EP12 「冷笑病」発症

非F中軍団が崩壊し、新たに出来た4人組(ノッポのH、MK、TO、僕)の4人だった。この4人は一言でいえば冷笑と批評の塊だった。

まず、新メンバーのMKとTOについて、MKはガンダムとゲームに没頭していた。彼は日夜その二つに没頭していたため、勉強もしていなければ所属しているテニス部の練習にもしていない。そのため、成績は同じく勉強をしていない僕と同じらいで、クラスでも下位の方に属していた。彼は、自分がそういう状況にあるためか、物事に対しての熱量が高い人に対して「ガチ勢」というレッテルを張り一段上から冷笑していた。今の自分ベースで考えると、最も関わることを避けるタイプだ。しかし、このころの僕は何においても中途半端で、惰性で行っていたため、身を粉にしても自分の目標に向かっている人々への負い目があった。このMKの「ガチ勢」という冷笑は、負い目を感じる人々を批判でき、かつ何もしていない自分を自己肯定化する都合の良いものだった。僕はこの魅力にまんまと取りつかれた。というか、そこに逃げ込んでしまった。

現実につらいことがあるとそれに対しての根本的な解決をしようともせず、薬物の快楽に逃げる者のようだったのだ。

そして、そのMKの冷笑を補完したのが、TOだった。MKとTOは冷笑家どうし、至極仲がよかった。TOは自他ともに認める2ちゃんねる好き。MKが行う冷笑を2ちゃんねる風の造語を使っておもしろおかしくし、補完する。そして、彼のもう一つの特徴は「煽り」(ここでは、相手のかゆいところをついて、ムッとする人を見て楽しむこと。)だった。自分よりできない人、ミスをした人を徹底的に煽るのだった。その煽りを見ているとスッキリするという症状も僕にはあった。

MKの「ガチ勢」への冷笑と、それを面白おかしく補完するTO。その時の僕は自然と身体がそちらに赴いていった。そして、これにノッポのHの主観に基づいた厳しい言葉を使った批評が混じれば、冷笑と批評の塊は完成した。最強の4人組だ。

この時の僕の思想は、
一生懸命ってかっこ悪い。楽して生きられればいい。「ガチ勢」うざい。泥だらけになるなんて、信じられない。冷笑っておもしれー。といったものだった。自分の置かれている現状に満足していないし、良いとも思っていないのだけど、もがきたくも努力もしたくない者が冷笑や批評といったものに逃げたときに陥る「冷笑病」にかかったのだ。

その後「冷笑病」を克服するまでに相当の時間がかかる僕であったが、この4人組が結成されて初期の頃はその存在にすら気づいていなかったのだった。

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