【旅エッセイ41】羽幌で見た夕陽

 残念なことに、私は星空に縁がない。今まで何度もキレイな星空を観る目的で旅行をしているけれど「星空観察」を目的にした旅行ではほとんど、星空が見られずに終わってしまう。雨だったり曇りだったり、あるいは疲れて日が暮れる頃には眠ってしまったり。

 幸運なことに、夕陽には縁がある。私は旅先でキレイな夕焼けに遭遇する確率が高い。「星空運」はないけれど「夕焼け空運」なら自信はある。

 晴れ女や雨男といった言葉はあまり信じていないけれど、出先で何度も夕焼けが見られるものだからやっぱり縁があるのではないかと考えてしまう。もちろん、空気が澄んでいて高い建物のない地域を旅していたからというのも、あるだろうけど。

 羽幌(はぼろ)で夕陽を観た時もそうだった。稚内から南下して、留萌(るもい)へ向かう途中だった。

 目的地の留萌に何が待っているのかと言えば、鰊(にしん)。魔女の宅急便で孫の誕生日に鰊のパイを作ってあげたお婆さんがいた、あの鰊。

 かつて留萌は鰊の漁で栄えたらしい。それで留萌駅には「鰊をかたどった木製の像」があるのだとと、昔知り合いに教えてもらったことがある。

 私は鰊を食べたこともなかったし、鰊に思い入れもない。何故そんなものを見に行こうと思ったのかわからないけれど、私は不思議と「見に行こう」と決意して稚内から200Kmの旅に出た。

 出発が遅かったので、中間地点の羽幌を抜ける頃には日が傾き始めた。日が傾いて街を照らし、太陽が水面に反射して鏡のように輝いている。

 居ても立っても居られなくなり、私は車を停めて写真を撮った。また美しい夕陽に出会えた幸運に感謝しながら。

 辺りが暗くなるまで、私は夕陽を眺めていた。

 なお、辿り着いた留萌で観た鰊のオブジェは、看板の後ろに隠されてひっそりと悲しげに佇んでいたこともお知らせします。


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ダイセンブ

旅と人生について考えるエッセイスト。散歩、自然、写真が好き。毎日、1枚の写真を載せて、旅と人生をテーマにした様々なエッセイを書いています。2019年4月21日から、1日1エッセイ継続中。

コメント2件

毎回、夕日とかはええですな!
(人´∀`).☆.。.:*・゚
鳥裸族さん
ありがとうございます!夕日の写真はうまく撮れたのがけっこうあります。やっぱり北国の夕日だと空気が澄んでるからキレイに撮れますね。
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