絶望に効く薬

うつ病と絶望の彼岸にて

たまたま、某SNSで田中圭一の『うつヌケ』の話題が出た。
私は自慢ではないが、うつ病で30代から10年は棒に振った人間なので、その苦しさは言語に絶する。だから、私個人のうつ病に関してのことは、もう、誰にも何も言わない。
そもそも、私がこのnoteを知ったキッカケが田中圭一氏の「うつヌケ」だったワケで、それを氏がTwitterでもツイートしていたので、私はそのツイートで知ったのだった。

私はリアルタイムに「うつヌケ」を読んだ一人ではあったが、私個人の感想は別として、同様にうつ病で苦しんでいる知人の評価は一様に悪かった。私も大して評価していなかったことを告白するが、うつ病は人によって様々なので、万人に向けての福音ではないのが前提でもある。
それでも、うつ病で深刻に悩む人は多いワケで、ワラにも縋る気持ちなのだ。だから、少しでも、という気持ちは痛いほど分かるが、やはり、それでも人それぞれなのだから、過大な期待はダメなのだ。・・・それでも、なんだけどな。

少し個人的な話をさせて貰えれば、私は中学生で太宰治に出会ってからは、太宰治をハブとした近代日本文学その他を読み漁ったものの、結局座右の書にしたのは太宰治と坂口安吾の本だけで、後はどうでも良かったし、それは今でもあまり変わらない。
私は保守っぽい主張をnoteでもしているが、それはここ数年の話であって、それも若い頃は理解不能であった三島由紀夫を40も過ぎてからようやく理解したに過ぎない。
若い頃は誰でもそうかも知れないが、とかく厭世的になり勝ちではあるものの、それを説明する言を持たない。その代弁者として太宰治を担ぎ上げる人はいるかも知れないが、それは浅薄な読書だろうとしか言えないと思うし、どちらかと言えば三島由紀夫ほどそれに相応しい人もいないのだが、誰も三島由紀夫を若き厭世主義者として担ぎ上げることはしないようだ。

これも、やはり不思議なことだろうと思う。

つまり、三島由紀夫の晩年の行動は、当時の読者も今の若い読者も理解不能なのだ。
私も若い頃は三島由紀夫の晩年が不思議でならなかったが、不惑を越えて様々に「あきらめ」を余儀なくされると、何故かフッと腹の底から理解が出来るようになった。
それは多分に晩年の三島由紀夫がニーチェ的であったことと無関係ではないと思うが、ここで私は文学や哲学の話をしようとは思わない。

マンガの話に戻そう。

田中圭一氏がnoteで「うつヌケ」を発表する10年以上も前から、私はうつ病で死にそうだった。当時、私は某ブログを運営していたが、そのブログ仲間から「効くぜ」という触れ込みで『絶望に効く薬』というマンガを知り、買って読んでみた。

絶望に効く薬

当時、ささくれ立った私は「こんなモン、何が絶望で何が効く薬だ」と思ったものだ。
よほど、坂口安吾の文学の方が私には沁みたし、救いになった。太宰治の文学の優しさに癒やされたと言えば、納得するであろうか?
作者は(私とほぼ同世代だが)絶望とは程遠いと思ったし、インタビューした相手だって、別に絶望とは程遠い人たちに思えた。確かにインタビュー相手は修羅場をくぐった人なんだろうが、このマンガでそれを読み取れと言う方が間違っている。

そこで、冒頭の話に戻る。

そう言えば、うつ病で手帳を持っている人は誰も『うつヌケ』を評価しなかったし、私も評価していなかった。確か『絶望に効く薬』も私は全然評価していなかったが、どれ、ちょっと読み返してみるか・・・。そんな気持ちで10数年ぶりに読み返してみた。

若さゆえ、か。

作者も、私も、当時は30歳そこそこの(今からしたら)若造だった。
今にして思えば、この作者のもがき苦しむ気持ちが分かるし、一番「絶望に効く薬」が欲しかったのがこの作者であり、その読者であることが分かるのだが、当時はそこまでアタマが回らなかった。そこに、作者の若さゆえの至らなさがあるとも言えるし、その読者であった私にも言える。

時間は、あらゆるモノを乗り越えるだけの力がある。

冷静に来し方を見ることが出来る年齢になったとき、全ては「彼岸」のようだ。
その上で、行く末を見るとき、何が見えるかは、人によって違うだろう。若い頃のように、刹那的な楽しみを見付け、それにうつつを抜かすのは、恐らく違うと思う。
が、しかし、私には、決して明るくない未来しか見えないのだが・・・。

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