Daisukeのブログ

アメリカ・コロンビア大学国際公共政策大学院に留学中。大学院留学、ニューヨーク、国際関係…

Daisukeのブログ

アメリカ・コロンビア大学国際公共政策大学院に留学中。大学院留学、ニューヨーク、国際関係・公共政策、キャリアなどについて書いていきます。

最近の記事

始まりの終わり

卒業式を無事に終え、遂に2年間の大学院留学も幕を閉じることになった。将来はパブリックの役に立つ仕事をしたい、世界を舞台に活躍したい、という動機で始めた留学だったが、今はまだあまり終わったという実感がない。振り返ってみると、僕のような私費留学生は、大学院に合格する以外にも奨学金も大事なのだが、応募しまくっても落ちまくり、入学してからも様々なチャレンジは沢山したが、上手くいかなかった方が圧倒的に多かった。特に奨学金は受からないと留学を続けられないことから何度もハラハラしたのだが、

    • 振り返り

      卒業式まであと2週間を切ってしまい、最後の期末試験も来週に控えているのだが、どうも勉強する気になれないので、気分転換にこれまでの留学生活を振り返ろうと思う。僕は今の大学院に来て本当に良かったと心の底から思っているのだが、元々この大学院に来たいと思ったのには主に以下のような理由があった。 1. ニューヨークに位置していること 現在通っている類の大学院だとアメリカ国内でもいくつか候補があり、例えばボストン、ワシントンDC、カリフォルニアなどに位置している。僕の場合は完全にミー

      • 労働時間と生産性

        この間のスイスのブログを書き終わった後に、あれ結局、何が言いたかったことだっけと思ったものの、全く思い出せなかったので放置していたのだが、今日ふと歯を磨いていた時に何が言いたかったのかを思い出した。 以前に授業か何かで扱ったのだが、フランスがアメリカとのアウトプットを比較した研究がある。アウトプットは生産性と労働時間の掛け算という定義にしているのだが、その時のフランスの問題意識というのはなぜアメリカの方がフランスよりもアウトプットが大きいのかという点だった。最初フランスは生

        • 豊かな社会

          少し前の話になってしまうのだが、4月の中旬に会議に参加する為、スイスに行ってきた。元々の動機は不純で、学校から金銭面でサポートしてもらえて、これまでに行ったことのないスイスに行けるなんてナイスじゃないか程度のものだった。 会議の内容はさておき、一番驚いたのはスイスの平和さと物価の高さである。最初に訪問したスイスの都市はチューリッヒの近くにある街だったのだが、おそろしく静かだった。24時間パトカーとか救急車とか車のクラクションが奏でるシンフォニーから逃れられないニューヨークと

        始まりの終わり

          モビリティ

          今週もお気に入りのGlobal Inequalityの授業を受けてきた。学期の最初の授業でされた質問が、「どこの国にも生まれることが出来るが、その国の中の誰になるか分からない場合、どこの国に生まれたいか?」というものだった。学生に聞いていくと、スウェーデンなど北欧の国を挙げる人が多かった。なぜかと教授が聞くと、一人当たりの所得が高いからという回答があった。では、なぜ一人当たりの所得が同じぐらい高いカタールを選ばなかったのかと聞いたところ、それは格差がスウェーデンよりあるので、

          課外活動

          今日地下鉄に乗っていてふと思ったことに、仕事以外の活動への参加がある。周りを見回してみると、昼間の仕事はバリバリやりながらも、夜や週末に、財団やNPO、ボランティアやその他の活動をしている人が多いことに気づいた。内容は様々で、若者や貧困にあえぐ人たちをサポートするNPOや日系アメリカ人を支援する財団、東日本大震災で被災した方への支援物資の供給など例を挙げるとキリがない。また、自分で本業とは別にビジネスをしている人も多い。 勿論、仕事の忙しさやその他の家庭の事情などで、そうい

          真実の場所

          大学院生活で気に入っているものの一つに教授とのオフィスアワーがある。これは教授が指定する時間帯にオフィスを訪ねて行って、授業での疑問点やそれ以外で相談したいことについて話すものなのだが、今回のオフィスアワーは少し変わっていた。その教授は時間を有効活用する為に、オフィスではなく歩きながら話したいということで、公園を散歩しながら話をすることになった。 今回の話題は貿易についてであった。大学院には貿易に特化した授業があり、またその他の授業、学校で開催されるイベントでも貿易がテーマ

          オリンピック

          巷では平昌オリンピックが行われていて、僕は全然フォローできていないのだが、Facebookを通してフィギュアスケートのニュースが頻繁に流れて来ていた。その中で目を引いたのがアメリカのアダム・リッポン選手である。彼はフィギュアスケート団体戦で銅メダルに輝き、時の人になったのだが、その彼の画像が話題になっていた。 これは、「(ここにそれぞれの選手が言葉を入れる)がなければ今日このオリンピックの舞台に立つことは出来なかった」というボードを掲げている画像なのだが、彼はこのカッコの中

          移民と格差

          今日も先週に引き続いてGlobal Inequalityの授業があった。今回のトピックはImmigration(移民)がどう所得の格差に影響するかという視点だった。教授は冒頭に、Immigrationはこれまでのどのようなプログラムよりも国家間の所得格差の是正に貢献していると言って授業を始めた。 そうは言うもののImmigrationの問題は常にセンシティブで、世界中のあちこちで問題になっており、完全に国境をオープンにして誰でも入ってこられるようにするのは現時点では不可能に

          アメリカンドリーム

          今日はおそらく60代後半だと思われる日系アメリカ人の方とバレンタインディナーをする機会があった。ワインとシーフード、絶品マカロニチーズを味わいながら、楽しく話をしていたのだが、話題がトランプ大統領に移った際に突然真剣な話になった。 彼によると1965年ぐらいから今までの50年間は激動で、辛かったそうだ。歴史を振り返ってみると公民権運動、ベトナム戦争、冷戦など様々な象徴的な出来事があり、その過程で議論の余地はあるものの、正義の為に闘ったケネディ兄弟、キング牧師、マルコムXなど

          アメリカンドリーム

          現実の直視

          今学期にGlobal Inequalityという授業を受講していて、主に格差について学んでいる。前回の授業では政治がどう所得格差に影響を及ぼしているかというトピックだったのだが、Median Voter Theoremというものがあり、それによると民主主義の社会では所得が大体中間ぐらいにある人たちの意見が一番通りやすく、したがって理論上はその層に所得が再分配されるようになっているそうだ。 一方で、アメリカでよく議論に上がっているが、お金持ちが更にリッチになってはいるものの、

          灯台下暗し

          以前にある社会人の方にお会いしてお話を聞く機会があった。その方は僕からみれば極めて競争の激しく、また報酬も高いポジションに就いて活躍されており、また年齢を聞いてみるとなんと32歳だった。これは同業他社で同じポジションについている人が軒並み50歳以上だという事実を鑑みるとすごいことである。その時は僕が色々と質問をする形でお話を伺おうと考えていたのだが、途中から相手の方の独壇場になってしまった。 その方によると今のポジションに就くまでは色々とラッキーなことが重なったそうだ。期待

          費用対効果

          大学院の長い冬休みも今日で終わりなのだが、折角なので学期中にはあまりできない読書をしようと思い、以前から気になっていたMountains beyond Mountains(邦題:国境を越えた医師)という本を読んでみた。これは以前大学院で講演を行った世界銀行総裁のJim Yong Kimと一緒にPartners in Healthという医療分野のNPOを創設したPaul Farmerという医者が主人公になっている。 この本ではPaulがどのようにハイチでこれまでまともな医療を

          立ち上がる力

          今週は日系アメリカ人3世にあたるジュリー・アズマさんに大学院でご講演をして頂いた。ジュリーさんはニューヨークの日系アメリカ人コミュニティーの中心であり、またお仕事の方でも社会起業家としてご活躍されている。今回は日系アメリカ人の歴史についてお話頂いた。 ジュリーさんはシカゴで生まれ育ったのだが、ご両親はいわゆる強制収容所に入っていたにも関わらず、全くその話はせず、かつ収容所にいたことを否定していたそうだ。日系アメリカ人コミュニティの中では強制収容所は恐ろしいまでの負の歴史で、

          起業家精神

          今週はいつもの学生団体のイベントでAcumenという非営利のベンチャーキャピタルでご勤務されている松川倫子さんに大学院にお越し頂いた。ウェブサイトによると「アキュメンは「事業・リーダー・思想の普及への投資を通じて貧困問題への取り組みを変える」というミッションを掲げ、寄付金をベースとした「忍耐強い資本(Patient Capital)」の社会的企業への投資に取り組んでいる多国籍NPO法人です。具体的には東・西アフリカ諸国、パキスタン、インド、ラテンアメリカ諸国、アメリカ合衆国に

          ロールモデル

          先日は、僕が奨学金をもらっている米日カウンシルという団体のAnnual ConferenceがワシントンDCであり、参加する機会に恵まれた。ウェブサイトによると「米日カウンシルは、日米関係の強化に貢献すべく、太平洋両岸の多様なリーダーを結集し、ステークホルダーとの交流の場を提供すると共に、コミュニティと政財界にとって有益な課題に取り組む、教育的非営利団体です」とあり、設立者がIrene Hirano Inouyeというこの間亡くなった元上院議員のDaniel Inouyeの奥