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【Vol.10】Behanceレビュー会×よい店を作れ! 後編

※この記事はBehanceレビュー会×よい店を作れ!の後編です。
前編を未読の方はこちらから是非お読みください!


こんにちは
DRAW A LOT Collegeです!

STAGE2に突入した我らDRAW A LOT College。
今回お届けするのはBehanceレビュー会レポ!
当日の様子はYouTubeに上がっているので、以下よりご覧ください。
(クリックでYouTubeに飛びます)

(STAGE1の様子はこちら)

前回のInput#2『自分の武器を知ること・知らせること・使うこと』
自らの「武器を活かし」て、「仕事を掴む」ために必要なことを講師の方々から学んだカレッジ生たち。

今回はその学びを活かして、より魅力的なポートフォリオサイトとなるように自身のBehanceを練り直してもらいました。
そして、そのできあがったBehanceを講師の方々にレビューしていただきます。


今回、カレッジ生のBehanceをレビューをしてくださる講師のお二方はこちら!

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カミガキヒロフミ(http://ic4design.com/)
2006年 広島で有限会社IC4DESIGN設立。『The New York Times Magazine』のカバーイラストをきっかけに、日本だけでなく海外でも活動を開始。人気絵本『迷路探偵ピエール』シリーズは現在30ヶ国以上で出版されている。国連UN Women公式ポスターでカンヌライオンズ2017銅賞獲得など受賞歴多数。

今回のレビュー会への意気込み
Behanceのポートフォリオは、お店屋さんのショーウィンドウみたいなもの。
画力と言うネタがあったら、それをお店に並べる。
その並べ方が上手かどうか。
お客さんに手に取ってもらいやすくしているかどうか。
そういう点を見ていきたいと思う。


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福田愛子(http://www.aikofukuda.com/)
ブリッジウォーター州立大学芸術学部グラフィックデザイン学科卒業。2014年よりイラストレーターとしての活動を本格化。懐かしさやタイムレスな美への価値観を根底に据えながら、イラストとARなどのテクノロジーを融合させることで、既成概念にとらわれない表現を追求している。主な仕事に、「VOGUE HOLIDAY」キービジュアル、資生堂マジョリカマジョルカ「MAJOLIPIA」など。現在は東京を拠点に国内外で活動し、2019年には日本人で初めての「Adobe Creative Residency プログラム」に選出された。

今回のレビュー会への意気込み
「既に持っているよい素材を、どう見せるか」がやっぱり重要。
そして、Behanceは海外にも影響力が大きいので、海外クライアントも取っていけるようなポートフォリオレビューをしていきたい。


今回はレビュー会レポ・後編!
(前編の様子はこちら)

前編に引き続き、後編もプロの目から見た貴重な意見やアドバイスが盛りだくさんでお送りします。
以下から、当日のレポートです!

♢♢♢

No.5 FF00FF-ink

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マゼンタ色の持つ中毒性に着目し、その色に強いこだわりを持っているイラストレーターです。
そのテーマを「FF00FF-ink」という一ジャンルとして確立し、色々な作品を生み出していきたいと考えています。
Behanceでは、技法ごとにプロジェクトをまとめることで「様々な表現を使って作品を制作できる」ことをアピールしています。

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FF00FF-inkさんのBehanceはこちら

カミガキさん

インパクトがあって、個性的。Behanceにフィットさせてきたな、という印象。
ただ、もったいない点もある。
アブストラクト(抽象芸術)に寄りすぎると、「他のプロジェクトを見たいな」と思ったとき、クリックするアクションが弱くなってしまう。
「(今の作品と次の作品は)どう違うのだろう?」という考えが浮かぶから。
それぞれの作品の違いがもうすこし明確に出るように、サムネイルを工夫するともっとよい。
個人的には、キャラクターのあるプロジェクトのほうが「見たい」と思う。
福田さん

今回の参加者の中で、一番海外に近い
だからこそ辛口で言いたい。
プレゼンで言っていた「ピンクには中毒性がある」ということがプロフィールには書いていないが、それは自分の個性だから、ちゃんと書いたほうがよい。
これがアーティストステートメント(作品の背景やアーティストの製作動機を説明したもの)になる。
それから、Behanceのプロジェクトの分け方について。
技法ごとに分けるよりタッチごとに分けたほうがよい
個人的には、サンフランシスコでうける絵だと思う。色鮮やかで、メディアアート向けの絵。
だからこそ、この絵がメディアアートとして昇華したときにどのように見えるかが見てみたい。
プロジェクトの中にデモリールを入れてみたり、Adobe Stock(アドビ ストック)を利用したりして、具体例を見せられるとよいだろう。


こだわり続けてきたテーマが高く評価されました。
Behanceのプロフィールを加筆することでも、制作テーマや本人の能力をもっと世界に向けてアピールできそうです!



No.6 彩葉

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今までは趣味で動画や漫画を描いていたそう。
今後はイラストレーターとして仕事を受けていけるようになりたいと考えています。

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彩葉さんのBehanceはこちら

カミガキさん

ラフスケッチまでは描ける人だろうと思う。ラフスケッチのまま(完成まで描かずに)で量をたくさん描いていそう。
そういうものも全部見せてしまえばよいと思う。作品数が少ない。
基本、Behanceは自分を売り込むために、なにを見せてもよいと(個人的には)思っている。
Behanceでは自分の作品の見せ方をうまく見つけた人の評価がバーンと上がる。
見せ方において、どれだけうまくズルできるか。
画力を上げるのに手っ取り早いのはクロッキー。
アマチュアのあいだは誰かの真似をしていればよいが、プロとしてやっていくには表現力を上げることも必要。
イラスト以外の分野(映画のワンシーンや写真、風景など)を見てダイレクトに描くトレーニングは、プロとして自分流の表現をする練習によいかもしれない。
描いた量の差でポートフォリオの迫力も変わる。
効率よく描くことはもちろん大事だが、とにかく描くしかない。
福田さん

キャリアビジョンがあるとよい。
キャリアビジョンに沿った意図を感じさせるBehanceの見せ方をしていきたい。


「とにかくもっとたくさん絵を描くこと!」という熱いアドバイスでした。
自分を夢へと導くBehanceを目指して、試行錯誤あるのみです!



No.7 eigo

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デザイン系の職場に勤めながらも、イラストレーターとしての力を発揮する機会を持たない現状。
仕事としてイラストを描きたいという思いがあります。

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eigoさんのBehanceはこちら

カミガキさん

絵はうまい。プロの作品として世に出せるものだと思う。
ただ、ほかの人と同じように、よいものを持っているのに見せ方がもったいない。
今は、ただ単に載せているだけ。「人に見せる」ことを意識して、もっとよい見せ方を考えよう。
ストーリーを感じられる魅力的な絵だからこそ、もったいない。
福田さん

プロジェクトは作品のタッチや雰囲気ごとに分けたほうがよい。
あとは、サムネイル
作品数が増えてくれば気にならなくなるのだが、今の段階では、この二つのサムネイルを見て作者が同一人物とは思えない。
カミガキさん

クリエイターは「あれもできるし、これもできる!」と見せたくなるけれど、それをここでは我慢しておく
小さい仕事をたくさんこなしていきたい人は、色々な絵柄を描き分けられれば仕事を拾っていける。
けれど、より大きいマーケットで大きい仕事を取っていこうと思ったら唯一無二になるべき。
自分の世界を尖らせていけば、おそらく仕事は来る。


作品のクオリティは申し分ない高評価!
Behanceにかける時間がとれるようになればぐっとよくなりそうです。
多彩なタッチを使い分けることができるなど、イラストレーター本人のアピールもプロフィールでしていけるとさらにBehanceが充実します!



No.8 ktym

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特別参加!
STAGE1でカレッジ生たちが挑戦したリミッツの公式インストラクター。
Behanceには趣味で描いた多彩なイラストを、プロジェクトごとに軸を持ってまとめています。

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ktymさんのBehanceはこちら

カミガキさん

プロだから、ポートフォリオを見れば画力の高さは伝わってくる。
なので、あとは「なんのためにBehanceにポートフォリオをつくるか」という話になってくる。
今は「どれも捨てられない」という感じで作品を載せていると思う。
「ブランド・ktym」として仕事を取っていくのならそれでよい。
だが、海外とも取引しながら今よりスペシャルな存在になっていこうと思ったら「ktym=このタッチ」という大砲を作ったほうがよいと思う。
今は大砲がどれかわからない状態。そこがもったいない。
自分の中でアート性を作っていこうとした場合、「アーティスト・ktym」と「イラストレーター・ktym」を分けてもよいと思う。
「アーティスト・ktym」の作品だけをポートフォリオに載せていくと、先の尖がったものができる。
海外という大きなフィールドでは「どれだけ削って目立つか」が大切。
福田さん

器用で画力もあるから色々なスタイルが描けてしまうし、デザイナー的視点でクライアントから求められていることがわかるのだと思う。
ニーズに応えるために色々できてしまうのが今の状態。
国内だったら、それでもとてもよいと思う。
だが、海外でとなると、やっぱりひとつに絞って先を尖らせることが大事。
イラストは記号と同じ
「私のイラスト=★」、「あの人のイラスト=♪」というようにわかりやすくすることが海外で成功する秘訣。


イラストレーターとして経験を積んだその次のステップで、また悩むことがある……。
カレッジ生にとっては、夢のその先を垣間見たようなレビューだったのではないでしょうか。


最後に、
今回はDraw a lot CollegeのNote読者の皆様に、講師のお二方に聞いた「Behanceの上手な使い方」と、カレッジ生からのQ&Aを特別公開します!

ぜひ、ご自身のポートフォリオを作成するときのヒントにしてくださいね!


カミガキさん流・Behanceのススメ

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Behanceの選りすぐりの作品……Behanceのキュレーターが選ぶ。トップページに表示されるので、見られる回数が非常に増える。

「Behanceの選りすぐりの作品」の中で特に閲覧数が多いものに注目して、「なぜそんなに閲覧されているのか」を見に行く。
多くの場合は元々人気のクリエイターだったり、なにか新しいものをこの世の中に発表したりしている。
閲覧数が多いものは、サムネイルがうまくできている。いいねの数が多いものは、作品の見せ方がうまかったり、作品自体がよかったりするということ。

それから、自分に近いタッチのクリエイターを探す。
「Behanceの選りすぐりの作品」にセレクトされている人はどういう見せ方をしているのかを学ぶ。
特にイラストの画力・表現力が強烈でないクリエイターを見ていくと、自分に近いところで(見せ方の)参考になると思う。

セレクトされているクリエイターは、やるべきことをやっている。
いかに自分の作品がよりよいものに見えるかを重視している。
こういう点が画力以外の面で刺激になると思う。


福田さん流・Behanceのススメ

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個人的によいと思うBehanceは、見せ方を夫しているBehance。
見せ方のうまいBehanceは、見ていて面白い。
そして、色々な可能性を感じさせる。
クライアント側に「こんな企画にも合うだろうな」などとインスピレーションを与える画面構成ができている。

随時チェックしているのは、Adobe製品のスプラッシュスクリーンに起用された作品。
そこに選ばれるにはそれだけの理由があるので、こういうクリエイターは要チェック。

あと、イラストレーターだけではなく、UI、UXデザイナーフォトグラファーなど違う分野のクリエイターも見るようにしている。
それらの分野の人たちは見せ方が上手。彼らのようなレベルが海外のスタンダードになっている。
イラストレーターも、このような分野の人たちと張り合っているのだから、対等なクオリティにしなければ……と勉強中。
Adobe Stockの使い方もうまいし、見ていると刺激を受ける。


△△△


作品をただ発信するだけでなく、その発信方法についてのノウハウを吸収することもできる。そんなBehanceの使い方をお二方に紹介していただきました。
これでカレッジ生たちもレベルアップすること間違いなしです!


質疑応答タイム

講師のお二方が、カレッジ生へ直接アンサーやアドバイスを下さりました。
「プロの考え方」を聞くことができて、とても貴重です!

Q.1
ターゲットが何を求めているか、どのように探ればよいのか

A.1
カミガキさん

まず、自分はBehanceでFuture(フューチャー)されることだけを目指してやっている。
Futureされると色々な人の目に作品が届くので、そこからピックアップしてくれることもある。
ターゲットがなにを求めているかは、ターゲットの目線に立って考えたり、ターゲットと同じ層の人に聞くしかないと思う。

福田さん
一緒に仕事をしたい企業の名前をBehanceで検索してみる。
そうすると、その企業と仕事をしたことのあるクリエイターが出てくる。
そういったクリエイターのBehanceを見て、キャリアビジョンの参考にするとよい。
すでに起用されているクリエイターたちを見て、「なぜこの人たちは選ばれたのか」の理由を考える。


Q.2
世界を舞台に仕事をしたいが、どうしたら「世界に近く」なれるか

A.1
カミガキさん

世界に発信するために一番手っ取り早くて、費用も安いツールがBehance。
Behanceにきっちりフォーカスして作っていこう。

福田さん
カミガキさんと違うBehanceの使い方として、「いいね」機能を活かす方法がある。
Behanceでは「いいね」してくれた相手の在住地が見られる。その統計をとってみては。

△△△

非常に実用的ですぐに取り組めるようなアドバイスもありました。
Behanceの使い方はとても奥が深く、可能性は無限大ですね!


♢♢♢


全員分の丁寧なレビューと質疑応答を終えて、今回のBehanceレビュー会の全編が終了!
今回も非常に貴重なお話を伺うことができ、カレッジ生たちはそれぞれの課題が見えてきたようです。


次回は九十九トッカちゃんとのコラボコンペの様子をレポートします。
お楽しみに!

By. DRAW A LOT College

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