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【呆然】NHKの放送事故ラッシュが止まらない

つい先日、NHKスペシャルの放送画面が真っ黒になる放送事故がありました。

これは、担当したディレクターとCP(管理職)が準完登録という完プロ(完パケ)番組への放送時後乗せスーパーの仕様を全く理解せず、不完全なNHKプラス案内テロップを登録した事に起因する事故でした。

放送局に勤めていて、キーもフィルも理解していない者がNHKスペシャルを担当していただけでも呆れるのですが、当のディレクターは事故もどこ吹く風でFacebookで番組自慢に明け暮れていました。

番組担当者と見られるFB 筆者加工

若くて舞い上がっちゃったのかは分かりませんけど、担当したディレクターとCPの制作スキルの低さには定評があったようです。

人為ミスによる事故頻度は前年比6倍に!?

Nスペの事故が起きた準完登録は、試写が原則できません。事故後に出された、ある内部文書には「いつか起きると思っていた」と他人事なコメントが載っていました。

今年度、NHKでは異常なペースでこうした人為ミスに起因する放送事故が発生しています。

メディア総局名義で出された文書にも危機感が滲んでいました。

放送送出等にかかわる業務の確実な遂行について 筆者加工

リードにはこうあります。

2023年度は、わずか2か月で人為ミスによる放送事故が5件も発生。2022年度は計6件なのと比較すると深刻な状況だ。

リード文を筆者要約

人為ミスによる5件の放送事故とは?

その内訳を見てみましょう。

  1. 【編成】全国放送番組のケツが切れて、誤ってローカル番組が放送。国会中継の延伸時に番組登録を削除すべきところを放置。

  2. 【技術】スイッチャ-の誤操作で映像乱れが3回発生。

  3. 【報番】Nスペ真っ黒の件。QRコードのスーパーの登録ミスで1分近く黒い画面が放送。

  4. 【編成】誤って全国放送ニュースが途切れて、天カメ映像を送出。北朝鮮ミサイル関連で休止したローカル番組の措置を失念。

  5. 【技術】ラジオ第一(R1)が1分停波。ラジオ放送設備の鉄塔塗装作業での手順間違い。

どうでしょうか?実は、編成と技術の事故が相次いでいるんです。NHKは全国に「あまねく」放送を届ける事が最大の使命であり、受信料を頂く根拠となっています。

このような事故が相次いでいるのは、もはや公共放送として成立していない事を証明しています。

そもそも放送事故とは?

皆さん、放送事故というとテロップの誤りや一般人の映り込みなどを想像しますよね?あくまで、それらは不体裁に過ぎません。

実際は違います。

原則、今回のように、放送の映像や音声が一定時間途切れたりして、放送内容が伝わらないケースを放送事故と呼びます。

中継のケツが切れちゃったりするのは微妙な所ですが、放送としては枠内ずっと続いているので事故にはなりません。

放送事故というと、放送局的にはかなり深刻な事案なんです。

行き過ぎた働き方改革や中核人材の離脱が事故の根源に

なぜ、こんなお粗末な事故が起きるのか?

まず、こうした重大事故の裏には100倍以上の軽微なミスがあります。私だって放送事故の経験はありませんが、ミスは無数に重ねてきました。

でも、なぜ私が事故らなかったかと言えば、チェック機構がしっかり働いていたからです。

上司のCPがダメでもアナ・編成・技術の人達が常に気を配ってくれていて、事故を直前で防いでくれていたのです。

そうして育った私も、送出時には常に気を張っていて、事故を未然に防ぐ事ができました。

翻って今はどうか?

まず働き方改革が行き過ぎてスキル継承が出来ていませんし、若手の放送をベテランが善意でチェックする事も消えました。そんな事より労働時間のカットだ、と。

また、こうした注意喚起が出されると更なる悪循環が生まれます。事故に気付いても防ぎ切れなかったら責任を問われますし、事故を不体裁に抑えても褒められるどころか、叱責の対象になります。

すると、見て見ぬフリが広がり、更なる事故の連鎖が起きるのです。

かつてあったNHK内の助け合い精神は、前田の人事制度改革で消滅しました。専門性を軽視し、作文と演説だけが取り柄の「活動家」が跋扈するようになり、みんなでミスをカバーし合うなんて児戯のような事とされています。

もちろん、事故が起きづらい仕組み作りも大切ですが、何より大切なのは、職員同士が公共放送の使命達成の為に助け合う風土を再生することでしょう。

ちと真面目な提言でした。

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