『ママはバーテンダー~今宵も踊ろう~』


紫吹淳主演のドラマ
「ママはバーテンダー~今宵も踊ろう~」
が1月19日よりBS-TBSで放送が始まった。

紫吹淳といえば、宝塚男役トップに登り詰めた人気のタカラジェンヌだったが、引退後はその役者としての評価よりも私生活の「世間知らずのお嬢さん」「家事の出来ない人」という、役者としてはマイナスなイメージが先行してしまったせいか、それが理由かまでは定かではないがテレビドラマでの主演はこれが初めてだという。

そんな彼女だったが、自粛期間中は料理にも挑戦。その中々の腕前を自らのインスタグラムで披露して見せ、ファンを驚かせたのは記憶に新しいところだ。

私は、宝塚時代の男役として絶大な人気を誇っていた頃の紫吹淳を知らない。むしろ、バラエティ番組で垣間見せた「家事の出来ないお嬢さん」というイメージが何だか可愛らしく、むしろ宝塚にその青春を捧げた一途さというものを感じ、素敵な人だと思っている。

とにかく、いい意味で純粋で一途な人というのが私の彼女の印象だった。

一芸に秀でた人でしかその人生を歩めない。

そういった特別な人生を歩いて来たような、そんな浮世離れした紫吹淳に素晴らしい打ってつけな役が、やっと彼女のために用意されたドラマ。

それがこの「ママはバーテンダー~今宵も踊ろう~」である。

紫吹淳演じる星野あかりは「BAR 1511」で働く二人の子を持つシングルマザーのバーテンダー。それもただのバーテンダーではなく「伝説」のバーテンダーである。

黒いタキシードに身を包み、それはそれは格好いい。カクテルを作る姿や佇まい、カクテルを差し出した時にするウインク等、黒燕尾服を着て颯爽とした宝塚男役時代の紫吹淳を想起させるようで、板についた着こなしはさすが元タカラジェンヌである。

宝塚男役トップだった紫吹淳を観ていたファンは、きっとその時代をこのドラマを観て懐かしんでいるのではないだろうか。

芝居や台詞回しには、やや宝塚調の男役独特のクセがまだ若干残っているところも感じられたが、それはそれでこのドラマでは違和感を持たせない。

むしろ、紫吹淳ファンを喜ばせるものになっているように感じられる。

そして、カクテルを作る時に映し出されるタキシードからの真っ赤なフラメンコドレスを身に纒い、軽やかに踊りステップを踏む紫吹淳はやはりショーというものが何より似合う。

30分一話完結のドラマだが、多彩なゲストが登場し毎回ごとに視聴者を楽しませてくれそうな、そんなドラマに仕上がっている。

宝塚の男役だった紫吹淳が、見た目そのままテレビにタキシードを着て出ているという状態から、どんな風に二児の母であり、伝説のバーテンダーである星野あかりを演じていくのか、これから大いに期待したいところである。

2023年1月20日・書き下ろし。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?