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良い絵本、好きな絵本(2023年6月のワーク(2段階))

「この絵本って"良い絵本"?」と聞かれたとき、どう返しますか?

「良い」「好き」

あるレビューサイトを見ると★4.5でした。良い絵本でしょうか。

対象としての絵本を前にして"良い"かどうかを判断するとき、2つの観点で分けた方がよいでしょう。
それが、「良い」と「好き」です。
言い換えるとその本が持つ「客観的特性」と、読み手や絵本を前にしている人の「主観的体験」です。

「良い=客観的特性」は絵本自体に備わっている特徴です。
・心温まるストーリー
・技術の高いイラスト
・今までにない仕掛け
・道徳的な教え
・ユーモアと面白さ
これらが響くかどうかはおいておいて、その絵本に何が盛り込まれているかを客観的に分析したものです。
他の絵本と何が違うの?で表すこともできます。

また、"良い"という言葉で表してはいますが、下ネタ(ウ〇チとか)で子どもたちを引き付けるのも特徴として際立っており、これもやはり"良い"となります。秀でているということ。
つまりここでいう"良い"と「(一般的に?道徳的に?)社会的に良い」とは別ということですね。

一方で、「好き=主観的体験」は絵本を起点にしていつつも絵本自体には依らずパーソナルな体験を表します。
たとえば「絵本を大好きな親に読んでもらった記憶がある」とか「サンタさんにもらった」とか「猫が好きで、この絵本の猫イラストが大好き」とか。絵本のデキが決定打ではなくそれに付随するエピソードが大事となります。

さて、絵本作家ができることは「良い」を目指すことのみです。

「好き」になってくれるかどうかは読み手次第です。

これは仕方ないですね。そういうものです。

とはいえ、好きになってくれるためにはなるべくハイレベルで「良い」を目指した方がよいでしょう。
われわれ絵本作家、がんばりましょーね!

というわけで今回は「良い」にフォーカスします。

「良い」について

「良い」とは「客観的特性」です。
つまり特徴。その絵本に特徴がないとまず引っ掛かりません。
そしてその特徴がフックになって「好き」が呼びこまれます。

というわけでフックをつくりましょう。

フックになりえるもの。

ここでは一般的に考えてフックになりそうなワードを羅列します。

  • ユーモア・楽しさ

  • 感動・心を揺さぶる

  • 視覚的な魅力

  • 教育と学び

  • 表現の新規性

  • 科学と探求

  • スリルと興奮

まだまだありますがこれくらいにしておいて、さて皆さんの作品はどのフックがありますか?どれを意識したものですか?他の絵本とどう違いますか?
(他と比べるなんてつまらないかもしれませんね。じゃあ、大事ですけどここはいったん比較は外して・・・)
つまり、あなたの絵本のとがったところはどこでしょうか。

ある映画評論家の方がおっしゃっていました。
ある映画を指して「ストーリーは特筆するものはないけど、ただ楽しい。作り手はそれを打ち出すべきだとわかっている」。
また別のものを指して「意味がない展開が多いけど、映像表現がとびぬけている」また別のものについて「絵は見づらいけど、物語性が高い」。
これらはすべて「良い」映画の評です。
これらを押し出し、これらを表現している映画だからです。

一般的な観客が求めるものを提供できる、もしくはそれ以上を提供できるのが良いの基準だと思います。
(わたくしでいうと映画シティハンターでゲットワイルドがエンディングで流れてくれさえすれば感涙しますw)


そして何度も書くように、良い絵本を提供したところで、好きになってくれるとは限りません。
これはもう釣りですね。
魅力的な絵本を提示して好きになってもらえるまで、待ち続けましょう!

以下、メンバーシップの皆様へ
2023年6月のワークです。

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