全文公開で効果的に本を売るための実践的アイデア

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最近、noteの「全文公開」の記事がよく話題になっています。

恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる。全文公開
ビジネスモデル2.0図鑑 #全文公開チャレンジ
【1/18公開終了】#しょぼい起業で生きていく 全文を無料公開します。
『A3』無料公開にあたって

実は、noteの姉妹サイトのcakesでも、もともと書籍の全文掲載を頻繁に行っていました。世界で300万部以上売れた『嫌われる勇気』も、堀江貴文さんの代表作『ゼロ』も、燃え殻さんの『ボクたちはみんな大人になれなかった』も、いまでもちゃんと全文掲載されています。

https://cakes.mu/related_books
※ただしcakesで読むには有料会員登録が必要です。

せっかくなので、僕たちがcakesで培ってきた、「全文公開で効果的に本を売るための実践的アイデア」を紹介したいと思います。もちろんnoteでも使える方法です。本をもっと売りたいと思っている作家さんや編集者さん、フォロワーを増やしたり記事売りたいnoteユーザーさんたちの、なにかのヒントになると嬉しいです。

1.ユーザーはなかなか広告に振り向いてくれない

本というのはとても特殊な商材です。かつての本は、書店というインフラがなければ成立しませんでした。一部の人気商材を除いて、書店に置かれることが購入の場であり、人の目に入る宣伝の場でした。しかし2000年台に入りパラダイムシフトが起こります。インターネットの普及です。

ネットの普及と同時期に出版不況が起き、街の書店が潰れ、さらに売れなくなるという悪循環が起こりました。書店に代わって出てきたのが、Amazonなどのネット通販。そして、それまで○百万かけて出していた新聞広告に変わって、ネットを使った新しい宣伝ができるようになったわけです。

でも今のユーザーは広告に敏感です。ネット広告は群雄割拠。詐欺まがいの広告記事が反乱したこともあり、嫌悪感さえ持たれています。そういう意味で、株式会社バーグハンバーグバーグヨッピーさんが作られている広告記事は本当にすごいなあといつも思います。

でも、あれができる人間はそう多くはありません。cakesでもなんとか真似できないか考えたこともありますが、どう考えてもお寒いことになるので諦めました。他にも広告モデルは考えましたが、現時点では全く行っていません。

前置きが長くなりましたが、ユーザーがそうやってシビアに見てくる広告を作るんじゃなくて、現物見せてしまおう、というのが全文掲載の基本的な考え方です。ユーザーは無料で記事が読めるし、良いと思ったら買ってもらうこともできる。双方にとってメリットが多いのです。

2.記事を分割する多くの利点

本の文字数はまちまちですが、全文で9~10万字のものが多いです。ある程度満足感をえて、人に知らせたくなる文章の量が2000文字から2500文字くらい。それを一記事につき2500文字ほどで分割すると40回分くらいになります。cakesではそれをそのまま連載しています。

cakesは最新記事が上に来て、丸一日は表示されています。40記事掲載すれば、40回そのアイキャッチ画像がcakesのトップページに表示されるのです。広告で考えれば、40日トップページにバナーが貼られているようなもの。しかも広告料なし。これはnoteであっても、フォロワーのタイムラインのトップに表示されるので十分意味があります。

そもそも、40個もの記事を作るのはかなり大変な作業です。我々のようなメディアだけじゃなく、ブログでもnoteでもそうですが、まずコンテンツをどう作るかを考えなければいけません。当たり前ですね。でも、もしそこに自分の本があるなら、それは商業流通にも耐えうる質の高いコンテンツをすでに40個用意してあるようなものです。それは大きなアドバンテージになるんです。

この数値は、cakesに載ったある書籍の実際のPVとSNSのシェア数です。比較的人気の高い連載ですが、3段目と8段目の赤い行の回は20万以上のPVを叩き出しています。一記事二記事アップしても外してしまうことはありますが、数を打ち続けるとこのような大きく拡散する記事が出てくることがあるんです。

cakesに限って言えば、絶対とは言えませんが、PVと書籍の売上が正比例することが多いです。1万PVの記事より、25万PVの記事は25倍本が売れます。そしてどの記事が25万PVになるか、このレベルになると予測するのはなかなか難しいです。そのためにも、数をたくさん打つ必要があるのです。

もう一点大事なのが、SNSでの告知の回数を増やせることです。cakesがどれだけ本を売りやすいサイトだったとしても、一番強力なのは著者本人の告知です。もっとも本を購入してくれるのは著者のファン層なのは間違いありません。

著者にとってその本がどれだけ自信作だったとしても、Twitterで何回宣伝できるでしょうか。5回とか、多くて10回くらいがせいぜいだと思います。それ以上になると、どうしても宣伝臭さがでてしまいます。フォロワー減るかも、なんて考えてしまうかもしれません。

でも、40記事あれば「新しい記事をアップしました」と40回つぶやく理由になるのです。むしろ、ファンの人が積極的に拡散してくれるはず。つぶやきによってユーザーが定期的に記事を見に行く機会がえられるため、その行為が日常に加わりファンにもなりやすくなります。

さらにさらに、40記事の分割は検索流入(SEO)対策にもなります。そういったあらゆる意味において、記事の分割は有効なのです。

ちょっと大変なのは、毎回読者が読みたくなるようなタイトルをつける必要があることです。これはwebの基本的な話であり、最も重要な話でもあるので、また改めて書きたいと思います。

3.全文公開が効果的になる構造の作り方

さて、記事を分けただけで本が売れるかよ、というと、もちろんそうとも限りません。でも、サイトを読者の購買意欲を誘う構造にするとより効果がでやすくなります。cakesだけじゃなくnoteでも応用可能です。

分割した記事で40回の連載をするとして、まずページの上部と下部に、書影とAmazonへのリンクを貼っておきましょう。意外とやらない方が多いのですが、これは必須です。

恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる。

そして初回は無料記事にします。その連載に来た人の多くが立ち寄る場所です。本であればまえがきに当たる部分。多くの書籍ではその本の説明になるので、自己紹介として公開しておくといいと思います。小説でもつかみにインパクトのあることが書かれることが多いのでおすすめです。でも、2回目以降の記事は、最初は無料で公開し、次の記事をアップする時に有料にします

記事のアップを始めて数回、ある記事に10万人の人が見にきたとします。まずはそこが本を売るためのいちばん重要なタイミングです。面白いと感じた人は、もうそこに貼ってあるAmazonリンクで買ってくれます。

ほとんどの人は読み終わったらページを離れてしまいますが、たとえばcakesの場合、1割以上が同じ連載の過去記事を見に行ってくれます。そのユーザーが前回の記事を見ると、途中でこのように表示されます。

青線と赤線はこちらで足したものです

青はcakesの会員登録への動線。赤は書籍へ購入への動線です。ユーザーはcakesに登録するか、書籍を買うかの選択ができるわけです。そして、連載中なのであれば、すべて読める書籍を買う人が多いです。まだまだ所有感みたいなものを大事にする傾向もあるのかもしれません。結果、書籍が売れやすくなっているわけです。noteでも、最新記事公開と同時に、前の記事を有料化すれば同じことができます。

今回紹介しているのは一番シンプルなやりかたです。公開のスパンは自由に選べばいいと思います。毎日更新でもいいし、週一でもいい。無料から有料に買えるタイミングも、3記事ごとにしてもいいし、章が終わるごとに前の章を有料に変えるのでもいい。呼び水にする記事も、最初から1章だけ無料公開にするパターンもあります。ユーザーに「もっとみたい」と思ってもらうため、いろんな応用が可能です。

4.余談

一応編集長なので、なんでcakesはそんなことをやっているのか書いておくと、この仕組を使って出版社にどんどん書籍を載せて売ってもらいたいのです。そうやって我々はコンテンツを増やし、その記事で流入した一部のユーザーが会員登録してくれればいいと考えています。社長に直接聞いたことはないけど、たぶんnoteでも同じように考えていると思います。

もちろん、cakesはあくまで広告にならないよう、出版社からお金はもらっていませんし、むしろそこそこの原稿料を払っています(このあたりもいつか触れます)。宣伝になってしまう試し読みも、課金してくれているcakesのユーザーのためにお断りしていて、基本は全文掲載をお願いしています。

自分で告知する力がある人や、独自のマネタイズを考えている人なら、noteがすごくぴったりだと思います。cakesはある程度メディア自体に読者の方がついてくれているので、これからのクリエイターさんを売り出したいとか、宣伝方法に困っている出版社さんにとって便利だと思います。いや、我ながらよくできたサイトだなあ。

あとこれ、昔の本でも使えます。本は発売からしばらくすると、まったく流通しなくなってしまうことが多くて、せっかく書いた本を持て余してしまいがちです。売れる売れないは時の運もあるので、過去の本をバラ売りしたり、バズらせてAmazonから売ると次は成果がでるかもしれません。

実はcakesでも、1年以上前の動かなくなった本を再編集して載せてもらい、その後2回重版かかったという事例もあります。もちろん全部がそんなうまくいくとは限りませんし、これで書籍が100万部売れるわけではありません。でも、5000部の本を2万部や3万部にするきっかけには十分なります。

そこまでいけばAmazonのランキングに入るし、本屋で面陳になるし、新聞広告もうてるかもしれません。5000を2万にする重要性は、編集者さんならみんなご存知だと思います。やらなければなにも起こりません。ぜひお試しください!

という宣伝もしたところで、もしご相談などありましたら、cakesのサポートあてまでご連絡ください! もしくはここのコメント欄でも言える範囲でお答えいたします。
support@cakes.mu


今回の記事は無料で全部読めますが、面白かったらお小遣いをください。育児がんばってくれてる妻に甘いものを買って帰ります。お礼に、だれも喜んでくれない子どもの写真を置いておきます。

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大熊信

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お金よりも大切なものがあるとは思いますが、お金の大切さがなくなるわけではありません。

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大熊信

大熊信(だいくま しん) noteを運営する会社で、cakesというサイトの編集長をしています。編集とライターと写真とお茶くみもする中間管理職。人にめざめる39才。

#全文公開 記事まとめ

自身の著書を、一部もしくはすべて公開しているnoteをまとめています。
11つ のマガジンに含まれています

コメント2件

あら
可愛い写真。(●´ω`●)
いいお父さんですね☆
ご質問ありがとうございます! そうです、めちゃくちゃ可愛いんです! いいお父さんかはわかりませんが、子どもは死ぬほど可愛いです。
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