EP27 退部

ついにその時が来た。1年生の2月。12月に陥った部活におけるスランプから抜け出せないまま、退部届を顧問の先生のところにいった。僕の悲惨な状況を指導者A(外部指導者)から知らされていた顧問の先生は僕が辞めることに対して「そうか。」としか言わなかった。指導者Aは僕が退部届を顧問に提出して、部活はじめのミーティングで退部の挨拶をする日、あいにく部活に来ていなかったので退部のあいさつをすることはなかった。

部活を辞める旨を最初にキャプテンに伝えた時、キャプテンやそれを知ったK先輩に引き留められはしたが、僕の心は完全に退部する意向で固まっていた。引き留めてくれるありがたい先輩たちをむしろ迷惑だと思っていたし、「お前がやめるなら俺もやめるぞ。」と言ってくれたK先輩に対しては「じゃあ、やめてくださいよ。やめれないんでしょ、どうせ?」などと、反抗的な態度をとる始末。仕舞にはもう勝手にしろという感じであった。

同級生の部員にはなにも相談しなかった。それゆえ、ミーティングでの僕の退部のあいさつでそれを初めて知らされた彼らの多くは僕の身勝手さをその場で責めた。後に、学校で逢ったときなどもしばらくは気まずさを感じて仕方がなかった。(その後、寛容な彼らは僕とも仲良くしてくれた。ありがたいことである。)

僕はスランプから抜け出せないまま、ふてくされ、相談する人を最小限度にとどめるという後味の悪い辞め方をし、部に競技面でも心理面でも負の作用を与えたのに違いなかった。

どうであれ、僕は部活をやめることができた。辞めた時は後味の悪さや、くやしさ、後悔よりも嫌なもの、自分を苦しめているものから解放されたという、どこかスッキリとしてうれしい気持ちに包まれたことを覚えている。

これから今まで部活に割いていた時間を勉強や、読書、新しい趣味にあてられる。僕はどれだけ成長できるのだろう。そういった希望的観測をして、ワクワクしていた。指導者Aの叱責や、煩わしく、暑苦しい人間関係からも解放され一人になれるということもうれしかった。

上のものは、あくまで希望的観測であるのに留意が必要である。それを胸に、僕の帰宅部生活は始まった。

学生でお金がなく、本を買うお金、面白い人と会うためのお金が必要です。ぜひ、サポートよろしくお願いします。