星の大海原とバナナと宝島と
大学3年生の時、僕はとある学生プロジェクトに参加していた。
"宝島の海と歩む大学プロジェクト"
度々、話しているような気がするけど、詳しく話してはいない気もする。
好奇心だけは強かったその時の僕は都内の花火大会のバイトで出会ったショーゴに誘われてプロジェクトに参加させてもらうことになった。
とりあえず直近の夏に宝島という鹿児島からフェリーで13時間の場所にある離島に行くことが決定した。
宝島の海は本当に青い。
まさにターコイズブルーだ。
沖縄や奄美の海も綺麗だけど、宝島の海はまた別次元の美しさだ。
だけれど悲しいことに漂着ゴミが多い。
島に住む子供達は天然の海を使ってプールの授業を行うんだけれど、そこに漂着するゴミが特に多い。
そのゴミ問題の調査とゴミに関するワークショップを島の子供達に行うのが第一のミッションだ。
プロジェクトの期間、僕ら大学生はこの島に住む坂井夫婦にお世話になっている。
島でビオのバナナを栽培している。(今は熊本のサイハテに移住してバナナは作っていません。)
これだけでちょーすごいのだけど、何より美味しいのだ。
バナナは小ぶりだけれどもとにかく味がいい。
そしてもう一つ、僕ら自身に課せられたミッションがある。
衣・食・住について大学生の今、考え直してみる、というミッションだ。
宝島では便利なコンビニやスーパーもない。
あるのは1日に6時間だけ開く売店のみ。
3日に1回鹿児島本島から物資が届くけれども、海が荒れればフェリーでの運搬は困難となり一週間、島に何も届かないことだってざらにある。
服もなかなか買いに行くことはない。
だけれども、自分の気に入った服を着たい。
だから最低限の材料は通販で揃え自分で染めたりして好みの服にする。
最近では宝島のバナナの葉っぱの繊維を使い織物開発が盛んになってきているようだ。
お医者さんもいないので、病気しないように普段から気をつけなければ痛い目をみる。
子供ができれば自宅出産も多々ある。
夜になれば街灯もほとんどない島は暗闇に包まれる。
目が慣れることはない。
ただそこには、満天の星空と見たこともないエネルギーを放つ月の光がある。
土地はある、だけれども島に工務店はない。
あるのは自分達の作りたい家の妄想だ。
やらざる終えない状況になった時、人は本当にポジティブでキラキラしたエネルギーを発揮するんだ。
島に住む人達を見て、話して、一緒に生活して、心から生きているんだと思わされた。
これが生きることなんだって。
僕はずっと何かをいつも探していた。
島にきて初めてそれが何かわかった。
ずっと生きている実感が欲しかったんだ。
だからこそ、できもしないギターやベースをかき鳴らした。
睡眠時間2時間でひたすらバイトした。
みかん農家で真夏の茹だるような暑さの中草刈りを毎日した。
ひたすら図書館にこもって世界の真理を見つけようとした。
世界を変える、そう掲げた会社に憧れた。
大学生の僕は本当に、本当に浅はかだったけど、探していた。
生きて実感を求めていた。
宝島のお話は僕にとってはすごく大切なお話。
少し長いので続きはまたの機会に。
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