会見記録 「本日の夕食について」

 「まず本日19時ちょうど、鳥の肉片を小さく切断しました。大きさは約40mm。19時08分これらに塩化ナトリウムを主成分とする粉末を塗布しました。


19時15分 高濃度の赤外線に当て加熱処理しました。肉片の温度は部分的に100℃を越えたと思われます。


その際、部分的ではありますが肉片に炭化がみられました。口に入っても直ちに健康には影響しませんので過剰な反応はせずに冷静に食べていただきたいと思います。

では質疑応答に入ります。」


Q「赤外線の発生源について説明を求めます」


A「燃料の炭素を大気中の酸素と反応させて、いわゆる燃焼ですね、
  その際に発生する赤外線を使っています」



Q「一部の識者によると炭素単体の塊では酸素との反応は継続しないと述べています。何か公開されていない特殊な燃料を使っているのでは?」


A「燃料の炭素、いわゆる木炭には炭酸カリウムが含まれています。これが助燃作用を持っています。炭酸カリウムは炭酸マグネシウムなどと一緒に灰色の粉末として燃え残ります。」



Q「赤外線は人体に危険性はないのでしょうか?」


A「肉片を処理する際に発生する赤外線は作業員にも多少は届きますが
十分距離を取っておりますので、全く健康には問題ありません。そもそも人間からは微量の赤外線が発生しています」



Q「万が一作業員が高濃度の赤外線を近距離で被曝した場合、死亡する事はありますか?」


A「いえ、そのような事は想定しておりませんが、もし、これはありえないことですが、もし作業員が全身を強力な赤外線に晒された場合は、状況によっては死亡もありえます。ですが」

  ザワザワザワ

  

Q「鳥、と言われましたが、種類・産地・育成状態などの説明をお願いします」


A「鳥は・・・ニワトリと思われます。えー国産と聞いておりますが、その、国内のどこかという部分については今の所確認されておりませんが追って調査していきたいと、また、育成の状況なども同様に 調査、していきたいと、考える次第で、あります」


Q「それはつまり、一体どのような肉片かわからないまま 作業を進めていたということですね?」

A「・・・」



Q「肉片に添加されている塩化ナトリウムという物質について伺いたいのですが、国が基準とする成人男性の摂取量を教えてください」


A「えー、これはあくまで基準という事ですが10gまでの摂取が健康に良いとされています」



Q「本日19時08分に使用された塩化ナトリウムの量を教えてください」


A「・・・・えー、使用された粉末の総量は30gですが」

    ザワザワザワ

 「この30gのすべてが塩化ナトリウムではありません。何%の塩化ナトリウムが含まれていたかについては現在解析中ですが まず、塩化ナトリウムが10gを超えたからといってすぐに健康に影響がでるわけではありません。落ち着いて行動してください。現状では安全なレベルだと考えております」

      ザワザワザワ


Q「大量の塩化ナトリウムを取り続けると体内の血液の圧力が上昇して死亡するのでは?」


A「いえ、それは直ちに影響が出るわけではありません。確かに一度に大量の塩化ナトリウムを取ると健康に影響を及ぼす場合もありますが、それは」

    ザワザワザワザワザワ

Q「国民が不安になっているという認識はおありですか?」


「・・・・念の為、焼き鳥の半径10kmから避難してください・・・・」


※この文章は2011年3月25日に書かれたものです。


 

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