見出し画像

 ~羽田空港衝突炎上事故~       胴体だけ燃えるのは異常なこと?

こんにちは。大東文化大学野嶋ゼミファクトチェック班の齊藤です。今回は1月2日に発生した、羽田空港衝突炎上事故に関連するX(Twitter)の書き込みについてファクトチェックをしていきます。

1.検証対象

インプレッション数(1月10日時点)
表示回数:1,650万件
いいね:4,208件
リポスト:2,196
コメント:476件

2.なぜこのテーマを選んだのか


上の写真は事故が報道されてすぐのXのトレンドです。ここから分かる通り、飛行機の炎上事故という大きな事故では多くの人が注目をします。そのため、情報を見る人の母数が増えます。そうなるとフェイク情報も広まる速度も速くなります。表示回数が多く、怪しいと考えられる記事をファクトチェックしていく必要があると判断し、この投稿を選びました。

3.検証結果・レーティング


FIJが定めた、レーティング表から、今回の判定は「誤り」となりました

4.検証過程

この書き込みからファクトチェックできる点として、「燃えにくい所と燃えにくい所」『機体本体「だけ」燃えるのは異常なのか』そして、「まるで燃えやすいものが積んであった」という部分を検証していきます。

4-1「燃えやすい所、燃えにくい所」

投稿者が指している燃えやすい所は「両主翼にある燃料タンク」で、燃えにくい所は「乗客、乗員、貨物=(胴体部分)」ですが下の写真を見てみましょう。

こちらの写真はエアバス社が公開している事故があったエアバスA350の構造図です。茶色部分が燃料タンクを指しています。「センタータンク」呼ばれる燃料タンクが胴体部分にも存在していることが分かります。
 また、胴体部分には乗客用のシートなども存在していることなどから、「燃えにくい所」と言うのは異なると解釈できます。

4-2「機体の胴体部分だけ燃えるのは異常?」

結論から言うと、「異常ではありません」
今回の事故の消火後の日本航空516便が下になります


専門的な知識はないので、過去の航空機の炎上事故を見ていきます。
・アシアナ航空214便着陸失敗事故

アシアナ航空214便着陸失敗事故

胴体の上の部分が焼け落ちていることが分かります。
もう一点紹介します。
・日本航空羽田空港墜落事故(1966年)

日本航空羽田空港墜落事故(1966年)

今回の事故と同じように大きく胴体部分が焼けてなくなっていることが分かります。この他にも以下の炎上事故があります。
・福岡空港ガルーダ航空機離陸事故
・日本エアシステム451便着陸失敗事故
・チャイナエアライン120便炎上事故
いずれの旅客機の炎上事故でも主翼よりも胴体部分が焼け落ちており、決して異常ではないことが分かります。
より詳しくこのメカニズムが分かる方は、コメントで教えてください。

4-3「まるで燃えやすいものが積んであった」

ペットが二匹貨物室にいたという声明はありましたが、他の荷物の詳しい情報はなくこの機体に乗せられた手荷物に関する詳しい情報はなく「燃えやすいものが積んであったか?なかったか?」については不明です。
ですが、空港の手荷物検査は厳しく、爆発の可能性のあるものは持ち込めません。しかし、(ないとは思いますが)保安員が見落とした可能性もゼロではありません。また、機内持ち込みが出来る物の中には発火するものもあり、それがどの程度機内に持ち込まれたかは不明のため、「積んであった」ことも「積んでなかった」ことも証明できない状態です。

政府広報オンライン

まとめ

・書き込みの大部分が推測であり、ほとんどが間違いであった。

・航空機の炎上事故で胴体だけ焼失するのは異常なことではない

・書き込み主が指定したした燃えやすい所、燃えにくい所は間違い

・「まるで燃えやすいものが積んであった」は根拠が無い情報である。

以上の事からこの書き込みは「誤り」と判断しました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?