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実は羽生永世八冠?

現在竜王戦のタイトル戦を戦い、通算タイトル獲得数が100に達するかどうか、非常に注目を集めています。

昨年このタイトルを奪取して、史上初の永世七冠として話題になりました。

羽生さんは、すべての永世称号の資格を得たのです。

すべての永世称号。つまり、7個のタイトルの永世称号。

それはそれで間違いはないのです。羽生さんは永世七冠で間違いありません。
間違いありませんが、実はもう一つ永世の称号を得ているものがあります。


■名誉NHK杯選手権者

それは、「NHK杯」です。
日曜日のお昼にNHKで放送されているあれです。

NHK杯、正式には「NHK杯テレビ将棋トーナメント」といいますが(長いので以後「NHK杯」と記載します)、これはタイトル戦ではなく一般棋戦と呼ばれる棋戦ですが(※タイトル戦と一般棋戦の違いについては、気が向いたときに書きます)、永世の資格について規定があります。
通算10回優勝すると、『名誉NHK杯選手権者』の称号が贈られます(長いので、以下「名誉NHK杯」と記載します)。

永世ではなく「名誉」なのですが、意味は同じです。

そしてNHK杯の場合、他のタイトル戦と違い、現役のときに名乗ることができます。
しかしタイトル戦ではないので、この称号を使うのはNHK杯のときのみとなります。

少し分かりづらいですね。
例えば名人のタイトル保持者は、どの棋戦でも「〇〇名人」と言われます。竜王戦でもNHK杯でも○○名人です。
タイトルだから、他の棋戦でもその名称が使われるのです。

一方NHK杯はタイトル戦ではありません。優勝してNHK杯選手権者となっても、それが使われるのはNHK杯だけです。
NHK杯だと「○○NHK杯選手権者」となりますが、他の棋戦では〇〇△段などとなります。
何度も言いますが、NHK杯がタイトル戦ではないからです。

永世・名誉についても同じです。
名誉NHK杯はNHK杯でのみ使われるということです。


■実は八冠、という視点

で、この名誉NHK杯ですが、この資格を得ているのは羽生さんだけです。
羽生さんはNHK杯歴代最多で10回の優勝をしています。
ちなみにみんなだい好きひふみんこと加藤一二三九段は、歴代3位である7回の優勝をしています。

ということで。

羽生さんは永世七冠です。これは7個のタイトルで永世の資格を持っているということです。
それにおまけで、タイトルではない一般棋戦の名誉NHK杯も加えたとしたら、永世八冠ですよ、ということなのです。

ちなみにちなみに、1995年、羽生さんはNHK杯で優勝しています。このとき、タイトル七冠を独占しているときでした。
一般棋戦であるNHK杯をおまけで付け加えたとしたら、当時、羽生八冠でした。

七冠独占や永世七冠は話題になりましたけど、八冠についてはほとんど話題になっていませんね。
まぁ、タイトル戦と一般棋戦の称号を一緒に考えることはありません。それが現在の将棋界ですので、当然のことではあります。これを批判するつもりもまったくありません。

でも、実は八冠だった、という視点で見ても面白いと思うのです。

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