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大統領選挙に行こう!②

今回はこの記事の続きです。大統領選挙後の様子をお伝えします。

結果を先取りすると、24日の大統領選は野党勢力(旧PASTEF党)のバシール・ジョマイ・ファイが他の候補者に圧倒的な差をつけて勝利しました。
3月26日現在、選挙管理委員からの公式なアナウンスはまだ出ていませんが、ジョマイはおそよ56%の票獲得率と報道されており、このまま過半数が確定すれば決選投票なしで大統領に決まります。

24日夜はホストファミリーとイフタール(ラマダーン中、日没後1食目にする食事。ウォロフ語ではndoguと言います)を食べながら、ラジオで開票の様子を聞いていました。
ラジオアナウンサーが、各投票場所にいるアナウンサーに電話を繋ぎ、投票結果を発表していきます。

戦況は、現政権である共和国同盟の政権維持を図るアマドゥ・バ VS 野党旧PASTEFから出馬のバシール・ジョマイ・ファイの一騎打ちと予想されていました。
実際、ラジオから聞こえる得票数はジョマイとバに集中しています。とはいえ、ジョマイの人気は圧巻で、地域によってはダブルスコア以上の差でジョマイが獲得票数を伸ばしていきます。
開票が進んでいくにつれ、近隣の家々からはジョマイ勝利を確信する賑やかな声が聞こえてきます。

結果、多くの地域でジョマイの圧勝でした。フランスやトルコ、フィンランドなど在外投票でもジョマイが圧倒的人気だったようです。
アマドゥ・バが勝利した地域は、サル大統領の出身地や支持基盤が固いセネガル北東部など、限られた場所だったようです。

街は開票が終わる前から歓声やクラクション、花火の音で溢れていました。不正や汚職まみれのサル政権終焉に対する喜びと、ジョマイ新大統領が導くであろう、明るいセネガルへの祝福の音に聞こえます。単純に、暴れたい人たちもたくさんいたようですが。

開票が終わる前からジョマイの勝利を祝う人々

そんな夜が明けた街は案外普段通り。とはいえ、街を歩いているとジョマイやマッキーの名前が会話の端々から聞こえてきます。
友人たちも、「セネガルは変わるよ」と選挙結果について満足そうに話していました。

投票日から一夜明けた町は静か

25日の新聞は多くの紙面でジョマイ・ファイが一面を飾り、SNSでは、各候補者が彼の勝利に祝福の言葉を送っています。
偶然にも3月25日はジョマイの44歳の誕生日だったようで、マリリン・モンローがケネディ大統領に送った歌をもじった見出しを付けている新聞もありました。セネガルで最も若い大統領の誕生でもあります。

3月25日の左派系新聞Walf Quotidien一面

また、投票率も2019年に行われた前回の大統領選が58.27%だったのに対し、今回の選挙の投票率は68%に上昇したそうです。

こうして、今回の選挙は、長らく市民を苦しめていた現政権が投票という“民主的”手続きによって排され、多くの市民が望む人物が新大統領に選ばれました。
民意が反映された選挙結果になったことはとても喜ばしいことですが、一方で今後どのように政治を行なっていくのか不透明なことも山ほど残っています。

例えば、新政権の掲げる公約の大きな柱として、政治不正や汚職の一掃があります。これはサル大統領もかつて宣言していましたが、公約が守られることはなく、結果として不正や汚職のさらなる蔓延につながりました。また、経済政策の公約としては、旧宗主国であるフランスから自立し、セネガル国民のための資源と利益の創出を掲げています。言葉としては力強く魅力的に聞こえますが、実際に実現可能なのかといった点については現時点では難しいのではと思ってしまいます。
さらに、ジョマイ・ファイ勝利の背景には、市民から絶大な支持を集めていた旧PASTEF党党首ウスマン・ソンコの存在があり、今後彼がどのような役職に就くのかも気になるところです。

就任前から市民の期待が高い分、少しの失敗やスキャンダルで支持率が失墜する可能性も否定できませんが、喜びに包まれた街を見ると輝かしい未来が待っているのでは、と願わずにはいられません。
このまま予定通りいくと、ジョマイ・ファイが新大統領に就任するのは4月3日です。
これからセネガルがどのように変わっていくのか目が離せませんね!

(文責:前田夢子)

※3月26日現在、選挙結果にかんしてまだ正式発表が出ていないため、数字等は現地メディアによるものです

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