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オープンデータ活用研究vol4(京都市オープンデータ編) 京都市おける飲食店の現状、2021年を振り返る。

お疲れ様です。ムロイです。
皆様、いかがお過ごしでしょうか。
3月に入り、もうすぐ桜の季節ですね。出会いと別れの時期でもありますが、これから迎える新しい環境でのチャレンジはドキドキ緊張しますよね。
これからの日本を支える人材は、自分の意志と行動力で未来を切り拓く勇者のような方々だと思っています。私も今年はチャレンジの年と位置付けていますので一緒に頑張っていきましょう!

さて、第1回第2回第3回と国勢調査データセットから見えてくる日本の姿、現状を見てきました。この記事を見ていただいている方は、お時間あるようでしたら以前の記事もご覧になってみてください。

今回から日本の現状を都道府県単位のオープンデータから把握、理解していこうと思います。初回は京都市でコロナ禍でも新しいチャレンジを始めた飲食店や旅館業を取り巻く環境の変化も確認していきます。
各地の事業環境はなんとも厳しい時代を過ごしていますが、地方の事業者にとって経営戦略や施策立案の場面で役立つ情報、特に新しい試みにチャレンジする場合に少しでもリスク低減を図れるように私なりの情報発信していきたいと思っています。


京都市オープンデータ概要

まずはじめに京都市が運営されている"京都市オープンデータポータルサイト"をご紹介します。

京都市オープンデータポータルサイト

京都を連想させる落ち着いた雰囲気の美しいサイトになっています。
観光・産業や文化・芸術など597のデータセットに誰でもアクセス可能な状態で提供しています。このデータセットですが、データ分析の観点ではエクセルフォーマットやCSVフォーマットで100以上のデータセットが提供されていたので、これはありがたいですね。一部のデータはAPIアクセスも可能なようです、興味のある方はぜひ一度このサイトに訪問してみてはいかがでしょうか。


食品営業許可一覧

私の今の興味は飲食業界のDXですので、真っ先にこちらのデータセットにアクセスしました。この食品営業許可一覧は、食品衛生法第55条第1項の規定に基づき営業許可を受けている施設の一覧情報になります。

食品営業許可施設一覧について(令和3年6月以降)

分析対象のデータセットは、エクセルファイルになります。
この執筆時点では、過去分で一番古いデータが令和3年6月のもので、最新は令和3年12月となり合計して7ファイル(7か月分)のデータを早速ダウンロードしてみました。興味のある方はぜひご一緒にお手元にもダウンロードしてみてください。

この2021年6月~12月という対象期間は、コロナのデルタ株が猛威を振るっていた時期とも重なります。あの時に京都市の飲食店経営者の判断は一体どうなっていたのでしょうか。詳しく分析していきます。


分析用データセットの作成

ダウンロードした計7ファイルをまずは1つにまとめて、7か月間全体でのデータセットを作成しました。エクセルでの作業はコピペで面倒だと思うのですが、私はPythonで作業していますのでコード一発です。分析業務を行うすべてのビジネスパーソンの方々は、Pythonデータ分析スキルを身に着けることを推奨いたします。

京都市 食品営業許可一覧(対象期間:2021年6月~12月)

全体で3,142件のデータが収録されています。各月時点で許可の下りたお店からの許可一覧とのことで、ざっとデータを眺めてみた感触にはなりますが、おそらく各月に重複はないものと思われます。

許可開始日を軸に申請数が多い日順にソート

分析用データセットから許可開始日を取得し、許可件数をまとめてグラフ化してみました。日付軸で申請多い順にソートしています。
最初に見たとき、いわゆるパレートの法則に則ったチャートになっているなぁと感じましたが、細かく見ていくと、

許可申請の多かった日TOP5

2021年7月1日と10月1日で許可件数全体の27%(866件/3,142件)を占めていることが分かります。ということでこの特徴に注目して分析アプローチしていこうと思います。


特徴データから見えること

まずは2021年7月1日のデータで、飲食店許可申請の多かったものを業種軸で見てみます。

2021年7月1日に許可されたのお店の業種分類

飲食店営業が391件、魚介類販売業が87件、菓子製造業が1件だったということが分かりました。デルタ株流行の以前から申請を行い、営業許可された飲食店がこんなにもあったことが嬉しかったです。魚介類販売業が多いのは意外でしたが、京都市という地域特性からよく考えてみると、飲食店や旅館業に卸したりするお店が多いのではないかと推測します。こちらも間接的にコロナ影響があったでしょうから、重ねて嬉しいデータとなりました。

次に2021年10月1日のデータを見ていきます。

2021年10月1日に許可されたのお店の業種分類

こちらは、菓子製造業が289件、食肉処理業が23件、飲食店営業が19件、豆腐製造業が15件、清涼飲料水製造業が11件、密封包装食品製造業が11件、麺類製造業が9件、食肉製品製造業が4件、食用油脂製造業が2件、乳製品製造業、冷凍食品製造業、添加物製造業、そうざい製造業がそれぞれ1件となっています。

この時期の京都市はデルタ株の猛威がピークアウトしていた時期になります。申請から許可までどれくらいのタイムラグがあるのかは分かりませんが、いずれにせよなかなか厳しい状況なのは変わりません。そのような環境下でも新規営業開始、事業継続など様々な事業者の思いが感じ取れるデータとなりました。特に菓子製造業においては、許可時点はこれから迎える紅葉シーズンの観光客需要や年末に向けては歳末需要などの取り組みが期待される時期でもあったかなと思います。許可を得て気持ちも新たに、よし!頑張ろう、と思われていたのではないでしょうか。
最近では外食機会が減って、家では少しリッチな内食を、という消費トレンドもありますので、デリバリー含めたECのチャレンジ機会をうかがっている事業者はぜひ一度具体的な検討を始めていただくことをおすすめします。私の友人が経営するスイーツ店ではコロナ禍でもEC通販にシフトすることで逆にコロナ前より売上を伸ばすことができているようです。


今回は以上です。
いかがでしたでしょうか。京都は学生時代の修学旅行に始まり、その後も旅行や仕事の都合などで何度も訪れた、とても思い出深い場所です。少し裏の路地に入ったところで隠れた名店があったり、祇園を訪れる海外からの観光客で賑わっていた風景などが思い返されます。きっとまた行きますし、その時は以前の活気を取り戻していることを心から願っています。

次回は、同じく京都市オープンデータポータルサイトより、旅館業のデータセットから現状などを見ていきたいと思います。飲食店同様にとても厳しい経営環境なので、私の情報発信が少しでもお役に立てれば幸いです。
もし何かほかにもこういうデータセットでとか、地元のデータを見てほしいとか、リクエストがあればお願いします。

ではまた次の機会に!


(おまけ)地方事業者向け気になるニュース紹介

今回も私が個人的に気になるニュースをピックアップしています。
地方事業者の目線で役に立つ情報を中心にご紹介です。

抽出期間:2022/2/27~2022/3/12
ニュース転載元:EnterpriseZine(エンタープライズジン)

JDMC、2022年データマネジメント賞を決定:農林水産省、Zホールディングス、カインズ、リテールAI研究会、NTTコミュニケーションズが受賞

私が2022年1月よりスタートさせたこの執筆活動は、この記事にかかれているようなデータドリブンな経営手法を地方の事業者にも還元していきたいと心から想ったことがきっかけとなっています。インターネットの世界では圧倒的な差が生まれてしまっていますからね、社会課題だと思っています。

エクサウィザーズと日本製鉄、AIで製鉄熟練作業を効率化

日本の地域産業のもう一つの側面に"現業忙しい問題"があります。経営者は現場マネジメントが気になり新たな戦略や施策立案に割ける時間がありませんし、営業や製造部門はお客様対応や納期に追われています。この問題を解決するための一つの手段はデータ分析であり、データ分析のアウトプットでこの記事のようにAIに行けるんですね。はじめの一歩を踏み出せるかどうかが実はポイントです。踏み出してもらうためにはゴールを知っている人たちからのリアルな情報発信しかないと思っています。

AIと自律走行で収穫量を自動予測 GINZAFARMが新ソリューションを発表

この記事も農作業の効率化にAIを活用している例になりますが、これを実現するために必要なのはやはりデータなんですね。農作物の収穫までの工程のあらゆるデータを取得して解析することができるからAIモデルができるわけです。ほとんどの事業者はデータがない、もしくは紙で管理しているということになりますので、デジタル化が最近IT業界では取り組み課題、話題トレンドになっています。

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