「この指とめよう」という団体はネットの誹謗中傷を抑止出来るのか

昨日(2021/05/25)一部のネットユーザーをざわつかせる発表があったのですが。

 SNSで飛び交う誹謗(ひぼう)中傷の抑止を目指す一般社団法人「この指とめよう」が25日に発足した。代表理事を務めるのはコピーライターの小竹海広さん。ジャーナリストの津田大介さん、相模女子大特任教授の白河桃子さん、ブロガーで作家のはあちゅうさん、若年層を支援するNPO「D×P」理事長の今井紀明さんらがアドバイザーとして参加する。

参加メンバーに関して置いておくとして

参加メンバーにあの人やあの人が入っていて、どうなんだという意見もありますし、私もそう思わないでも無いです。
ただ、ネットで必要以上に攻撃されていた人物もいて、それはそれで無視すべきではないかと。
どんなに腹立たしい人物でも、口汚い罵倒は許される訳ではないのは前提です。
ただ、個人的に不安を抱く要素がいくつかあり、それを綴りたいと思います。

問題は何を誹謗中傷と認定するのか

木村花さんの事件以降、ネットの誹謗中傷に対する視線は厳しくなっています。
先日の伊藤和子弁護士による名誉毀損が認められたのも、その一環ではないかと。
問題は、何をもって名誉毀損や誹謗中傷とするのか。
ネットだけで無いですが、真っ当な批判に対して誹謗中傷を受けたと主張したり、訴訟をちらつかせて、批判そのものを封じ込めようとしている人物も見受けられます。
誹謗中傷だとレッテルを貼り、フォロワーを扇動しリンチを仕掛けるケースも有ります。
「この指とめよう」での判断基準はどうなのか、サイトを確認してみました。

「ABOUT US」に、誹謗中傷の認定に関しての記載があります。

この場合のSNS誹謗中傷とは、差別一般(レイシズム・セクシズム・ルッキズム・エイジズム・障害者差別等)を主に想定しており、その中に含まれない誹謗中傷に類される事案については運営メンバー・アドバイザリーボードによる協議の上で定性的に最終判断を行います。

運営メンバーアドバイザリーボードという聞き慣れない肩書きですが、「この指とめよう」に任命されたメンバーが判断するという事らしいです。
現時点でのメンバーはこの方々。(敬称略。順番はサイトの記載に準じる。)

・津田 大介
・佐々木 俊尚
・浜田 敬子
・白河 桃子
・はあちゅう
・今井 紀明
・やまざきひとみ
・秋本 可愛
・山口 真一

この方々の誹謗中傷の判断能力は論じませんが、重要なのは明確な判断基準だと思います。
現時点のサイトを確認しても、差別一般以外の基準が記載されていません。
個人的には、運営メンバーアドバイザリーボードの顔ぶれよりも、そっちの方が気になります。
何でもかんでもガチガチにルールを決める必要はありませんが、最低限のルールや指標は開示すべきではないかと。
「誹謗中傷は許さない。誹謗中傷と認めるかはこっちが判断する」では、説得力も無いですし、運営メンバーも人間ですので、判断ミスによる暴走も発生かねません。
正直、この運用だと不安感の方が先に頭によぎります。

まあ、現段階では、誹謗中傷防止の広告を出すくらいの活動なので、心配する様な事は無いとは思いますが。
ただ、今後どうなるのかはまだ判断が難しく。
例えば、「この指とめよう」に賛同した人たちが、逆に誹謗中傷認定された人に突撃したりする事を止められるのか。
また、今後運営メンバーアドバイザリーボードの誰かが、失言などで批判が集まった時、公平に批判と誹謗中傷の違いを判断できるのかとか。
失礼ながら、炎上経験者が多い顔ぶれなので、心配の種は尽きません。
杞憂であれば良いのですが。

それでもネットの誹謗中傷は問題である

ただ、私もテキストサイトの時代から長いことやってきてますが、誹謗中傷や罵倒を受けたこと一回や二回ではありません。
中には訴えてやろうと思った時もあるくらいですが、労力に対して得るものが少ないため諦めました。
なので、そんな連中に対する抑止力として、こういう動きは大事だと思います。

ただ、現時点では「この指とめよう」に賛同するつもりはありません。
理由は簡単で「この指とめよう」のメンバーに信用できない人物が居るからですね。(こういう表現でも誹謗中傷と取られると嫌ですが)
なので、しばらくは様子を見て、何か動きがあれば言及したいと思います。
別に「この指とめよう」じゃないと、ネットの誹謗中傷問題に言及してはいけない訳じゃないですしね。

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