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NHKニュースクリップ(2024年3/10号)

就職活動シーズンを前に、各社の初任給アップのニュースをよく見るようになりました。そのうち、個人的に驚きだったのが朝日新聞の高額さです。

上限まで家賃補助をつけた場合と注記はありますが、大卒初任給が東京32万円・地方30万円となっています。しかも、賞与は年4回支給とのこと。NHKの場合、大卒は21万8000円で、家賃補助が本当に限界までつけば29万くらいまで行くこともありえますが、諸々考慮したとき、待遇では明確に負けているでしょう。

各社が初任給アップを謳う中、NHKは受信料ということや、既存の職員とのバランスの観点から簡単には初任給に手を入れることができません。アグレッシブに賃上げしないと優秀な人材の獲得が難しい時代にあって、事業規模も受信料収入も縮小の一途を辿る経営計画を掲げているようでは、一番要となる人材採用でも苦戦するのは明白です。

昔は、番組制作職場に限っては「10年勤めたら業界のどこでもやっていけるスキルを身につけられる」と謳われていました。しかし最近は、業務もかなり緩くなって、スキルも身につけるのが難しくなっています。一般に、新人教育体制が崩壊すると離職が増えると言われますから、せめて育成プログラムくらいは一貫したものを整備して欲しい限りです。

鳴物入りで開始「ニュースーン」パイロット版

2024年4月から始まる「ニュースーン」、3/7に「かみんぐすーん」と題したパイロット版が放送されたので、遅ればせながらチェックしてみました。

まず目を引いたのは、かなりポップな色使いの美術です。LEDのスクリーンに「ニュースーン」と大量に表示されているのは、ある意味斬新だとは思いました。聞く限り、NHKアートではなく、大手広告代理店に委託して美術周りを固めていったとのことで、NHKの伝統とは随分異なる印象でした。

ただ、ビジュアルに対して出演者と内容は追いついていなかったと思いましたね。出演者のアナウンサーと記者いずれにも「やらされ感」と「内輪感」が漂っていました。オープニングのトークで「関係者がいっぱい集まっている」と述べていましたが、リモコンカメラでは振り向いて撮れないのに、視聴者を無視して何を言っているのだという感じです。

内容面は、ちょっとニュースをやったかと思うと、昔ながらのNHKっぽい詰まった画角で見づらい中継があって、あとは番宣の嵐。呆れる声がSNS上には散見されました。

視聴率については、スイッチメディアのTVALを見る限り1%程度。実際、ビデオリサーチのデータもほぼ同じだったとのことです。この時間帯、そもそも高齢者しかTVをつけていないので、ビジュアルや内容がお客さんニーズと乖離しているように思いました

スイッチメディアのデータ

それでも、なぜニュースーンのような番組を構えるのか?それは、再放送ではなく生の情報番組で午後の時間帯を埋めておくことで、緊急ニュースにいつでも対応できるようにするためだと私は見ています。

「何かあったらNHK」にしても、今までは再放送をやっていて当てにならなかったところ、日中の時間帯ほとんど生放送になるわけですから緊急対応力は上がります。「ニュースーン」のタイトル通り、突発ニュースの受け皿として一定のニーズを狙う戦略は正しいでしょうね。

しかし、だったらもう少しニュース感があっても良いと思うのですが、今のところエンタメ寄りに傾いているので、今後どうなっていくのか注目です。

放送されませんが、近いうちにもう1回パイロットが制作されるらしいです。本放送開始までに、もうちょい磨いて欲しいところです。さすがにアーカイブス入れすぎだって。

3.11を前に仮設住宅に関して、NHKの見識疑うニュース

能登半島地震、そして千葉沖でも地震が相次ぐ中、かなり異様な企画がNHKで放送されました。

仮設住宅とは、そもそも雨風をしのぐためにスピード優先で、その他の要素は切り捨てて作られるものです。野晒しと比べてどうか?が大事なのに、あたかも仮設住宅を否定するかのような企画が放送されたことは、個人的には残念でした。もはや、制作者も震災の記憶が全く無いんでしょうね。

この手の企画を見ると、NHKの凋落ぶりが如実に現れていてがっかりします。ロケはまだしも、編集の段階、放送の段階、そしてSNS投稿の段階でもう少し何とかできなかったのでしょうか

元NHK職員のニュースサイト「スローニュース」の波紋

元NHK職員・熊田氏が運営に関わるスローニュースの記事を巡って、NHK局内できな臭い動きが生じています。

デジタル職員と地域職員の実質廃止(内部では、見直しと表現)は随分前から私も伝えてきましたが、現在のNEWS WEBの何を具体的に廃止して、以後どのような扱いにするのか、コンテンツの具体的な方針を伝えたのは初だと思います。

このニュースを巡っては、「時流に反するデジタル施策の後退」という意見が有識者からも出される一方、何には「なし崩し的に始めただけで公共メディアなるものへの具体的なビジョンが一切無く、ただの民業圧迫だから止めて当然」といった批判も根強く、オールドメディア界隈では比較的ホットなトピックです。

私は明確にNHKのWEB進出には反対です。なぜなら、限られたリソースを放送に振り向けない限り、緊急報道にも支障がある事が、能登地震で改めて可視化されたからです。

よって、書き起こしベースの報道サイトへの移行には賛成しています(WEBサイト再構築の経費は莫大ですが)。

実は、局内でもNEWS WEBの整理縮小に対してはポジティブな意見が少なくありません。その背景には、そもそも「ネットワーク報道部」なる存在に対して、放送現場が抱き続けてきた違和感があります。

放送現場から見たネットワーク報道部(メンバーシップ)

皆さんはネットワーク報道部の成り立ちをどのくらい把握していますか?私は実は全然知らず、今回改めて少し取材をして実相が見えてきました。

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