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【お遍路14】気持ちと人間の不思議

菜の花の黄色い香りが僕の深呼吸を誘ってきます。

6日目の朝、相変わらずのペースで、見えてくるもの、聞こえてくるもの、香ってくるものに引き寄せられながら、フラフラとゴール方面へ向かっています。

朝7時。

今日の目標、第12番所「焼山時」は難所と言われる山越えです。

早い人で5〜6時間、普通で7時間、遅い人で8時間の道のり。

今までのどこでも安心していられる状態から、ゴールを見据えて歩かなければならないと言う、この旅初の自分にとって過酷な目標設定。

そうは思いながらも早めにスタートを切れる余裕から入山しても相変わらずカタツムリ。

町は雨が降っていなく予報も曇りになっていたのでそれも余裕に考えていた原因か?

終日雨の登山となりました笑

雨に濡られながら、多くの登山者に抜かれていきます。

新しい靴のお陰で足の痛みはなくなりました。

が、相変わらず煩悩一杯のリュックが僕を苦しめます。

とにかく肩が痛くて1時間も歩けないんです笑。

時々現れる休憩地点毎に休憩。

少しずつ不安が膨らんできます。

時計は12時。

クタクタで歩いていると山から降りてくる、地元のおじさんが教えてくれました。

「今が半分だから頑張れよー」

半分で5時間笑

寝床の相談もしながら、ここまで5時間かかったとは言えずに、苦笑いで「ありがとうございました!」

このままのペースで行くと5時も怪しい(納経してもらう時間が5時まで)。

更に、泊まれる場所はお寺の山を反対に降りた所。

助言をくれたおじさんの背中を見送りながら、僕の「やる気スイッチ」が入る音が聞こえました笑。

これまで重くて嫌だなぁ…と担いできたリュック。

でも、自分で選んだ物だし、そもそも運び切らずに困るのは自分…。

それだけの気持ちの変化が、眠っていた僕の能力を引き出します。

リュックをおんぶするように背中に抱える様に工夫する様に成りました笑。

そうしたら、気持ちも楽になって、さっきまでの重さは何だったのか?と思いながら、安全な範囲内で身軽な時の登山の動きを再現する様に行動し始めました。

そうしたら、重くて出来ないと自分で決めつけていた普段の動きができることに気付きました笑。

山道のアップダウンが激しいので最後は気力との戦いになり、トボトボに戻ってましたが、結果14時に到着出来ました!

その時は体は温まっているが雨でびしょ濡れ。

何が何だかわからないまま、お寺の休憩所にあったストーブの前に転がり込み1時間位寝てしまいました笑

起きたら寒いの何の。

山の引き締まった空気が雨に濡れて、季節外れの鬼寒に感じ、お勤めもフワフワとを済ませ時計を見ると3時半。

ストーブに引っ張られる袖を振り解き、下山と宿探しの仕事に向かいます。

その頃は体も麻痺していてサクサクと進みます。

すると、登りから抜いたり抜かれたりの似たペースで進んでいた女性ペアーに再遭遇。

歩きに余裕が出てきたので、話しながら同行させて貰いました。

2人は東京から来ている姉妹だそう。

更にお姉さんは世界一周の経験があるそうで、荷物について色々教えてくれました。

そんなこんなで進みながら宿を探すが、GWの影響でどこも混んでいて、彼女たちの泊まる宿も満室という事で、二人とはそこでお別れ。

再び自由旅。

美味しいコーヒーを接待されたり、泊まる所情報を地元に調査しながらトボトボ2時間程度。

やっと次の温泉街にたどり着き、再びダウン。

女神はそこへ現れました✨

ダウンしていたのがシルバーセンターの前で、仕事終わりの地元のおばちゃんが声をかけてくれました。

悩みを相談すると、知り合いの旅館に尋ねてくれるとの事。

相部屋ならという事で、宿をゲットする事が出来ました!

しかも自分の用事を後回しにしてくれて、僕をそこまで送ってくれて涙。

そのおばちゃんは次の日の朝、道で見かけた僕に車を停めて話しかけてくれて、僕の蘇った目を見て安心してくれていた。

ホント、優しい…

んでまた、その宿がいい宿でした^ ^

お遍路さんには有名な宿があるらしく、そこで知り合った情報通の先輩お遍路さんにこの先の情報を与えて貰えました。

今後はいい宿を目標設定にするのもありかと。

同室の方も初お遍路、初自転車旅だそうで、お遍路さんや初挑戦に持つ似た感情を確認しあって、更にお遍路さんが好きになりました。

宿のおばちゃんにも、すれ違う先輩お遍路さんにも、荷物の心配をされ、解消する知恵も頂いたので、これから街に降りて荷物を整理しようと思います。

@daiyamori


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