スクールソーシャルワーカーの配置について_3月定例議会で行った一般質問

<視点>スクールソーシャルワーカーの配置時間・人数の増加を

スクールソーシャルワーカーは、文部科学省が2008年から導入を開始した専門職で、子どもが生活をする場(地域や学校など)を拠点に、子どもの虐待やいじめを予防する地域での活動などを行います。資料をもとに事前調査した、虐待などの発見経路の状況を踏まえ、その配置時間・人数の増加を求める一般質問を行いました。

<質問>現状への市の認識について

 虐待と認定されたケースの相談が、どこからきたのかのデータがあります。その中で、保育所、認定こども園、幼稚園、小中学校などのデータを抜粋したものをお示しします。

米原市における虐待と認定されたケースの相談経路を示したもので、必要な部分のみを抜粋しています。保育所や小中学校等は支援の必要な親子を発見する場として重要な場所になっていることが伺えます。

現場の職員からも、かわらず保護者対応が難しくなっていると伺います。子どもとの関わりではなく、保護者などの対応で職員が疲弊し、退職する理由になっているとも聞きます。支援が必要な親子のもつ課題は複雑です。その複雑に絡まる問題の解決を、現場の先生や保育士などで日常業務の中で行うのは容易なことではありません。

 そのために、スクールソーシャルワーカーがいます。なぜ必要なのか。

 米原市でも出生数が減少しています。そういった中で、安心して子どもを産み、育てるには、それを支える社会をつくることが必要です

しかしながら現状では、児童虐待、いじめなど、子どもの生活や生命が脅かされることが起きています。米原市の子どもは、個人として健やかに成長する権利を有しており、その権利を守り、育ちを保障することが米原市としての責務であると考えます。

とりわけ児童虐待やいじめなどでは、子どもの置かれている生活環境や心身の健康状態等を把握しながら予防・早期発見することが極めて重要であり、子どもの権利を擁護し、子どもに寄り添い、生活上の構造的な課題を理解しながら支援をおこなう、ソーシャルワークがいま求められています。

 こうした状況を改善すべく、子どもが生活する場を拠点に、子どもの虐待やいじめを予防する地域での活動をはじめ、個々の虐待の恐れのある家庭やいじめの兆候を敏感に察知し、適切な支援を行い、家族の再生や人間関係の調整まで支援するのが社会福祉士や精神保健福祉士であり、スクールソーシャルワーカーのさらなる配置が必要だと考えます。

 米原市では今年度から市でも予算をくみ、スクールソーシャルワーカーを雇用しています。その結果か、小中学校などで虐待を発見するケースが増えています。しかしながら、これだけ増えている状況に、スクールソーシャルワーカーは十分対応できる体制になっているとお考えでしょうか。

 <答>
スクールソーシャルワーカーは、問題を抱える児童生徒が置かれた環境への働きかけ、関係機関等とのネットワークの構築、学校内におけるチーム体制の構築、さらに保護者や教職員等に対する支援や情報提供など、多様な支援方法を用いて課題解決に対応するために学校に配置している人材です。

 本市では、県の教育委員会から市内小学校2校に配置されていますが、令和5年度からは市の予算で、2校の配置時間数を増加するとともに、新たにもう1校に配置を行い、合わせて小学校3校に配置しています。

小学校に配置を行う理由としては、より早い段階で児童の環境調整を行うことで、早期の課題解決につながる可能性が高くなるためです。

令和6年度については、新たに小学校2校へ増配置し、市として更に充実した対応ができるように体制を整えていきたいと考えております

 <質問>保育所、認定こども園、幼稚園での虐待の発見について

 保育所、認定こども園、幼稚園で発見される人数が増えていません。全体や、小中学校の増加に対して、保育所、認定こども園、幼稚園で発見される人数が増えていないことの要因を、どのようにお考えでしょうか。スクールソーシャルワーカーの業務には保育所なども入っていると理解しています。

この5年間に、スクールソーシャルワーカーの配置時間のうち、保育所、認定こども園、幼稚園に何時間入ったかわかれば、それとともにお教えください。

 <答>
保育所等では、登園の際に保護者が送迎されることが多く、日々保護者の様子を窺い知ることができます。また、日頃の保育の中で、子どもの健康観察や保護者の育児不安や子育てのしにくさなどの悩みに丁寧な対応をし、虐待を見逃すことがないよう努めています。また、子育て家庭の相談窓口でもある子育て世代包括支援センターや地域子育て支援センターとも連携を密にし、虐待に至るまでの対処ができていることも、虐待発見数が増えていないことに関係しているものと推測します。

 スクールソーシャルワーカーにつきましては、学校現場に配置され、保育所等からの要請に対しても対応いただいておりますが、これまでの要請実績は1回のみです。

 いずれにしましても、児童虐待に関し重要なことは、早期発見・早期対応です。子どもと日々関わり幼児の特性をよく知る保育現場の職員が、子どもたちを虐待から守るため、子どもや子どもを取り巻く家庭が発するサインを見逃すことなく、いち早く気づき対応できるよう引き続き努めてまいります。

 <質問>スクールソーシャルワーカーの配置について

 スクールソーシャルワーカーの配置をさらに増やし、最終的には、各中学校区に1人常勤で雇用するところまで、増やす必要があると考えます。

中学校区に1人いることで、いまより必要な時に相談することができますし、気になることのような段階でも相談でき、スクールソーシャルワーカーが先生にとっても身近になります。

今年度配置時間は増やしましたが、まだまだ十分ではないと考えます。増えれば保育所・認定こども園、幼稚園などでも対応できるようになるのではないでしょうか。さらなる時間増、各中学校区での一人常勤雇用にむけて、市としてのお考えをお聞かせください。

 <答>
令和6年度においては、スクールソーシャルワーカーの配置小学校数を増やすための予算を提案しており、学校や保護者のニーズに対して、よりきめ細かく対応できるようにしたいと考えています。

さらに、スクールソーシャルワーカーが近隣の学校や認定こども園などへ支援に出向いたりするなども、効果的な活用だと考えます。

今後も、県の教育委員会に対して、配置人数や配置時間数の増加について要望するとともに、市においても効果的な活用や人材の確保に努めたいと考えております。

 <まとめ>


全国の小中学校では不登校の児童生徒が約30万人います。不登校の背景には家庭が抱えている課題もあり、福祉的支援を必要とする生徒児童がいます。そういった課題に福祉的な視点から専門的に関わるのがスクールソーシャルワーカーです。

米原市も積極的に配置時間を増やしています。しかし、まだまだ足りない状況だと思っています。スクールソーシャルワーカーは、日常から、地域にも出向き、様々な関係機関と連携をとり、情報共有をすることも必要です。また先生や児童生徒がいつでも、小さなことでも相談できるにはそのためには、いつでも身近にいる常勤雇用が必要です。

本来は国や県が、配置のための予算を組むべきで、米原市が独自に予算立てて行うものではないとも思います。しかし、国や県の動きを待っているだけではいけないと思います。

子どもたちと過ごす時間をよいものにするために、使わせていただきます。