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フェイク本と同レベルに堕ちたNHKの取材力 〜フェイク・バスターズの事例〜

今日扱うのは、先日放送された下記の番組です。何やら、香ばしいタイトルですよね。世間に対する何がしかの挑発的意図のある番組ですが、去年くらいから不定期に放送されています。唐突に、新しい回が放送されました。

「“出版の自由”と医療情報」
世の中にあふれる情報の中から“信頼できるもの”を見極めるにはどうすればいいか。今回のテーマは医療情報を扱った「本」について。よく「ネット情報は玉石混交」と言われるが、本の情報はどうなっているのか?実態を取材し、不確かな情報に惑わされないための対策を紹介する。▼「新型コロナワクチン」に関する本を徹底検証▼“科学的根拠が不十分な本”に翻弄された家族を取材。信じた理由とは?▼公共図書館の知られざる苦悩。

NHK公式サイトより掲載 恐らくEPG情報と同一
https://www.nhk.jp/p/ts/XKNJM21974/

先に私の結論を述べておきましょう。

今回の番組内容そのものに明らかに誤情報と断定できる要素は含まれていません。しかし、番組制作におけるプロセスや根拠の明示は極めて不十分。そして、制作者自身の見識・科学リテラシーも論外レベルに低い。世間に一石を投じているようで、結果的にNHKの制作体制もまるでフェイク本と同レベルだと自己アピールするかのような愚劣極まりない番組。

私はいかに科学的根拠を固めて、難解な科学医療情報を伝えるかに、PDとしてもCPとしてもずっと心を砕いてきました。こんな低レベルな裏付け取材で番組を放送したことなど私と私の仲間の間では一度も無かったのですが、コロナ禍以降はこの手の非常に低レベルで危険なニュース・番組が多数放送されています。とにかく、裏付け取材が甘い。どこがどう甘いのか、それの一体何が問題なのかを、今回は詳しく解説します。

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