見出し画像

【能登半島地震】NHK緊急報道の弱体化が顕著 一連の報道への違和感

今年は初っ端から地震・飛行機事故と相次ぎました。まさに、年末年始のような状況で緊急報道を行うためにNHKは存在しているので、面目躍如と言ったところでしょうか?

一部でNHKアナウンサーの津波に対しての避難への呼びかけが賞賛される一方、私は一連の報道を見ていて違和感も抱きました。一般の皆さんからすれば気にならないかもしれませんが、当事者からするとNHKの緊急報道の弱体化を懸念せざるを得ない場面が多くあったからです。

津波への呼びかけに偏りすぎていなかったか?

まず私が指摘したいのは、この点です。私がオンエアを見ていた限り、緊急地震速報の後に大津波警報が発出されてから、NHKはずっと津波からの避難を訴え続けていました。

確かに翌朝、津波被害も報じられていたので呼びかけ自体には価値があったと思います。しかし、震度7のあと断続的に地震が襲う中、家屋倒壊や地滑り、火災に関しての呼びかけも同等以上に必要だったのではないでしょうか?

津波の心配が薄い内陸部の方々が放送によって逆に避難を躊躇い、家屋倒壊や火災に巻き込まれなかったか私は心配です。

もちろん、私が述べているこれは後出しじゃんけんのようなものですが、「大陸から反射してくる津波が襲ってくる」といった形で過剰に津波を煽っていたように感じました。専門家とのトークで、アナウンサーが「反射してくる津波の方が大きくなることもある?」と質問していたあたり、津波に対して相当バイアスが掛かっていたことが伺えます。

緊迫感のある呼びかけがSNSやWebニュースで賞賛されていますが、本当に命を救う結果になったかどうかは検証が必要でしょう。

どこにどう避難すれば良いか、具体的な情報を伝えたか?

続いて気になったのはこの点です。

東日本のときも、高台に逃げるにあたって地滑り等が発生したことが報告されています。尤も、大津波とどっちを取るかは難しく、大川小学校の悲劇などは、地滑りへの過剰な警戒も背景にあるので、何が正解だったかはわかりませんが…

しかし、逃げろと呼びかけても、道路が寸断されていたら困難です。こうした災害時は、どの道路が通れるかの情報も大事なのですが、NHKがそれを伝えた形跡はありませんでした。

トヨタは直後から「通れた道マップ」を公開していましたし、東日本大震災のときもホンダのナビの情報が役立ったことはNHK職員なら知っていると思います。

トヨタのサイトのトラフィック削減のためにも、一部をNHKが転載したり、ラジオニュースで呼びかけるなどの事をやっても良かったのではないかと思います。

発災当日にヘリが飛ばなかったことへの反省は必要

これも苦しい点ですが、輪島の火災を伝える際、NHKは共同通信の映像を使っていたようです。なぜNHKのヘリは出なかったのでしょうか?

そもそも、能登半島では地震が相次いでいた以上、近郊からヘリを飛ばせる体制は必要だったのではないかと私は思います。

加えて、私が調べたところ、発災当日、NHKの取材ヘリの一部は故障か整備不良かで稼働できなかったようです。

16:10に発災となると、日没までに空撮映像を伝送するのは極めて困難だったとは思いますが、報道ヘリの空撮映像は被害状況の把握のためにも重要です。

NHKのヘリが飛ばなかったことについては、原因の究明と再発防止策の整備が必要でしょう。

緊急報道人材の育成を図ることも必要

私たち退職者からすると、「辞めてて良かった」と安堵する思いが半分、「危機にあって手をこまねいていて良いのか」と忸怩たる思いが半分って感じの人が多いでしょうかね?

ただ、私がもし職員だとしたら、直後には出局するか、どのような形で今回の地震災害を伝えるかの方針策定と体制構築をリモートで開始していたと思います。そのためにNHK職員って存在していますから。

今、東日本大震災を職員として経験した人はデスクかCPが多いでしょうけど、兵隊の記者PDは熊本地震に少し関わったかどうかです。緊急報道どころか、新型コロナの影響で外に出てまともに取材したことが無い若手が大半ではないかと想像します。

しかし、それでもNHKの職員には、こんな危機にあって身一つで能登半島に飛び込みたいと思うような血気盛んな者が多数います。それはそれで安全管理や労務管理的に問題があるわけですが、今こそ自分たちが仕事をすべきときだと燃えている若手は多いでしょう。

デイリーの業務は剥がしてでも今回のような現場を経験させないと、南海トラフや首都直下をNHKは乗り切れないと思います。

また、ここらで、あのしょうもないテキストニュースだとかコタツ記事の人員も全部緊急報道に振り向けて、映像で災害を伝えられるように教育することが必要です。どこよりも充実した映像による災害報道プラットフォームとしてNHKが機能して評価されれば、Webの取り組みも継続できるはずです。

最後、渦中のテキストニュースへの苦言になってしまいましたが、こういう災害のときに独自の放送網を活かして映像で伝えるのがNHKに課せられた使命です。FPU網を縮小しCSKの更新をやめて、LiveUで良いんだなんて戯言だと気づいたでしょう、執行部の皆さんも。

NHKが公共的使命を発揮することに改めて期待しています。

もし宜しければサポート頂けると幸いです。取材費の他、Twitterのプロモーション費などNHK健全化の為の取り組みに活用させて頂きます。