トオイダイスケ Daisuke TOI

音楽家。ここでは音源の有料配信、および長いテキストを発表します。 URL: https://daisuketoi.com/ Twitter: @daisuketoi

『HOCHONO HOUSE』を聴いて思ったことの覚書

「恋は桃色」のドラムが、ほとんどテンポディレイだけでできているかのような印象を与えている。ドラムパートを全体のなかで漠然と聴くと(つまり普通の聴き方で聴くと)キックとスネアしか鳴っていないような印象かつ、本来ハイハットでやる細かいこともテンポディレイで鳴るスネアが一括して扱っているような印象がある。

また、ボーカルトラックにわりと小さくはないノイズがあることが曲の序盤ではよく分かるが、そのノイズ

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甘くない今をしなやかに踊る――細野晴臣『HOCHONO HOUSE』を聴いて

細野晴臣『HOCHONO HOUSE』はすばらしい作品だ。自身の45年前の過去作である『HOSONO HOUSE』のリメイクだが、焼き直しでもオリジナル版の改良でもなく、細野晴臣が45年間に行ってきた活動の様々な面ともともとルーツとして身に付いていた音楽性が反映されている新鮮な新作として聴けるアルバムだと言える。
最近の細野晴臣のアルバムは、好きな昔の音楽をやる(ただし今の仲間と、今の技術で)こと

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見る行為は、見ることだけではない

映画「ナイトクルージング」(https://nightcruising.net/)を観た。とてもおもしろかった。

この映画は全盲の人が映画を監督として作る様子を追ったドキュメンタリーだ。そのため本編の中でその作られた映画そのものも上映される。二つのそれら作品を観て、「見る」もしくは「観る」ことは、視覚情報を受け取ることだけではない五感や認識を総動員させて感じることであり、その「観る」時間を生きて

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私の好きなアルバム

自分が聴いてきた音楽のアルバムのなかで好きなもの上位いくつかは何かを改めて考えて書き出そうと思った。なぜかというとこのことは自分にとっては自分が作りたいと思う音楽のありようについて考え直す土台となると思ったからだ。自分は何が好きだったのか、何を快楽と感じるのか、何をかけがえがないと感じるのか、忘れるはずがないと思っていたが随時自分に言い聞かせていなければそれは離れていく。何をそうだと思うのか変わる

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(特に)好きな曲

音楽を何でも聴いていろいろなものをいいと思ってそれらについて話もできる人のことをすごいと思う。自分はそうではない。自分は以前学生の頃は神保町や小石川に行ってCDを週に5~10枚借りてきて一通り聴いてみて、好きな曲を見つけるとそれを繰返し聴き、そのアルバムをMDに録音して手元に残していた。とにかく数を多く聴きたかったからたが、好きになって後々も聴くものは全体の5分の1以下というところだったし、手元に

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人気があるものと人気がないものの違いについて考える

ある集団のなかである人が人気があるのはどういうことか。まず集団のなかで頻繁に見られることが重要だろう。たまにしか見られないが人気があるという例もあるが、その人気には別の理由がある。まず重要な条件として頻繁に見られるということはあるだろう。

 その集団の多くの人がある程度共有するシンプルな価値観を明確に体現している人は人気を多くの人から得るだろう。

 その人と直接接したときにおもしろいとか楽しい

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