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強さについて

質問箱で強さについて質問があったので回答します。

強さとは「その環境で勝利条件に対し有利に働く特性のこと」です。

生物の世界ではリチャードドーキンスの言葉を借りればいかに遺伝子を増やし伝えていくかが目的となります。言い換えればそれが勝利条件です。勝利条件とはそこに至れば至るほどいいことだということです。例えば、食物の豊かな時代では体の大きな個体は戦う上では有利だと思います。一方で食物が不足すると、体の大きな個体は十分なカロリーを摂取できず不利になります。体が大きいということが環境により有利にも不利にもなります。ずいぶん大雑把ですが、要は普遍の強さはないということです。強さはいつも環境が決めます。

人間社会においても、勝利条件の設定と、環境(市場や競技などの戦う領域)によって強さは変わります。そして人間の場合、これらを自分で選ぶことができるのが大きく違うところです。

私は金銭の最大化ではなく、影響力の最大化、さらには人の可能性を拡げることの最大化を勝利条件にしています。勝利条件はだいたい人の好き嫌いで決まります。これがわかっていないと、頑張ったのに自分の心が幸せを感じない状態に入ります。何が欲しいかわからない人は、どこに向かうかもまたわかりません。

私は考えることと伝えることが好きなのですが、これは抽象度が高い時の言語化能力を支えていると考えています。一方で、人を動かして具体的なものを作り上げたり、きちんと計画を遂行することは極めて苦手です。私の頭は明日の計画を考えなきゃいけない時も、つい人と違うことを思いついてしまうようにできていますし、つい根本から考えるようにできています。順序立てて漏れなく考えるようにできていません。

プロジェクトに入った時に進捗管理をすると私のこの特性は極めて不利な特性になります。弱さです。ところが、誰かの言語化に付き合ったり、社会の事象を捉えて言葉にすることに関しては強さになります。このことに気づいて私は具体的なプロジェクトをリードする仕事からは外れました。私に最も向いているのはリーダーではなく、人の可能性を拓く伴走者だと思い、そういう役割に移行して徐々にうまくいくようになりました。

冒頭で申し上げた通り「その環境で勝利条件に対し有利に働く特性のこと」が強さなのですが、人間はその他の動物とは違い、自らの意思で勝利条件を変えたり、戦場を変えることができます。では一体どこにいけば自分に有利になるのか。それは自分の特性を知っていることで決まります。ですから人間の最大の強さは”自らを知っていること”だと私は考えています。

以上のことから、人間の強さの定義は”自らを知っていること”というところに現在は行き着いています。

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