実質初年度とは

藤井聡太六段が"実質初年度"で「対局数、勝数、勝率、連勝数」の年度四部門を独占して話題になっています。
しかしよくよく見ると、だいたいの記事に"実質初年度"とあります。記事によっては1年目とか2年目と書かれてあるものもあります。

そういえば朝日杯で佐藤名人を破って話題になった名人越えは2年目と言われています。

どういうことなん? というお話をします。


■将棋界の1年は4月スタート

将棋の年間成績とは、この4月~3月の年度成績のことです。
最多勝や、最高勝率などの記録はこの年度内の記録です。

しかし、勝率に関しては年間30局以上指した人の成績に限る、というルールがあります。

そりゃそうですよね。
例えば何らかの事情で年間1勝0敗だった人がいたとして、その人がその年の最高勝率です、なんて言ったらしらけます。

まず将棋界の1年は4月スタートであることを頭に入れておきましょう。
で、ここで少し面倒なことが2点あります。

・年度の途中から参戦した人はどうなんの?
・年度をまたいだ連勝記録ってどうなんの?

順番に見ていきましょう。

■10月デビューの扱い

年度の途中から参戦はいろいろ理由がありますが、今もっとも多いのは10月プロデビューの場合ですので、そのことについて書きます。

現在の制度ではプロになるには奨励会三段リーグを勝ち上がるとプロになれます。
そして三段リーグは半年に1回あります。

ってことで、三段リーグを勝ち上がり、4月にプロになる人と10月にプロになる人がいます。
10月にプロになった場合、初年度は半年しかありません。

藤井六段は2016年10月にプロ棋士になりました。
ですので、2016年度の成績は半年しかありません。

で、翌年度に初めて1年間フルに棋戦に出場するわけですが、初めて年間フルに戦いましたっていう年度を、実質初年度と言っています。
(正式な定義はたぶんありません。私の解釈です)

今後何年か経ったあと、藤井聡太さんの1年目ってどんな記録だっけ? となったら、ほとんどの場合この実質初年度の成績のことを指します。
今はまだ活躍期間が短いので正確な1年目の範囲と実質初年度とを区別しているのだと思われます。

■連勝記録について

で、連勝記録に関しては少し違います。
連勝記録は、連勝が止まった年度に記録されます。

藤井四段(当時)が29連勝しました。
2017年度の連勝記録はその29連勝です。
しかし、この連勝街道は2016年に始まっています。
2017年度だけの成績だと、20連勝に満たなかったと記憶しています。

と、いうことです。
年度をまたいだ連勝は、止まった年度の連勝記録として記録されます。
継続中の連勝記録は連勝記録としてカウントされません。

なので、たまに以下のようなかわいそうなことが起きることがあります。

n年度の連勝記録
1位15連勝(継続中):aさん
2位13連勝:bさん
3位……
となった場合、継続中の連勝記録はカウントされませんので、その年の連勝記録はbさんの13連勝です。

で、翌年、先ほど15連勝したaさんが3連勝スタートだったとして、その年度の連勝記録が以下のようになったとします。
1位22連勝:cさん
2位18連勝:aさん
3位……
となったらその年の連勝記録はcさんの22連勝です。

矛盾っていうか、aさんかわいそくない? って話です。
15連勝の時点でその年の最多連勝なのですが、そういうルールなので最多連勝記録が取れないのです。
とはいえ継続中の記録をカウントするのも変な話ですので、仕方ないですね。

■四部門独占が最強の証ではない

最高勝率の人がその年一番強かった、というわけではありません。
すべてのトップ棋士をなぎ倒して圧倒的なトップ棋士にならないと最強だとは認められません(世間的に)。

トップ棋士は、トーナメントの一次予選を免除されたり、ツワモノ集うリーグ戦に出たりして、トップ棋士同士の対局が増えてきます。
そのためトップ棋士は案外勝率低いです。

藤井六段はまだトップ棋士との対局が少ないです。
これからそういう対局が増えてくると思いますのでそうなった時、どこまでの成績を残せるかが見どころです。

来年度も楽しみです。

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ダサブロウ

将棋

初心者向けの将棋コラム。調べれば分かるような将棋界の「数字」や豆知識、個人的な見解を書いていこうかと。 より楽しく観る将になりましょう。 (もちろん指すのも楽しいです!) 私は初段を目指している程度の実力でプロの対局を見ても全く理解できません。それでも面白いんです。
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