プレゼンテーションの極意

先週の日曜日、ドクター向けのセミナーで登壇したのですが、セミナー開始の30秒前に、
 
「ズボンのチャックがフルオープン」
 
だということに気がついたんですね。
 
「ああ、これはいかん。危うくチャック全開でプレゼンする所だった。」
 
そう思って、チャックの留め具の所に手を伸ばしたら、
 
「既に一番上まで上がっている状況」
 
だったんですね。
 
「チャック留め具は一番上まで上がっている」
 
「にも関わらず、フルオープン」
 
すなわち、
 
「チャックが壊れて下の方から広がっちゃってる状況」
 
に陥ってしまっていたんです。
 
「これはまずい…」
 
僕は焦りました。
「はずかしい」とか「みっともない」とか、そういうことではありません。これは、

「プレゼンテーションの本質を根幹から揺るがしかねない事態」

だからです。
仮にも元エバンジェリストとして言わせてもらうと、プレゼンテーションにおける「一丁目一番地」つまり一番大切な要素というのは、
 
「聴衆の視線(注目)をいかにコントロールするのか」
 
ということなんですね。
そもそも、「プレゼンテーションの目的」というのは、流暢でかっこいいパフォーマンスをすることではありません。
 
「行動変容を促す」
 
ことです。例えばプレゼンテーションを聞いた人が、
 
「とても勉強になりました。」
 
とだけ言っている時、そのプレゼンテーションは失敗しています。
なぜなら、
 
「プレゼンテーションの前後で何ら行動が変わっていないから」
 
です。一方で例えば、
 
「とても勉強になりました。この後、◯◯というシステムの導入に向けて情報収集を始めてみようと思います。」
 
と言っているのであればそのプレゼンテーションは成功です。なぜなら聞いた人の行動に変化をもたらすことが出来ているから。
 
プレゼンテーターは、聴衆の行動変容を促すためのシナリオ(シナリオにも色々あるけどそれはまた今度)をしっかりと準備し、それをプレゼンテーションの場でしっかりと聴衆に伝えていくということになるのですが、
ここでもう一つ重要なポイントがあって、
 
「基本的にプレゼンを聞いている人は驚くほど集中力がない」
 
と思ったほうがいい、ということです。
例えばみなさんも、人生で一度は何かしらのプレゼンテーションを受けたことがあると思うのですが、一般的に人が何かを喋っているのを聞いている時って、「気が散る要素」がほんとに沢山あるんですよね。
 
・携帯のバイブがなって、つい携帯を見てしまう
・壁掛け時計をみて、「あ、あと5分でお昼だな」って思ってしまう
・「今喋っているあの人って変な口癖があるな」って思ってしまう
 
などそんな感じです。
なので逆に、プレゼンテーターは、自分の用意したシナリオをできるだけ100%に近い状態で聴衆に伝えるためにも、
 
「気が散る要素をいかに排除するのか」
 
ということに最大限注意をする必要がありますし、聴衆の視線(注目)を常に主体的にコントロールしながら、
 
・スライドを使うのであれば、そのスライドのどこを見て欲しいのか
・動画を流すのであれば、その中でどこに注目して欲しいのか
・デモをするのであれば、画面上の何を見て欲しいのか
 
このあたりを的確にリードしていく必要がある、というわけです。
 
話をチャックに戻しましょう。
僕は、
 
「聴衆の気が散る要素をいかに排除し、視線を主体的にコントロールすること」
 
の重要性について一生懸命説明させてもらったわけですが、
 
「プレゼンテーターのチャックがフルオープン」
 
という状況は、聴衆の立場からすると、
 
「めちゃくちゃ気が散る」
 
状況なわけです。
また、「視線を誘導する」という観点においても、間違いなく聴衆の視線は、
 
 
  
 
 
 
「股間」

 
 
 
に集まってしまうわけです。
しかもですね、そのとき履いているのが黒のボクサーパンツとかなら、まだよかったと思うんですよ。
僕そのとき黒いズボンを履いていたので、うまくズボンと一体化してパンツが全然目立たない感じになるので。
 
ただ、僕その時はいていたのが、
 
「白地に薄紫のチェック柄」
 
のパンツだったんですね。
いやまあ、
 
「その柄なんだよ」
 
って思うかもしれませんが、なんというかこう、すごく、
 
「いかにもパンツっぽい柄」
 
だったんですよ。間違いなく聴衆は、
 
「てか、あいつのあのパンツの柄、何?」
 
って思いますからね。
気が散るどころの騒ぎじゃないわけです。
 
「どうしよう…」
 
開始時間は目前。いや、すごく焦りました。
というか、そもそも論として、
 
「登壇者用の机から一歩も動かなければ、聴衆に僕の股間がさらされるということも無いんじゃないか」
 
という話もあるんですが、基本的に僕って歩き回るスタイルのプレゼンをするんです。
プレゼンテーションのプロとして、自分のスタイルを捨てて一歩も動かないというのはあり得ない。
 
ためしにジャケットのボタンを全部しめてみたんですが、それでも全然隠れません。
 
いよいよプレゼンが始まってしまいます。
 
 
 
…結局、僕はそこから1時間超、
 
「常に左手を股間近辺に置くスタイルで」
  
- そう、まるでマイケル・ジャクソンのように、
 
思い切りプレゼンテーションをやりきりました。
 
なんだろう。常に股間が気になっていたからでしょうか。
 
丹田(たんでん)を意識して、腹から声を出すことができました。
 
結果として、とっても良いプレゼンテーションができました。
 
みなさんにそんな報告がしたかったんです。僕。
 

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

11

田中大介

田中大介のノート

田中が考えていることや感じたこと、起こったことなどをランダムに発信しています。
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。