さとだい@フランス

フランス20年↑/パリで日本食レストラン経営/欧州飲食コンサル/リヨンアンバサダー

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フランス20年↑/パリで日本食レストラン経営/欧州飲食コンサル/リヨンアンバサダー

マガジン

  • フランス語で働く!

    雑誌『ふらんす』2012年1月号、白水社に掲載されたインタヴュー記事を加筆訂正したもの。https://www.fujisan.co.jp/product/2309/b/731459/

最近の記事

夜のリヨン

Lyon à la nuit tombée ペニッシュ(川船)に 乗ってみませんか?  古くから河川交通の要所であったリヨン。今日、ローヌ河やソーヌ河を行き交う船の数は少なくなりましたが、河岸に係留されている船はリヨンのそこかしこで目にします。これらの川船がいわゆるペニッシュ péniche。もともとは貨物運搬用の、底が平たい川船ですが、改装されてバーやクラブ、レストランやビアホール、また、展示場や民宿(シャンブルドット chambre d'hôte)に。中にはペニッシュ

    • テット・ドール公園

      Le Parc de la Tête d'Or いろいろ楽しめる 広大なテット・ドール公園  ローヌ河左岸、リヨン6区の北半分ほどを占めるイギリス式の庭園、テット・ドール公園。ボートに乗れる池や、60種余りの動物が飼育されている小さな動物園、350種のバラを栽培するヨーロッパ有数のバラ園や15000種の植物が栽培されている植物園、子ども向けの遊具があるレトロな遊園地や自動車競技場などがあり、年間300万人以上が訪れるリヨン市民の憩いの場です。  テット・ドール公園は、1

      • リヨンのマリリン

        Marilyn Antiquités 不思議がいっぱいのアンティーク店 「マリリン」  昔ながらのアンティーク業者が軒を連ねるプレスキル(中州)地区のオーギュスト・コント通り。その南端にあるアンティーク店「マリリン」は、リヨンで、またおそらくフランスで最も不思議なお店の一つとして異彩を放っています。  ロドイドや陶磁器の人形、アクセサリー、銀食器、陶磁器、レース、香水瓶、ミニチュアなどのアンティークが所狭しと絶妙なバランスで山のように積まれており、フランスが地震のない国

        • リヨン旧市街のトラブール

          Traboules au Vieux Lyon 通りから通りへのワープ通路 「トラブール」  リヨン旧市街 Vieux Lyonは、普通に通りを歩いただけではとてもその魅力の全貌はわからない、観光客にはある意味不親切な街です。その理由がトラブール。トラブール trabouleとは、旧市街でよく見かける通りと通り、建物と建物をつなぐ通路のこと。通りに出ることなく、人目につかず隠れて移動できる秘密の抜け道です。  トラブールの語源は、「横切る」という意味のラテン語、tran

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        • フランス語で働く!
          1本
          ¥500

        記事

          リヨン第3大学学生自治会

          La Corpo Université Jean Moulin - Lyon 3 「ベレー帽の掟」を守る 学生集団?  リヨンには高等教育機関は24校ありますが、そのうち、大学(université)は、国立3校、私立1校の計4校のみ。グランゼコール(高等専門大学)と違い、バカロレア(高校卒業資格)を持っていれば大学に登録はできますが、ディプロム(卒業証書)を取って卒業することは容易ではありません。  リヨン第3大学は、3校ある国立大学のうちの1校。リヨン第2大学ととも

          リヨン第3大学学生自治会

          サン・ジャン大聖堂の天文時計

          L'horloge astronomique de la cathédrale Saint-Jean 600年余りの時空を超えて 時を刻む天文時計  ソーヌ河右岸、フルヴィエールの丘の麓に位置するリヨン旧市街のルネサンス地区。この地区の中心にサン・ジャン大聖堂があります。12~15世紀にかけて建立されたこのロマネスク・ゴシック様式の大聖堂(cathédrale)は、リヨン大司教座が置かれている権威ある大聖堂です。1600年には、アンリ4世とメディチ家のマリー・ド・メディシ

          サン・ジャン大聖堂の天文時計

          リヨンオペラ座

          L'Opéra Nationale de Lyon オペラも建築も注目を集める リヨンオペラ座  ローヌ河とソーヌ河に挟まれたプレスキル(中州Presqu'île)地区、リヨン市庁舎(Hôtel de Ville)と向かい合う「かまぼこ」形の一風変わった建造物。これがリヨンオペラ座です。1831年に完成した新古典主義建築のオペラ座を、世界的に有名なフランス人建築家のジャン・ヌーヴェルが4年かけてリノベーション。1993年5月に竣工しました。竣工当初はリヨン旧市街の景観に合

          リヨンの「ドリフ」、ギニョル

          Guignol リヨン生まれのキャラクター ギニョルとニャフロン  ギニョル(guignol)とは、糸で操るのではなく、人形に直接手を入れて動かす操り人形(マリオネット)のことです。ローラン・ムルゲによって19世紀初頭にリヨンで誕生しました。  当時、ムルゲは「歯抜き」を生業としていて、歯を抜くときにお客が怖がらないよう、イタリアの伝統的な風刺劇コメディア・デラルテの道化師、プルチネッラのマリオネットを使って、お客の気持ちをなごませていました。  その後の経緯は明らか

          リヨンの「ドリフ」、ギニョル

          リヨンの郷土菓子、ビューニュ

          Bugnes 中世から続くリヨンの郷土菓子 ビューニュ  「ビューニュ(bugnes)」は、リヨンを代表する揚げ菓子。パリパリとした薄い長方形やリボンまたは手綱こんにゃくの形をしており、どれも大量の粉砂糖がかかっています。このビューニュという名前の由来は、揚げ物を表すbeignetと同じく、古フランス語のbeigneやbeugneが変化したものと言われ、リヨンにしかない呼び名です。  毎年3月末~4月末までの復活祭(Pâques)前の40日間は、肉、卵、乳製品を断つ禁欲

          リヨンの郷土菓子、ビューニュ

          リヨン中央市場(レ・アール)

          Les Halles de Lyon - Paul Bocuse 装い新たな食の殿堂で 星付きレストランと同じ食材を見つけよう! パリやマルセイユからのTGVが発着する国鉄駅やショッピングセンターがあるパール・ディウ(Part Dieu)。リヨン国立管弦楽団が本拠とするコンサートホールなどもあるフランス第二のビジネスエリアです。そこにそびえ立つリヨン新市街のシンボル、「Tour Part Dieu(別名クレヨンcrayon鉛筆ビル)」。そのすぐ北西の一角に「リヨンの胃袋」

          リヨン中央市場(レ・アール)

          リヨンの薬草店

          Herboristerie à Lyon 心身ともに癒す 街の「魔法使い」  薬草店(エルボリストリー herboristerie)とは、ラヴェンダーやカモミールといった薬効のあるハーブの調合を行い、一人一人の身体の症状にあった処方をしてくれるお店です。煎じたハーブを飲むほか、植物の精油を使ったアロマテラピー(aromathérapie)や、薬効を抽出して外用するフィトテラピー(植物療法 phytothérapie)などによって人間の持つ自然治癒力を高めることを目的として

          リヨンの薬草店

          ボジョレーの自然派ワイン

          Vin nature en Beaujolais 失われた「農作物」の味を求めて  「リヨンには、ローヌとソーヌとボージョレーという3つの大河が流れている。」と20世紀のジャーナリスト、レオン・ドーデがいみじくも言ったように、脂っこい料理に合う、口当たりが軽く手ごろなボジョレーワインはリヨンを代表する地酒。毎年11月の第3木曜日に解禁となる新酒「ボジョレー・ヌーヴォーBeaujolais nouveau」は世界的に有名です。  ボジョレー地区は、リヨンのすぐ北、ソーヌ河

          ボジョレーの自然派ワイン

          「大統領ケーキ」

          Gâteau " Le Président" リヨンでしか味わえない絶品ショコラと 「大統領ケーキ」  ローヌ左岸の新興ブルジョワ地区、リヨン6区。メインストリートであるフランクラン・ルーズヴェルト通りにリヨンが誇るショコラティエ、ベルナションBernachonがあります。ここは、クーヴェルテュール*から独自につくっているフランスでも数少ないショコラティエの一つ。約10種類ものカカオ豆をブレンドし、ローストしてオリジナルのクーヴェルテュールを生み出しています。 *原料用チ

          「大統領ケーキ」

          リヨンの食堂、ブション

          Bouchon lyonnais リヨンのブションで リヨネの「ソウルフード」を味わう  リヨンでは気軽な郷土料理の食堂のことを「ブション(bouchon)」と呼びます。ブションという一風変わった名前の由来は諸説ありますが、食事ができることを示す「ブション(わらの束)」が戸口に掲げてあったからという説が有力です。 ローヌ河とソーヌ河が合流する河川交通の要所に位置するリヨンは、作家ラブレーの時代から食材流通の中心地。リヨンを取り囲む、自然の恵み豊かな土地から良質な食材が集

          リヨンの食堂、ブション

          ジビエ

          Gibier ジビエは暮れのご馳走 カモの敵はリヨンの猟師?  ジビエ(Gibier)とは、狩猟で捕らえた野生鳥獣の肉のことです。狩猟シーズンは9月から2月の、秋から冬にかけての期間。イノシシ、シカ、ノウサギ、カモ、ヤマウズラといったジビエの野趣あふれる深い味わいはフランスの年末のご馳走です。  リヨンの猟師の一番の獲物は、カモ。寒くなり、北から南へと渡るカモが休息するのが、無数の沼地があるリヨン周辺のフォレズ Forezや、ドンブ Dombes地方。朝と晩、カモが離水

          ペルージュ

          Pérouges 中世にタイムスリップ? ペルージュの「ティボー家の人々」  リヨンから北東約40キロ、小高い丘に位置する城塞に囲まれた中世そのままの村、ペルージュ。この村は、「フランスの最も美しい村 Les Plus Beaux Villages de France」にも登録されています。城壁内の人口はわずか80人で、ゆっくり歩いて一周しても1時間もかかりません。1996年に開催されたリヨンサミット(G7首脳会議)では、当時のビル・クリントン大統領や橋本龍太郎首相も訪れ