになります。駄菓子は弁当と一緒に露面で売っていたような覚えがあります。

 別にもう僕はこのnoteを書き上げたのを最後に限界ラーメンの世界への興味をほぼ失っていたので、別に1円の売り上げにも貢献していないのですが、前を通ることがあれば行く末を気にしていたような距離感で過ごしていました。しかし引き続き外出のはばかられる状況のなか、駒込駅東口などという限界の地、不要不急の町を訪れることもあまりなくなっていきました。
 僕が最後に営業を確認したのは上掲ツイートの日が最後で、Twitterの公式アカウントもこのあたりで止まっています(長々と書いてきた営業形態の変遷も、ぶっちゃけTwitterをざっと見て書き起こしただけです)。6月中旬に確認したところ「新型コロナウイルス感染症拡大に伴う休業のお知らせ」の貼り紙があり、「一日も早い再開を目指し、尽力してまいります」とのメッセージが送られていました。

 「引き続きご愛顧賜りますよう、お願い致します」。限界の2文字を舌と財布に刻み込む資本主義の味を、どれだけの人々が愛し顧みたのかは僕なんかでは想像もつきませんが、その尽力は資本家の横暴とパンデミックに屈し、駒込駅東口限界ラーメン商業施設は姿を消すことになったようです。
 追記部分冒頭に掲載したツイートの通り、僕が次に駒込を訪れた7月半ばには七福神は6つのフロアからきれいに姿を消し、1Fに持ち帰り専門の伝説のすた丼屋が入るのみの状態となっていました。持ち帰り専門店が入る床面積で居酒屋営業を試みていた「中華そば<小野商店>」の在りし日の勇姿が思い出され、滂沱の涙が止まりませんでした(それでもクソデカどんぶり1000円亭のことは許すことはできません)。

 ちなみにすた丼はデリバリーもやっているようなのでそのうち食べる気がしますが、それでも6回もはなかなか食べないかもしれません。営業していた期間でおそらく半年弱、僕がかかわりあいになったのは2か月ほど。その間、有限な人生における有限な食事の機会のなかで、6食も提供していただいた駒込駅東口限界ラーメン商業施設のことを、僕はいつまでも覚えておきたいと思います。味はもうほぼ忘れましたが(普通だったからね)、新築のビルにデカデカと鳥居を描いて飛び込んできたあの蛮勇な姿を忘れません。ありがとうございました。

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