「あ゛」の読み方

「あ」に濁点をつけると、
 
「あ゛」
 
になるじゃないですか?
漫画のセリフなんかではたまにこの表記が使われることがあると思うのですが、いやいや、
 
「あ゛」
 
って、どう発音するんだよ?
今までずっとそんな風に思ってきました。
ただ、実は昨日人生で初めてその、
 
「あ゛」
 
を耳にする機会がありまして、そのことについてお話をさせていただきたいんです。
 

我が家のすぐ近くには日赤病院がありまして、その中にタリーズが入っているんですが、
休みの日は、そこでちょっとお茶をしたりするんですね。
昨日も外出の帰りに家族でそのタリーズに寄ったんですが、席に座るやいなや娘が、
 
「ウンチしたい!」
 
と言い始めたんですよ。
奥さんは下の子の面倒をみていたので、
 
「わかった。わかった。じゃあパパと一緒にトイレ行こうか。」
 
と言いながら立ち上がろうとすると、
 
「もれちゃう!」
 
と娘が言うんです。
小さい子を持つ親なら誰しも共感していただけるかと思うんですが、

「ウンチがもれそうな子ども」
 
って、
 
「導火線に火が付いた爆弾」
 
みたいなものですからね。
いつ爆発するかわからない状態な訳です。
 
「これは急がねば。」
 
そう思って慌てで娘を抱きかかえて、日赤のトイレまでダッシュしました。
トイレには個室が二つあったのですが、そのうちの一つは埋まっている状況。
もう一つの空いている方に入れば事なきを得られそうだったのですが、実はその時、トイレ内ですぐ目の前に、
 
「ものすごくゆっくり歩いているおじいちゃん」
 
がいたんですよ。
そしてこのおじいちゃん、なんとなく、
 
「大の方」
 
つまり、
 
「僕が狙っている個室」
 
に向かっているような感じがしたんです。
ただ、歩くスピードが尋常じゃなくゆっくりなので本当に大の方に向かっているのか確証が持てない状況なんです。
 
もしかしたら、おじいちゃんが向かっているのは小の方かもしれない。
 
でも、なんとなく体の向きは大の方に向かっている気がする。
 
僕はいつウンチを漏らしてもおかしくない爆発寸前の娘を抱えている。
 
追い抜こうと思ったらすぐにでもおじいちゃんを追い抜くことはできる。
 
でも、もしおじいちゃんが大の方に向かっていたとすると、「もう少しで個室に入れる」と思っていたギリギリのタイミングで僕達に横入りされることになってしまう。
 
だとすると、安心して気が緩んでいたところに急に絶望感を与えることになってしまう。そしておじいちゃんはその絶望感に耐えきれずに漏らしてしまうのではないか。
 
とはいえ、うちの子だっていつ漏れてもおかしくない。
 
ここで漏らすべきなのは、うちの娘か。おじいちゃんか。
 
その様な逡巡の後、
 
「おじいちゃん、大の方だったらごめんっ!!」
 
心の中でそう叫びながら、僕はそのおじいちゃんをさっと追い抜き娘を連れて空いている個室に駆け込みました。
おかげさまで僕の方は娘のウンチが漏れる前に無事トイレに座らせることが出来ました。
ただ、その数秒後でしょうか。
 
 
 
 
 
 
「あ゛ぁ…」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
というおじいちゃんの絶望の溜息が扉の外から聞こえてきたんです。
確実に、
 
「あ」
 
に、
 
「゛」
 
が、ついてました。
というか、おじいちゃんごめん。
 
「大」
 
の方だったんだね…
 
一体あのとき僕はどうすべきだったのか?

いまだに悩み続けているんです。

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田中大介

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