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BBQスキルアップ豆知識: スタールと温度のプラトー

このnoteではBBQのスキル向上のための知識を共有します。マニアックな情報を全ての人に。
屋外焼肉ではなく本格BBQに興味がある
BBQスキルのレベルアップを目指したい
塊肉のスモークや調理のコツを知りたい

今日は聞きなれない言葉「スタール」について。
この知識を必要とするのは、多く見積もっても日本人の0.001%くらいでしょうか。笑

スタール(Stall)とはBBQやスモーキングを行う際に、大きな肉の部位(特に豚の肩肉や牛のブリスケットなど)の肉の内部温度が一時的に停滞する現象を指します。この現象は、低温調理を行うときに特に顕著になることが多いです。「温度のプラトー」(Tempereture Platau)とも言うようです。

プルドポーク
豚の肩ロース塊肉をスモークバーベキュー


塊肉にスモークをするとき、低温でじっくりと熱をかけていきます。最終的にはタンパク質の一つであるコラーゲンが柔らかくなる肉芯温度195°F(90°C)程度を目指します。まずは肉の温度をスモークのかかる温度160°F(約71°C)程度まではゆっくり時間をかけて上げていくのですが、140-160°F(60-70°C)辺りでピタリと上昇が止まってしまう事があります。
自分自身、この現象は知っていたものの"スタール"(日本語発音はストールか)や"プラトー"という言葉は知りませんでした。
海外のBBQ情報を探すと色々と出てきますが、日本語での解説は見つけることができませんでしたので書き残しておくことにしました。

▪️スタールはなぜ起きるのか?

以下に、この現象が起こる主な原因と考えられるメカニズムを詳しく説明します:

1. 蒸発冷却: 肉が加熱されると、その表面から水分が蒸発し始めます。この蒸発プロセスはエネルギー(熱)を消費するため、肉の温度上昇が一時的に遅れることがあります。この現象は、我々が汗をかくことで体温を冷却するメカニズムと似ています。

2. 結合組織の変化: 肩肉やブリスケットのような部位は、筋肉繊維を支えるコラーゲンという結合組織が豊富に含まれています。このコラーゲンが60°C〜70°Cの温度でゼラチンに変わり始めると、その過程でエネルギーが消費され、肉の温度上昇が停滞することが考えられます。

▪️スタールに気づくには?

常に肉芯温度をウォッチングする必要があります。自分も最初の頃はグリル内部温度と調理時間で管理して、肉の様子は目で見ることと肉芯温度計で要所要所で温度チェックをしていました。グリルは蓋を開けると一時的に庫内温度が下がってしまうため、30分に一度確認するのが限度です。
この方法だと温度の変化の具合は感覚的に掴むしかありません。
今はWeber Connect Smart Grilling Hubを使っています。

Weber Connect
これを使い始めてから肉の調理温度管理が容易になった

グリル内部温度と肉芯温度を常にウォッチングできるので、温度のコントロールはしやすくなりました。
気温、湿度、肉の大きさ、肉質、肉の保存状態、etc.
毎度同じ様にやっても同じ結果になりません。
自分の五感をフル活用しつつ、加えてWeber Connectで状態を把握し最善を目指します。

Weber Connect スマホAppの画面
温度変化が可視化される
60°Cでスタールしたことがわかる

▪️スタールに対してどうするか?

スタールを乗り越えるための主な対処方法は以下の方法があります

1. 忍耐: 肉の内部温度が再び上昇し始めるのを待つ。この停滞期間は数時間続くことがある。

2. ラッピング(テキサスクラッチ): 肉をアルミホイルや肉専用のペーチメントペーパーで包む。これにより、水分の蒸発を最小限に抑え、スタールを短縮または回避することができる。

充分な時間スモークしていたら、自分は迷わずテキサスクラッチに移行します。
テキサスクラッチをすると、包んだ中は湿度100%
モップソース(リンゴジュースやリンゴ酢のMix)で充分に水分を与えておけば、肉を煮ているような状態になるかと思います。

自分はプルドポークやスペアリブをスモークBBQする時は、ほぼこの方法でやっています。
それではまた!

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