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原点麻雀の本家に入門してみた

台湾編本編という位置付け。

背景

プライベートになるが 2月末付で退職するにあたり年次休暇が 1か月まるまる使えて (それでも使い切れてはいない)、せっかくだしどこか遊びに行こうというのがきっかけ。当初は EMA カレンダー からデンマークのコペンハーゲンオープン (土曜が日式、日曜が国標) を検討したが、燃料高騰のせいで航空運賃が高いこと、Mahjong Denmark を訪問したことはあること (もちろん再訪に値しないことを意味しないどころか、ぜひ再訪したいランキングに入っている)、セブも訪れるには2往復でなく周遊にしようと思ったこと、などから、そしてなにしろ:

昨年公開された麻雀のルール「原点麻雀」作者であり、Twitter 上で交流いただいているたかみつ氏に連絡をとってみたところ、台北まで1時間ぐらいで予定も合わせられそうとのことで、これは入門するしかない。なお、臺灣16張に挑戦した「麻將大師」も彼に見つけていただいた。

対面

前夜は国標の大会で遅くなったが、天天利美食坊の前で待ち合わせ。予定の電車が満席だったとかで近くの茶堀出軌でお茶を買って飲んでいた。中華圏で私の名前を除き初めて堀の字を見た。無事に合流し、一緒に遊ぶ方々を紹介いただきながら食事をとってボドゲカフェ上帝骰桌遊館へ。スリムの関係者が卓を設置してリーチ麻雀を広めているらしく、もう1卓にもプレイヤーがいた。

原点麻雀

原点麻雀はたかみつ氏も述べているように中庸麻雀史観に啓発され、ルールとしても多くの共通点を持っている。いくつかのバリアントからなる体系だが、フリテンは同巡現物に限る (それもチョンボではなく遡った形のアガリを認める) ことから日式と比べても、縛りの設定はオプション扱いであることから国標と比べても、(このルールに、または麻雀そのものに) 慣れていないプレイヤーにも易しいものになっている。

  • 初級ルール: すべてのアガリに対して副底にあたる20点が与えられる。役の点数を加算する。一色、碰碰和などの全体役や字牌・刻子・槓子などによる役が主に採用される。

  • 上級ルール: 以下の一部または全部を追加。

    • 副底20点は廃止し、手役の点数のみが得点源となる。

    • 配牌を見たあと、下家へ3牌を渡す (または、1枚も渡さず、上家から渡された牌を下家へそのまま渡す)。

    • 数牌のランクに基づく部分役が多く追加される。

  • オプションルール: 以下の一部または全部を追加。

    • アガリのために必要な点数に縛りを設ける。

    • 花牌を入れる。

もちろん集まったのは麻雀マニアばかりなので、上級規則をすべて採用することにした。縛りはどうしたっけ。10点にしたような気がする。花牌は春夏秋冬しかないこともあり採用しなかった。

手作りのポイントとしては勝負手と躱し手のメリハリ。手役の点数のうち20点までは点和であっても3人で支払うので、10点程度であれば刺さってもよし、40点や80点の役に押しすぎてはいけない。したがって2副露してアガれるかどうかが (8点オールがあり、放銃のペナルティが小さい) 国標に比べて大きく異なる。

狙うべき役・そうでない役については、日式や国標よりも少ないはずなのに入念なテストプレイを経て十分に調整されてバランスが良いので、特にコメントするほどでもない。強いて言えば全帯が字牌あり40に対し字牌なし80なのは落差が大きいと感じられるが、中庸や国標に比べても手役のランク分けがシンプル (5, 10, 20, 40, 80, 160, 320) に保たれていることとのトレードオフとして受け入れられる。

他のルールと比較して特色となるのは 二/三/四/五数隣 が手役として設定されていること。国標でいう 全小・全中・全大・小于五・大于五 はそれぞれ「1–3, 4–6, 7–9, 1–4, 6–9 だけで手牌を構成する」ものだが、これらを「隣り合う3, 4ランクの数字だけで作ったもの」と一般化したうえで2, 5ランクへ拡大して整理したものとなる。とわかっていても慣れの問題か偶然か、私はほとんど狙うことができなかった。

加点式ルール

以上の基本ルールに留まらず新たなバリアントも開発中であるということで、日曜はテストも兼ねてプレイした。詳しいルールの日本語版はその結果のフィードバックを含めブラッシュアップしてから公開されるものと思われる。

  • 暗刻や暗順、暗対も副露することができる。

  • 副露から確定した役の点数は即座に得られる。

  • これとは別に、アガリ者は手役の点数の2倍、テンパイ非アガリ者は最高目の1倍を得る。ただし後者は前者を上限とする。

  • 純全帯幺は廃止し、老頭牌の枚数による手役を採用する。

  • 得点はゼロサムではなくゼロスタートとする。放銃してもツモられても減点されない。

40点役の最後の1枚を待つような高目安目の差が大きくい聴牌はもともと多く (9枚役なら単純には 9/14 程度、重複度は引くことになるが、得点のために揃っていなくても狙うのでそれ以上)、たとえば10点のアガリより50点の聴牌のほうが得点は大きいことから、前者を見逃して聴牌による得点またはあわよくばアガリを目指す選択をとりやすい。しかし当然その間に他家の手も進むことになり、他家のアガリが小さいと自分の得点も限定されてしまうから、リスクもある選択を迫られる。

同じ理由で、副露による得点は40点以上にはなりづらく、飜牌や槓子・刻子ぐらいが主体で、誰かの9枚役が誰かのアガリより先に完成することは起こらなかった気がする。

それでも副露による得点と情報開示のトレードオフが発生した局面。

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七対 (40) の聴牌は偉いので取るのは当然である。どちらを切るかは大した問題ではない。1と9が手牌に10枚あり、1枚は切るが8枚 (40) までは副露できる。この聴牌を維持すれば、もしくはアガれば10枚 (80) の得点を得られる。4索4筒も含めて6対子によれば七対子の副露点も得られる。しかし副露したうえで1か9を打ったら、待ちは他の1か9にほとんど絞られてしまうのではないか。選択を整理すると次のとおり。

  • 6対子を副露して80点を得て、聴牌の120点のうち多くを得られることを期待する。アガリは難しい。

  • 4対子を副露して40点を得て、聴牌の120点のうち多くを得られることを期待する。1や9を切ること自体が近いが聴牌は宣言していないので、それが効果を生んで120は240点をアガれる可能性に期待する。

  • 2–3対子を副露して10–20点を得る。あまり効果ないか?

  • 副露せず120は240のアガリ確率を最大化する。

実戦では副露せずに1索単騎に取ったが、左家 (時計回り推奨のため、そちらが下家) に手出しされた3索が左から3番目で、ほぼ1索の対子を固定されたものと思われた。そのタイミングでは6対子を副露するべきであったと思われるが、このような判断には慣れていないため、気づく前に他家のアガリが出た。結局この読みは正しく、120のうち何点もらえたっけ。

全体的に点差のつきづらい体系ではあるが「アガリは他家の聴牌より前に、聴牌は他家のアガリまでに」をこころがけたところ上位をキープできた。

結論

重度のマニアによるものらしく非常にバランスのとれた体系で、とても楽しませていただいた。順位取りにはなじまない (局の終了となる行為と得点との対応が部分的である) 部分もあったが素点を中心にした設計思想ということ。オプションにも好みの分かれるところではあると思われるし、16張で感じたのと同様に、副底や縛りの大きさで相当にゲーム性を操作できると思われる。そのあたりだけを調整したルールを打とうとすることは多くないが、強く感じる機会となった。

原点でも国標でも16張でもいいからここのバランスだけ何通りも打つ会やろうかな。

その他

原点麻雀と加点式がこの週末の主目的だったが、たまたま3人しかいないがリーチ麻雀をやってみたいという知らない人に混ざったり (初級者、結果は私が貫録のトップ)、原点麻雀の規則はそのまま16枚でプレイしてみる実験をすることができた。

謝辞

たかみつ氏、ご家族ご友人に感謝。他のボードゲームも遊び、昼食・夜市に連れていってもらったり、最後は現金の足りなくなった私の空港までの電車代まで出してもらってしまうなど大変お世話になりました! こんどは東京で!

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