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雲をつないで

 私は注意深く空気をたぐり寄せ、雲を繋いでそこにブランコをかけました。
空と雲をまぜながら、ブランコは揺れます。
青を吸い込み白を吐く。
やがて周りじゅうが雲になり、静かに地上に降ろされます。

 目が覚めると畳の上、飲みかけのアイスティーはすっかり氷が溶けてしまっています。
壁に掛けた天使の絵は今日はやけに無口で、じっと外を見つめるばかり。
縁側の向こうでは、シジミチョウが庭を横切り、椎の木の葉陰に吸い込まれていきます。

「うん」
あの木にブランコ掛けようか。

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