夢中の人、努力の人

夢中の人がいた。歌を歌うのが好きで好きでしょうがないという人だった。いつも歌っていて、音楽の学校にも行って、何年もプロを目指していたけれど、結局それは叶わなくて歌の歌い方を子供に教えている。一番の理想は叶わなかったけれど好きな歌を歌えている。

夢を叶えたくてそれをするのか、それをするのが好きだからしているのか。両方を分けられるものでもないけれどバランスはある。夢中になっている人をみて努力の人は”努力して素晴らしい”と評価するかもしれない。夢中の人はそのことにすら気がつかないかもしれない。努力か夢中かは本人の主観で決まっている。

努力は取引の世界だ。夢を叶える為に努力する。夢が叶えば報われた事になり、叶わなかったら報われなかった事になる。プロセスは結果によって評価される。未来志向で、いつも意識は先にある。頑張りきれればもちろん素晴らしいけれど、もし頑張っても頑張っても夢が叶わなかった時、あれだけやったのになんで僕は私は報われないんだという言いようの無い思いが残る。

夢中には先は無い。とにかく今ここだけがある。究極は報われなくても構わないと思っている。夢中でそれができているその瞬間が既に幸せとしてリターンを産んでいる。夢中は即時報酬の世界だ。

何かを目指す人は努力と夢中の世界を揺らいで生きている。好きなことをやれているという点で幸せかもしれない。でも、できればどこかで大きなものを掴んで報われたい。両者のバランスの中を人は生きている。ただ、時に努力の感覚が強くなりすぎた時、夢中に戻れる方法を持っておいた方がいい。人は夢中から始まり努力の世界に入る。夢中に戻りたい時が人にはある。

2014年10月07日 blogより

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Dai Tamesue(為末大)

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