「羽田航空事故 海保機長が業務上過失致死罪で捜査」

こんにちは。大東文化大学社会学部野嶋ゼミ2年ファクトチェックチームの馬塲です。
今回は「羽田航空事故 海保機長が業務上過失致死罪で捜査」という内容でXに1月3日に投稿された内容についてファクトチェックを行いました。

検証対象

1月3日にXにて投稿されたもの
https://twitter.com/MoeFukada/status/1742432203064361279

検証対象はXに1月3日に投稿されたもので、今回ファクトチェックを行う点は「いきなり海保機長が業務上過失致死罪で捜査されるのはおかしくないですか?」という部分となっています。

このテーマを選んだ理由

テーマを選んだ理由は以下の2つです。

  • ポストの「いいね数8190件、リポスト2200件、表示件数64万回」となっており影響力が大きいと感じたため

  • 海保機長は海保機搭乗者の唯一の生き残りであり、実名報道もされていたたため、影響力は大きいのではないかと感じたため

検証判定・レーティング

誤り:全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがある。」であると判断しました。

FIJのレーティング基準

検証結果

まず業務過失致死罪とは「業務上注意を怠り、よって人を死亡させる犯罪のこと」です。

まず投稿にて引用されていた記事(1月3日のもので記事はすでに消去されてしまっている)には

「警視庁は3日午前から、事故が起きたC滑走路と日本航空の旅客機を業務上過失致死傷の疑いで現場検証を行っています。
また、5日と6日に、亡くなった5人の司法解剖も行う予定だということです。警視庁は特別捜査本部を3日設置していて、今後、関係者への聴取などを行うなどして業務上過失致死傷の疑いを視野に捜査を進めます。

と記載されていました。

ここから「事故が起きたC滑走路と日本航空の旅客機」を業務上過失致死傷の疑いで捜査しており、どこにも「海保機長を」とは書かれていません。
あくまでも疑いを視野に捜査を当時はしていたようです。

また、下記の記事は山陰中央新報デジタルから1月11日に投稿された記事です。

「論説 日航・海保機衝突事故 課題克服を加速させよ」山陰中央新報デジタル
https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/511185

この記事でも未だに「羽田事故では運輸安全委の調査と、警察による業務上過失致死傷容疑の捜査が並行して進む」と言っている記事があるため罪は確定していませんし、「海保機長を」とも書かれていません。

まとめ

「海保機長が業務上過失致死罪で捜査」とは記事に一切かかれておらず、業務過失致死傷の疑いで罪は画定していませんでした。

さらに問題とされていたのは1月3日の投稿でしたが、11日に出た記事でもまだ疑いの可能性の状態で捜査が続いていました。

以上のことから「誤り」であると判断しました。

将来的に海保機長が何かの罪に問われる可能性はあるのかもしれません。ですが、1月3日の時点で業務過失致死罪に問われてしまったかのような投稿をされるのは早すぎますし、事実にも則しておらず、人権上も問題があると今回のファクトチェックのなかで感じました。

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