■日中対抗戦メインイベントバンタム級8回戦
王者：矢代 博斗（帝拳）
VS
挑戦者： ジュン ザオ（中国）

矢代博斗ってどんなひと？

★日本バンタム級13位、WBOアジアパシフィックS.フライ級1位、OPBF東洋太平洋バンタム級14位

所属ジム：帝拳
生年月：1996年12月(27歳)
出身地：東京都荒川区
スタンス：サウスポー(左構え)
身長：164cm
プロデビュー：2019年9月
アマ戦績：94戦75勝19敗
プロ戦績：5戦5勝(5KO)無敗

『相手のペースにはさせない。』
今回の試合相手の印象を聞きました

ー約8カ月ぶりの試合ですが、今回の試合の相手のジュン・ザオ選手の印象は何かありますか？

同門の山口臣馬がやった試合を観たんですが、100で撃ってくる印象ですね。もらっても前に出てくる選手ですし、ペースを作りやすい選手だと思います。僕は打ち合いは好きじゃないですし、距離は保ちつつプレッシャーを与えながら、僕のペースで戦いたいです。

ーずっと外国人選手が相手という、アマチュアエリートの実力者ならではの履歴書ですが、日本人とやりたいという気持ちはありますか？

あんまり気にしてないですね。ランカーだったら誰でもやりたいですし。そもそも試合できることが嬉しいです。強ければなんでも。

人生の転機①
ボクシングの英才教育を受けた幼少期

元々、父の従兄弟の子どもの兄弟たちがボクシングをやってたんです。僕は小さい頃に少年野球をやっていたのですが、当時その兄弟の一人で15歳離れている矢代義光が現役ボクサーで「かっこいいな」と憧れてました。野球はセンスがなかったと思います（笑）
それで小学４年生から日東ジムに兄と一緒に入門して、ボクシングを始めました。

ー名門矢代家！ボクシングファンなら一度は聞いたことがありますよね。少しご家庭について詳しくお伺いできますか？

僕の兄弟は姉と兄がいて、僕は末っ子です。
先に話にでた義光の兄弟に家康、奈津代、由希といて４兄弟がいる家族が父の従兄弟の家族なんです。

ー別々のご家庭なんですね！

そうです。小さい頃からその家族と一緒に住んでて、家にサンドバッグがある環境でした。

ー一緒に！すごいですね。まさにボクシングの英才教育。

そうですね（笑）僕もボクシングやりたいと思っていたし、ボクシングはやらざるを得なかった環境ですね。

人生の転機②大学リーグで創部初の優勝。
当時の戦友の活躍は今でも刺激

高校から家康と義光と由希がお世話になった埼玉県の花咲徳栄高校に進学しました。小学校から徳栄の練習には参加してたんですけどね。
徳栄って平成国際大学のボクシング部と一緒に練習していて、卒業後は平成国際大学に進学する選手が多かったんです。由希と僕もその一人でした。

ー宇津木秀選手（ワタナベ）に堤聖也選手（角海老宝石）も同じ時代で一緒に戦ってましたよね。

そうです。大学は７人制のリーグ戦があるんですけど、その時代は僕も含めて3人がいわゆる常勝メンバーで、あと1人勝てばどの大学にも勝てるという状況でした。僕が大学2年生の時は優勝候補校だったのですが、当時4年生だった宇津木先輩と三代大訓選手（横浜光）の試合で宇津木先輩が負けてしまって、優勝を逃してしまいました….

ー今でもプロで活躍されている面々が関東大学２部リーグで戦ってたんですね…！すごい。

大学３年生の時のリーグ戦、宇津木先輩が卒業して、堤先輩と僕が残りました。今年は難しいだろうと思っていたのですが、まさかの勝利があって、創部初の2部リーグ優勝を果たせました。1部リーグには残念ながら上がれず悔しかったです。でも、そこで一緒に戦ったメンバーが今も活躍しているのを見ると刺激になります。堤先輩はもうすぐ世界という段階ですし。大学時代の仲間の活躍が今でも糧になっています。

人生の転機③
コロナ期間で変わった、ボクシングとの向き合い方

コロナ期間は2年6か月間試合ができませんでした。練習してる時は気持ちが入っているのですが、練習が終わった後は「俺、何しているんだろう」という気持ちに襲われました。
ボクシング辞めて就職しようかなという考えにもなりましたし、実際就職サイトに登録しました。面接の予約までして…。結局キャンセルしましたけど、それくらいボクシングから離れようと考えた時期もありました。１週間ジムワークを休んで、家でゆっくりした時期もありましたね。

ーそんな時期があったんですね…！それでもボクシングを今でも続けているのは…？

１週間休んで、やっぱりボクシングをやりたいという気持ちが芽生えました。あと、ボクシングの考え方が変わったんです。いままで自分が勝てるボクシングが分からなかったんですが、いろんなことを試しました。パンチを貰わないで当てればいいという考え方だったんですが、前に出て当ててパンチを貰わないのが自分にとって一番のスタイルだなという気づきもありました。試合のある選手のスパーリング相手になって実践できましたね。相手には「試合できていいなー」って思ってましたけど（笑）

今後の目標はもちろん世界王者。
その後は別の世界へ…？

ー今後の目標は何ですか？

世界チャンピオンになりたいですね。ボクシングは引退したら離れようと思っています。その後は普通に別の世界で働きたいと思ってます。

ーどんな世界で働こうと思ってらっしゃるんですか？

飲食店をやりたいです。食べ物も好きですし、作るのも好きです。お金がない時期にすき家でバイトしてました。今はやってないですけど、牛丼とか作ってたりしました。堤先輩みたいにすごいのは作れないですよ（笑）

憧れのボクサーはリゴンドー。リゴンドースタイルに攻めを加えて、理想のボクシングに

中学1年生の時からギレルモ・リゴンドー選手が好きです。パンチを貰わないですし、観衆からブーイングがきても勝つために貫いてますよね。リゴンドーのスタイルに攻めのスタイルを入れたら最強だと思っていて、それが僕の理想のスタイルです。今まではリゴンドーの足を意識しすぎていて、アウトボクサーっぽいスタイルでしたけどね。

あるとき、ジムでメキシコのサルサダンスが流行ったんですよ。

ーサルサダンスが流行る…？というのはみんなでサルサダンスやってたんですか？

そうですね（笑）サルサダンスを取り入れた動きがうまくフィットして、カルロストレーナーからも「ヤシロ、うまいよ」と言ってもらえて、練習に取り入れだしました。ホルヘの動きも真似しながら練習してましたね。

ーボクサーのみなさんの今の動きって本当いろんな試行錯誤があってこそなんですね…。

試合前の恒例はスイッチのゲームを１つ購入。
今回はあのスポーツのゲーム⚾

試合前はお風呂に行ったりマッサージに行ったり。地元荒川区にLaLaテラス南千住っていうショッピングモールがあるのですが、酸素カプセルに入ってからマッサージをしてもらったりしてます。お風呂は鶯谷にある萩の湯によく行ってます。そこでいろんなボクサーをよくみるんですよ。キックボクサーも見ます。あと同門の金子虎旦も会います（笑）

ー格闘技ファンにはたまらないですね（笑）他には息抜きはありますか？

試合前になるとスイッチのゲームを１つ買うようにしています。今回は新しいパワプロくんを買いました。やりこんで気分転換にしています。今作から二刀流ができるようになったんですよ。もちろん最高傑作は大谷翔平で。でも大谷翔平を作るのは本当に大変ですね。高校野球で投手にして、プロの世界のストーリーで打撃も上げるって…大谷翔平、大変です。

ーゲームにも本格的に入れ込んでるんですね（笑）ぜひ試合前、大谷翔平を作ってもらって頑張って下さい。本日はありがとうございました！