支援が必要な親子を支える組織体制について_3月定例議会で行った一般質問

米原市において、子育て支援課が扱う虐待対応件数が2019年から増加しつづけています。そういった状況で、いまの組織体制が十分なのか、現場の職員が疲弊し、十分な対応ができていないのではないか。米原市で支援が必要な親子が十分な支援を受けられていないのではないか。このような課題意識から質問を行いました。
 

 <質問>現状への市の認識について

2017年度には186件の養護相談がありました。そこから毎年、養護相談は増加傾向にあります。

養護相談ケースは、2017年度が186件です。そこから、2021年度までは増加し、2022年度は少し減りました。そして2023年度の1月末では305件となっています。
 毎年300件近くの相談があります。虐待と認定するケースの数も2019年から増え続けています。虐待と認定される件数が増え続けています。とりわけ、なぜ虐待数が増えているのでしょうか。
とくに、2020年から養護相談ケースはほぼ変わらない数字になっていますが、虐待数のみ増えている理由をお聞かせください。
 
<答>
虐待認知件数が増えている理由は様々な要因が考えられますが、市民の虐待に対する意識が高くなったことや通告義務が広く認知されたことが考えられます。また、子どもが見ている前での配偶者への暴力や夫婦げんかを「面前DV」と言い、「心理的虐待」の一つに当たりますが、警察などから通告されるケースも増えており、このことも増加の一因と考えます。
虐待件数は、当該年度の新規の虐待件数と継続して関わっている虐待件数を合計したものです。虐待を受けた児童が成人するまで、また、虐待問題が解消されるまでは、継続して関わっています。
直近3年間の新規の件数は、横ばいで推移していますが、継続して関わる件数が多いため、全体の虐待件数は増えています。
また、全国各地では耳を疑うような残忍で決して許すことのできない児童虐待が発生し、子どもの命が奪われる事件が相次いで起きています。こうした事件が起こる背景には、家庭だけの問題だけでなく、社会からの孤立が一因であるとの指摘もされています。
市ではこれらのことを重く受け止め、些細な相談であっても子どもの命にかかわることであるという認識のもと、こうした事件が起こらない、起こさせないよう、子どものいる家庭が孤立しないように寄り添い、未来を担うかけがいのない子どもたちの命を守るため、日々緊張感をもって業務に当たってまいります。
 

<質問>職員体制について

米原市における相談体制の人数の変化を示したものです。現場で対応する職員は現在8名います。3名は正規職員であり、残り5名は会計年度で雇用されている職員です。

対応にあたる職員が今年度から8名に増えました。この人数は、これからも維持していく予定ですか。
 
<答>
まず、児童虐待の対応業務としましては、虐待通告や相談を受けた場合、子どもや保護者の状況について情報収集を行い、ケース会議の場で情報共有をし、必要に応じて、学校や園、彦根子ども家庭相談センター、米原警察署など関係機関とのケース会議を開催し、緊急度が高い場合には、子どもを一時保護するなど速やかな対応を行っています。
 また、緊急的な対応をした後についても、関係機関と役割分担をしながら、子どもの安全確保や保護者の支援にあたり、その家庭を総合的に援助することにより、虐待が繰り返されることが無いよう努めています。
 現在の職員体制により、子どものいるご家庭の相談業務にあたっていますが、関係機関との連携の下、日頃から支援を必要とする家庭への対応や急な事案が発生した場合でも臨機応変な対応を積み重ねてきた経験もあることから、引き続きこの体制により業務に当たってまいります
 
 

<質問>『非常勤雇用の職員』について伺います。

現在5人の非常勤雇用の職員のうち、2人が勤務年数1年です。また、4年目が2人、7年目が1人です。所持資格はすべて教員免許と伺っています。その職員の方は、講習などを受けて専門性を高めて仕事にあたってくださっています。
しかしながら、とりわけ専門性の必要な分野だと考えています。よりより支援のために、社会福祉の資格を有し、経験を積んだ非常勤雇用の職員も雇用することが必要だと考えます。そのため、米原市として実施していることは、なんでしょうか。その効果・結果とともに、お教えください。
 
<答>
家庭相談員を募集する際には、福祉専門職の資格をはじめ11種類の資格・免許の取得者を採用条件としていますが、これまで教員以外の福祉専門職の有資格の方の応募がないことから、結果的に現在の職員体制に至っています。
採用した職員には、相談援助に関する専門的な研修を受講させるなど、実践で生かせる知識やスキルを習得しながら経験を積んでおり、他の福祉関連の有資格者と同様に適切な相談援助ができているものと考えています。
また、くらし支援部内には、社会福祉士が配置されていることから、必要な時すぐに助言を受けることができる環境にあります。
 
<再質問>
福祉専門職の有資格者の応募がないのは、なぜでしょうか。市としてのお考えをお教えください。
 
<答弁>
近年の高齢化に伴いまして、市役所以外の福祉施設をはじめとします、医療施設や介護施設におきましても、福祉専門職の需要が高まっている現状と認識しております。 就職する際には、より安定した身分が保障される正規雇用を優先されることもありまして、そういった動向も一因と考えております。

<質問>『正規雇用の職員』について

子ども虐待対応にあたる正規雇用の職員の中に、今年度、社会福祉士や精神保健福祉士の資格を有した職員がいないと伺っています。社会福祉の資格を有し、経験を積んだ正規雇用の職員も必要ではないでしょうか。また、そういった職員は、児童・家庭分野だけでなく、障がい者、高齢者さまざまな分野で必要になってきていると考えます。
社会福祉の資格を有する職員が、市役所内でいろんな分野で経験を積んでいくことは、市民にとって重要です。社会福祉の資格を有する正規雇用の職員の採用をいまより進める予定について市としてのお考えをお聞かせください。

<答>
子どもを取り巻く多様な課題や虐待事案に、速やかに対応するには、専門的な知識と相談援助などの技術を持つ社会福祉士などの、福祉専門職の関わりが重要です。
 本市では、継続的に福祉専門職の職員採用を行っており、 複数の社会福祉士が福祉に関する部署で勤務しており、精神保健福祉士や介護福祉士の資格を有する職員もおります。
 児童や、高齢の方、障がいのある方など、福祉サービスを必要とする方の相談支援については、暮らしを支える部門での多職種連携が大変重要となります。
このことから、福祉専門職の正規職員の計画的な採用を継続実施するとともに、今後も、社会福祉士や保健師、心理判定員などの有資格者が組織内で横断的に連携を図りながら 関わることで、それぞれの能力を効果的に発揮できると考えておりますので、引き続き、福祉専門職の適正な業務分担に努めてまいります。

<まとめ>

子育て支援課が扱う虐待対応件数が毎年増え続けています。それに対応できるように職員の人数も5人から8人に増やしています。しかしながら、会計年度で雇用されている職員には社会福祉の資格を有した職員がおりません。これは、その職員の方を批判するものではありません。
ただ、現在、社会福祉の資格を有した職員は様々な分野で必要とされています。そういった状況で、専門職としての経験を積んでいく見通しや、生活面で不安定になってしまう会計年度での雇用を選ぶ人は少なくなります。
虐待の支援の現場に社会福祉の資格を有した会計年度の職員が必要だと考えます。米原市として、社会福祉の資格を有した職員の雇用をどうおこなっていくのかの視点が重要になってきます。

子どもたちと過ごす時間をよいものにするために、使わせていただきます。