皿は皿
寒くなってきた。
寒くなってきたのに、散髪にいってさっぱりした。
僕はその散髪屋がお気に入りだ。美容院でも理髪店でもない、街の散髪屋だ。
そこの店主が面白い。大学の客演で講師もしているらしい。とにかく面白いんだ。
「僕が若い時に、浅草で女郎をやってた祖母が言うてたんだけど、
ここにお皿が三つあります。
ひとつは、自分が大切にしている皿
もう一つは、家族が毎晩使う皿
最後は、ご近所さん、地域の人たち、会社の人が大切にしている皿
あなたはどれを一番綺麗にみがきますか?」
僕は、ふいに思った。
浅草の女郎だけでも、随分面白いし、もっとその話を聞きたいんだけど、なんだ??
皿??
若い時から女郎で生計を立ててる昭和のおばあちゃんが言うんだから、深いことなのか??
なんだ??
僕は1、2分固まってしまった。
そして、出した答えが、
「自分の大切にしているものを一番綺麗に磨ければいいですかね?」といった。
散髪屋の店主は、
「皿は、皿だよ」
僕は、あっ!!そういうことか!と思った。
かっこいい髪型の店主は
「3つ選択肢を出した時点で、何かを選ばないといけない気になる。そして、ひとつ選ばないといけない気になる。
答えがある人はそれでいい。もともと何が正解なんてないから。
いま、あなたの状態なんじゃないかな?
すべてを選ぶのが正解じゃない、選ばないのが正解じゃない。
皿は皿だよ!」
こんな機能があるんですね!!! どんなことができるかまだ皆目見当つきませんが、 見てくれた人が、ほんの少しだけ笑えたり共感してもらえるものを 書いていきたいと思います。