Liverpool, Tottenham boast loyal Japanese support

土曜日の夜にワンダ・メトロポリターノ・スタジアムのピッチに入場するリバプールとトッテナムを見守るのは現地に観戦する67000人だけではない。

マドリードから約10000kmほど離れてる日本に、両プレミアリーグクラブのCL優勝を期待するの日本人のファンが28時のキックオフまでワクワクするだろう。

「日本人の欧州サッカーファンは非常に忠誠心を持っている。深夜の試合を毎週見るためにそういうメンタリティが必要です。」と日本サッカーファン馴染みのサッカー解説者であるベン・メイブリーさんが語る。「自分の好きなチームを決める時点で最後まで見守る。」

イングランドは「サッカーの起源」でも知られてるし、プレミアリーグも高いレベルのサッカーが評価されている。日本人のサッカーファンが憧れるのも無理はない。

若いファンがチェルシーやマンチェスター・ユナイテッドに傾く現状もあるが、30代のファンがスパーズやリバプールを応援する事が多く見られる。

リバプールの豊かな歴史や、地域コミュニティーとの親密な関係に魅力を感じる日本人は多い。また、98年や02年のワールドカップでイングランド代表として活躍したマイケル・オーウェン選手の活躍に魅了されたファンも多かった。民放テレビで放送された04−05年のCL決勝戦(イスタンブールの奇跡)を観てリバプールファンになった人も多い。

「リバプールは歴史と物語が豊富なクラブ。ジェラードのような地元出身のスター選手がキャプテンとして長く活躍したことも、リバプールというクラブが持つ魅力的な物語のひとつです」とリバプール・サポーターズ・クラブ・ジャパンの代表・田丸由美子さんが語る。「ヒルズボロ(の悲劇)は、起こらないほうがよかった悲惨な事故ですが、あの事故によってクラブとサポーターの親密さが深まりました。クラブとサポーターが常に寄り添いあっているのがリバプールの魅力でもあります。」

警察の不手際などでFA杯の準決勝を観戦する96人のファンが亡くなってしまったヒルズボロの悲劇のような事件は、日本では起こった事がない。それでも、その悲劇は遠くまで響く。

「ある意味でその頃の悲劇からリバプールファンのアイデンティティが強くなった」とメイブリーさんが話す。「サポーターという存在は色々あります。近所のサポーターでも地球の反対側のサポーターでも、同じように共感できるし、同じように感動することができる。」

1995年に創立されたLSCJには270人ほどのメンバーがおり、クラブにも公認されている。毎シーズン、クラブから割り当てられているチケットで30人ほどのメンバーがアンフィールドで観戦している。その他にも、毎シーズン400人ほどの日本のファンが、£300(約4万円)のホスピタリティ・チケットを買ってアンフィールドまで足を運ぶ。

「アンフィールドはキャパシティが少なく、チケットを手に入れるのは難しいので、日本のファンのチケット購入を手伝う事が多いんです」と1年2回ほど現地に行く田丸さんが説明。「£300は、高いように思うかもしれませんが、数年に一度、イギリス旅行も兼ねて、憧れのアンフィールドで観戦したいという夢を叶えたいファンなら、買ってもいいと思う値段です。」

逆サイドのベンチに座るトッテナムは日本との縁が深い。79年と91年のキリンカップで日本代表と戦った歴史があり、レジェンドのオズワルド・アルディレス氏とスティーブ・ペリマン氏は監督としてJリーグで指揮を執った。

清水エスパルスで優秀監督賞を受けた2人の影響力もあって、02年のW杯で活躍した日本代表の戸田和幸選手が清水からトッテナムにレンタルされた。

しかしこの頃の日本の放送局は「ビッグ4」(マンU、アーセナル、チェルシー、リバプール)の試合中継を主として、スパーズの試合の露出は少なかった。そんな時代の中でスパーズジャパンという団体が生まれた。

「当時はその4チームの試合しかテレビで観ることができなかったし、日本にはスパーズのファンが多くはなかった」とスパーズジャパンの会長・石川和彦さんが語る。「我々のミッションは日本でファンを増やすこと。それができなければスパーズの試合を観ることができないという状況だった」

石川さんは、浮き沈みの多いトッテナムを日本のスポーツ漫画のようだとこう例える。「日本のファンは『苦労を乗り越えて成功を掴む』というお決まりのサクセスストーリーに強い憧れを抱く。特に今シーズンのスパーズは「苦労」だらけであり、それを乗り越えてCLファイナルに辿り着いたスパーズに憧れるファンは多いだろう。」

「たしかに最近の若いスパーズ・ファンは、「強いスパーズ」に憧れを抱いてくれている。しかし、プレミアリーグのライバルたちに比べて「強くなかったスパーズ」を応援していた少し前の世代のファンは、Spursy(大切なところで失敗してしまう)によるカタルシスを味わっていた。」

近年、石川さんは「メンバー」の獲得には力を入れず、ツイッターでフォロワーを伸ばすという違う形でファンの輪を広げることに務めている。14万8千のフォロワーを持ってる@SpursJapanは、日本語の公式アカウントを持ってるマンU(6万8千人)、チェルシー(5万3千人)とアーセナル(3万6千人)の合計に匹敵する大きな影響力を持つ。

「新しいサポーターを作るために、既存のスパーズファンに向けて情報発信をしていても意味はない。すべてにファンに面白いコンテンツを発信しないといけない」と石川さんが説明する。「例えば、日本代表の試合をテキスト実況して、スパーズのトリビアやからかい(banter)をツイートに入れたりする。それでより多くのサッカーファンに注目を集める。」

現地マドリードまで足を運ぶ日本人は少ないと思われ、チケットを手に入れたは数十人でもいないだろう。そんな中で両サポーターズクラブが日本で観戦会を企画している。

スパーズジャパンは都内2ヶ所で250人が集まる。LSCJの観戦会は70人分のチケットが5分で即完売となった。LSCJのFacebookページには、日本に旅行に来ている外国人観光客から、「CL決勝を観れるお店を教えてください」という問い合わせが殺到している。

「東京や大阪なら案内できますが、草津や沖縄だと我々も分からない」と田丸さんが笑う。「リバプールのサポーターは世界中にいるのだということを改めて実感します。」

石川さんと田丸さんは試合当日の土曜日の夜に決勝戦のプレビューイベントで共演するが、そのあとは別れて決勝戦を観戦することになる。両グループはフットサル大会などで良い関係を支持していますが、大興奮の決勝戦を共に観ると不快感が生まれる疑念がある。

田丸さんはこう振り返る:「数年前にリバプール対スパーズの試合をリバプールファンとスパーズファンで一緒に観たことがあるのですが、一方は勝者に、他方は敗者になるわけですから、やはり雰囲気が微妙に悪くなりました。試合前に企画を立てた時は『大丈夫だろう』と思ったのですが、やはり合同観戦はやめたほうがいいですね…(苦笑)」

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