20190206

 私が子どもだった頃はどこから情報を手に入れたりコンテンツを手に入れたりしていただろうか。

 ※テレビ(地上波、BS、途中からCS)

 ※ラジオ(AM、FM、短波)

 ※新聞(全国紙、地方紙、スポーツ紙、業界専門紙、特定団体紙)

 ※雑誌

 ※映画

 ※ビデオ(レーザーディスク、DVD)

 ※CD(レコード、カセット)

 上記全てが、今ではインターネット上でデジタルデータとして扱えるようになった。

 テレビとラジオは生放送であればインターネット経由だと若干のタイムラグがあるのだろうか。また場所や環境によっては電波を直接受信する旧来の視聴のほうが快適な場合もまだわずかにあるのかもしれないし、なくしてしまうと災害時など問題があるかもしれない。

 新聞や雑誌にメリットがあるとすれば、斜め読みや適当に開いて即本文に当たれるということだろうか。インターネット上の記事ではどうしても見出しのリンクから特定の記事のみを見たり、その記事の関連記事のみを見ることになりがちだ。なおかつ特定の記事のみ読んで終わるか、関連記事を無尽蔵に読もうとしてしまうか、つまり短時間か長時間しかアクセスのありようがないし、それが読む人の関心や体調によって左右される。新聞や雑誌もそうではあるが、特定の量の紙にまとまっている以上、アクセスできうる記事の傾向を作る側がコントロールできるし、量の上限があることによってその新聞や雑誌の記事を全部読む人が生まれ得る。それにより様々な記事やジャンルに対する新たな読者を開拓することができる。インターネット上の記事だと新たな読者の開拓はメディア主導では難しい。個人の投稿やその口コミ主導にどうしてもなる。というより、インターネット上に特定のメディアがあるという認識自体が持つことが難しい。以前はポータルサイト的な存在が成立したが今ではほとんどの記事をSNS経由でアクセスするだろう。そしてSNSで影響力を持つのはメディアの公式アカウント以上に「おもしろい個人」である。

 メディアであるというあり方自体がお金をとることができる形態だったが、今やほとんど同じことを個人がインターネット上で無料で行っている。もちろん一次情報を提供するには取材の手間や技術や経費がかかるからそういった旧来のメディアがすぐになくなりはしないが、メディアが発する一次情報を噛み砕いてコメントする「おもしろい個人」や、メディアが発する見出しおよび見出しについての様々な人のコメントだけで満足している人はかなり多い。一次情報にお金を払ってきちんと知るだけの価値を見出だしていない人が増加したと考えられる。情報をきちんと知りたい気が多くの人にはすでにないか、無料でチラ見する程度なのにきちんと知っている気になってしまっているということだろう。もっとも、新聞雑誌の隆盛の時代だって多くの人はその程度の読み方考え方ではあったかもしれない。熱心に何かをしたい考えたい人々からしかお金と手間はかけてもらえないのが基本なのだろう。

 映画の最大の特徴は大画面大音量で映像およびアニメーションおよびドラマを楽しめることだろう。これは誰もが家でできることではないので特殊体験としてあり続ける。ミニシアターの規模のものが維持できなくなっているのは、映画館に限らない環境でのインターネット配信にするなどしかないのだろうか。

 インターネット上で多くの人が何を楽しんでいるかというと、主にSNSと動画だろう。このふたつは、旧来テレビ・ラジオ・映像ソフト・音源ソフトがもたらしていたものを全て代替し得る。テレビとラジオはもともと広告収入ビジネスで誰もが参入できるものではなかった。映像音源も商品クオリティのものは企業と関わらないと作れなかった。つまりたくさんのお金をかけて作られるのが普通で、かつ作られるコンテンツの供給量や供給ルートが限られていた。そこにクリエイター側として参入するには企業なりお金を出す立場からの承認がなければならなかった。

 コンテンツにお金を払うという意識は人々に以前どの程度あったのだろうか。そのお金は何に対して誰に対して払っているという意識だったのだろうか。単なる端金という意識でしかなかった部分も大きいのではないか。

 CDを買うときに、関わっているコミュニティでの話題に参入するための情報を得るためにそれを買う、という視点もあっただろう。またコミュニティ内の他の人が知らない情報を得て自分が情報発信源になるという目的もあっただろう。それらの欲求はインターネット上で無料で(厳密にはプロバイダ費や接続費などで)得られるようになった。コンテンツ自体の価値でなくコンテンツを話題とすることの価値だ。話題とされ得るコンテンツは付加価値を付けやすいとみなされるのでそれを作る人にに対してお金を出す存在も出てくる。人が人と生きる以上、おもしろいものを作る人を求めることやその数の多少に伴って起きることは今も変わらないのかもしれない。

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