マキビノダイスケ

2019.06.09に兵庫県丹波市で薪火野(まきびの)というパン屋を始めました。手で捏…

マキビノダイスケ

2019.06.09に兵庫県丹波市で薪火野(まきびの)というパン屋を始めました。手で捏ねて発酵させて、薪窯で焼くパン屋です。http://makibino.com

マガジン

  • "光"制作日記 「春望」

    「光」という通販でのパンセットを作るにあたっての日記です。暖かくなるまでにはできるかな。

  • 旅するパン屋

    パン屋が旅をした軌跡です。

  • スペイン巡礼

    スペイン巡礼の軌跡です。

最近の記事

二月二四日 「眠り」

心地よい光で目が覚める。昨日の余韻が波紋のように残る。今日も天気はいい。帰るにはちょうどいい。 いつもどおり布団をたたみ、押し入れにしまって少し掃除をする。 好きな音楽をかけてコーヒーを淹れる。 持って帰る書類をまとめて車に積んだ。思い出も一緒に。 馴染みのラーメン屋さんで中華そばと半チャーハンを食べた。店主さんとラーメンに使う返しの話で盛り上がる。試しに返しだけ飲ませてもらった。口に入れた瞬間のしょっぱさとは違い喉を過ぎた後からくるキリリとした辛さがこの味を作っているの

    • 二月二三日 「音楽のある風景」

      この日のために自分は関東に残ったんだ。 目を閉じて流れる音に耳を傾ける。 この半年間の出来事が走馬灯のように頭をよぎる。 不思議なことにその後に浮かんだイメージは今から20年以上も前、小学校に入りたての頃の記憶だ。 引越し前で今実家がある場所とは別の場所で別の学校に通っていた。小学1年の夏休みまでという短い期間だったけれど、あんなにも時間が長く感じたことは今でもあの期間だけだ。 全校生徒が100人ほどの学校だった。学校自体が大きかったし周りは森と田んぼに囲まれていてその

      • 二月一六日 「回想」

        もう当分来ることもない、まして実家もないので帰って来る理由も少なくなる生まれ育った場所。 最後にとか、そういう気持ちではなくて、この機会に歩いて、触れて、空気を感じてみようと、思い出の場所に向かった。 自分の今は中学生時代にあると思っているんだけれども、そんなかけがえのない期間を過ごした学校。 自分の今は中学生時代にあると思っているんだけれども、そんなかけがえのない期間を過ごした学校。

        • 二月二三日 「光、一杯の珈琲」

          カーテンから洩れる光で目が覚める。 初めて、生まれて初めて布団を頭の上まで被っていた。 それだけ光が強かったのだろう。 音楽をつけてコーヒーを入れた。 この部屋で過ごすのも後わずかだ。それとは反比例に居心地が良くなってきていて離れるのが寂しい気持ちも募る。 浅草まで用事を済ませに行く。変わらず外国人も多い。変わったのは口元ぐらいか。それでも訪れたいと思う日本の魅力とはなんだろうか。 こちらで仲良くなった方に多く焼いてしまったパンデピスを渡した。口に合えば幸いだ。話をしていて

        二月二四日 「眠り」

        マガジン

        • "光"制作日記 「春望」
          11本
        • 旅するパン屋
          15本
        • スペイン巡礼
          12本

        記事

          二月二一日 「帰る場所」

          日の光で目が覚めた。 物が少なくなると日の光なんだか強く感じる。光が部屋に占める割合が多くなっているんだろう。 気持ちがいい。 天気が良かったので窓を開ける。洗濯をしながら掃除をさっと済ませた。コーヒーと茹で卵と残りのパンで朝ごはんを済ませる。今日の茹で卵の茹で加減はレアというところか。 家の掃除をしていて25年以上前のビデオカメラがカセットと共に出てきた。覚えていないが友人が働くカフェの裏手にある公園での記録が残っていた。 思い出をたぐり寄せるようにその公園に足を運んだ。

          二月二一日 「帰る場所」

          二月二十日 「暗闇の中の光」

          朝一で昨日梱包したパンデピスを佐賀に向けて発送した。有難いです。 残っていた家の片付けを進める。収入もなくお金もないので片付けは友人に手伝ってもらいながら全て自分でやっている。業者に頼まなければほとんどお金はかからないしダメ元でリサイクルショップに持ち込めば案外買い取ってくれる。捨てなくて済むのもまた嬉しい。なんでもやってみるものだ。勉強になった。 これを踏まえて、やってみることの大切さは日々思う。リスクも伴うけれどもそこでうまくいくよりも失敗することの方が大切で自分にとっ

          二月二十日 「暗闇の中の光」

          二月一九日 「焦りと高揚」

          毎日毎日部屋の物が少しずつ少なくなる。気持ちも軽やかになる。 正直2月に入った時はパンを焼かないといけない、そう思う気持ちが強くて能動的にパンが焼きたい、とは思えなかった。 日記を書きはじめてからだろうか、早くパンを焼きたいと思うようになった。 石臼を小麦用に目立ててもらう都合と23日に東京で予定が決まっていたのでその日まではいるしかない。 焼きたい分もどかしさもあるけれどそれもまた必要だったんだ。 家電製品もほとんどなくなった部屋は気持ちがいい。自分がいたくなる空間はこ

          二月一九日 「焦りと高揚」

          二月一八日 「終わりと始まり」

          「光」を作り始めてしまったので終わりを決めなければならない。 さて、終わりはどのようにやってくるのだろうか。人は命を全うすると終わるのだろうか。その後は旅立った君にしかわからない、暗闇が果てしなく広がっている無の状態なのかもしれない。光が差し込む豊かな場所なのかもしれない。 絵を描く人に尋ねてみたことがある。あの絵の終わりはどう決めるのですか?そう尋ねると、その方は少し黙って無愛想にこう言った。 「その時があるのよ。それはもう感覚。私が終わりと思ったら終わりなの。」

          二月一八日 「終わりと始まり」

          二月一七日 「尊い円を描くように」

          今日は東京まであるものを受け取りに行った。 実家に帰ってきて電車では何回か訪れていたけれども車で行くのは久しぶりだ。 帰ってきていろいろなご縁をいただいたのだけれども、再開後、直接パン作りに大きく影響してくることは石臼が大きくなることだろう。 今日は国産の石臼の引き取り日だった。長くやられていたお蕎麦屋さんが店を閉めるということで使われなくなってしまった石臼だ。ミツカさんという会社のもので本社が浅草にあり、帰りに寄らせていただいて目立てを小麦ようにしてもらうようにお願

          二月一七日 「尊い円を描くように」

          二月一五日 「黒と白」

          光は身近であって、だけれどもなかなか見えにくいものだ。 僕自身休業した半年間がなかったら光を作ろうとは思わなかったし、ここまで光について想いを巡らすこともなかったかもしれない。 孤独と闇、聞いても見ても、書いても、良い印象は受けない字面だ。 だけれども光は必ずここに存在していた。 わずかでもほんの一握りでも見えていれば大丈夫。そんな一筋の光は隙間から木漏れ日のように広がっていく。そんな尊い光をどうやったらパンとして形にできるのか、あまり難しいはなく

          二月一五日 「黒と白」

          二月一四日 「光」

          大枠は決めているものの詳細は決まっていない。 "光" どんなものになるんだろうか。 楽しみだ。 どこまで光に近づけるのか。 一握りの光を頼りに作っていく。

          二月一四日 「光」

          星の大海原とバナナと宝島と

          大学3年生の時、僕はとある学生プロジェクトに参加していた。 "宝島の海と歩む大学プロジェクト" 度々、話しているような気がするけど、詳しく話してはいない気もする。 好奇心だけは強かったその時の僕は都内の花火大会のバイトで出会ったショーゴに誘われてプロジェクトに参加させてもらうことになった。 とりあえず直近の夏に宝島という鹿児島からフェリーで13時間の場所にある離島に行くことが決定した。 宝島の海は本当に青い。 まさにターコイズブルーだ。 沖縄や

          星の大海原とバナナと宝島と

          スペイン巡礼11日目

          朝日と歩く。 しっかり板につきました。 少し肌寒い早朝日が昇る前に宿を出る。 最初に見つけたカフェで軽めの朝食。 この時決まってカフェコンレチェを頼む。 一息ついて今日一日歩くための英気を蓄える。 身体的にということもあるが気持ち的なところが大きい。 よし、今日も朝から美味しいものを食べたからたくさん歩くぞ、という気になるのだ。 ................ 今日からサニーさんと二人で巡礼。 改まって二人で話しながら歩くとサニーさんの話がすごく興味

          スペイン巡礼11日目

          スペイン巡礼10日目 ノーエチケットワインと美味しさって。

          早朝の街といえば大抵ゴーストタウンだ。 そして肌寒いので日が出始めるくらいまではフリースを着ている。 少し歩くと温まってくる。 今日でジェシカとグレイスとはお別れだ。 二人はこの先Santo Domingo de la Calzadaからバスで大都市Burgosへ向かうようだ。 巡礼の仕方は自由だ。荷物だけタクシーで次の目的の街まで運んでもらっても、バスで移動してもいい。 進み続ければいいのだ。 .................. グレイスとジェシカとは

          スペイン巡礼10日目 ノーエチケットワインと美味しさって。

          スペイン巡礼9日目 乳の誘惑

          初の早朝から雨が本降りの巡礼9日目です。 こんな日は自然と巡礼路の途中にあるカフェに足が止まります。 節約して乾き物とパンばかり食べていると水分と油分がある食べ物が食べたくなります。 朝ごはんは最初のカフェで食べるのが恒例になっていましたし、それがかなり楽しみになっていました。 あると食べてしまうのが”スパニッシュオムレツ”だ。 いくカフェそれぞれで少しづつ味が違う。 そこにパンが一切れついてくるのだけど、常にパンは常備していたのでたりな分、自分で追加していた

          スペイン巡礼9日目 乳の誘惑

          ぼくが薪窯パン屋になろうと決めた理由

          初めまして!兵庫県丹波市"薪火野”(まきびの)というパン屋の代表、中山大輔です。 手でこねて自作のフランス式薪窯でパンを焼きます。 大好きな旅を通して見てきたパンの外側の世界から見たパンのことを中心に日本の食についてこれからnoteで書き綴っていこうと思います。 今、ぼくは28歳だ。 パン屋になろうと決めたのは23歳の時。 大学を卒業する半年前。 "世界を変えるためには”という世にでることのなかった卒論を書き上げた直後だった。 今読み返しても身の毛もよだつ浅はか

          ぼくが薪窯パン屋になろうと決めた理由