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面白ければ年齢は問いませんが……

「漫画が変わるんじゃなく、自分が変わっちゃうからさ」

子供の頃に夢中になって読んでいた漫画も、歳を重ねてから読み返すと、「え? なんでこれを面白いと思ってたんだ私は!?」と驚くことが多い。逆も然りで若い頃にはピンとこなかった青年向け漫画が、年齢を重ねた今では深く感動して涙までながしたりする。
年齢というより、自分の成長や変化によって、物語やキャラクター、展開、さらには絵柄に対する感受性が変わったのだろう。

自分の場合、とにかく登場人物なり物語なり、共感できなかったら面白く読めない。では、どういった話に共感を持つかというと自分の環境&心の距離。(ホラーは別)
今の私なら、とりあえず猫が出てくるドラマなら全て泣ける自信がある。

私は日本のヒューマンドラマや感動させるのが目的の話があまり好きじゃなく、それらが刺さらないのは、長期の海外生活が影響しているんじゃないかと思っている。
日本独特の、「言葉にしなくてもわかるでしょ」的な流れ、空気を読む能力、暗黙の了解で、相手の意図を確認せずに自分なりに解釈し、そのことで誤解やすれ違いを生んだり、些細な悩みを大袈裟に取り扱うストーリー展開にどうしてもイライラしてしまう。基本的に、日本特有のコミュニケーションスタイルや物語の進め方に馴染めない。

「面白ければ年齢は問いません」
という言葉はちょっと、トリッキーだなぁと感じる。
特定の年齢層を対象とした内容では、作品を作る人の年齢が読者との共感を生む上で重要になってきたりする。同年代の感性で描かれた作品は、その年齢層にとってより共感しやすいだろうし、年齢が離れた作者が若い主人公やキャラクターを描くと、彼らの共感を得るのは難しくなるんじゃないかと。逆も然り。

その年代が共感できる面白い漫画を描けるなら、確かに作者の年齢は問題ではない。だけど、私自身はそれができないと感じる。時間が経つにつれ、自分自身が変わり、若者の感覚に共感することが難しくなってしまった。同時に、自分と同じ年代の人々に共感されるようなジャンルは描きたいとは思わないし、エッセイ漫画は今でも続きが読みたいと言ってくださる方々がいるけれど、自分が描いてて楽しくない。誰に求められなくても、どうしても描きたいものしか描きたくない。そしてそれは、いつも主人公がすこぶる若い。
というわけで、結果的に趣味のレベルを超えることができない……自覚があるのです。


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