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鳥谷敬選手の選球眼の凄さをさらに深堀してみる

阪神タイガースでの16年の選手生活を終えて2020年はどこでプレイをするのか注目の鳥谷選手。

選球眼の良さは球界トップレベルです。

通算1046四球は歴代14位です。

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鳥谷選手の凄いところは、1000四球以上ある選手の中で唯一本塁打が150本以下であることです。
本塁打が少ないバッターで四球が多いということは選球眼が良いかつ粘れるバッターであることです。
四球が多いバッターは同時にホームランバッターであることが多いことが下の引用からわかります。
上位7位は本塁打全員450以上の4番バッターです。
長距離打者は打たれないようにボールを振らせるように配給を組んだり、そもそも勝負をしなかったりすることが短距離バッターより多いので四球が増えやすいのです。
しかし、鳥谷選手は短距離バッターでありながら1000四球を超えることは凄いのです。

1位 王 貞治 2390四球(4.96打席) 2831試合、868本塁打、長打率.634
2位 落合博満 1475四球(6.28打席) 2236試合、510本塁打、長打率.564
3位 金本知憲 1368四球(7.63打席) 2578試合、476本塁打、長打率.503
4位 清原和博 1346四球(7.00打席) 2338試合、525本塁打、長打率.520
5位 張本 勲 1274四球(8.73打席) 2752試合、504本塁打、長打率.534
6位 門田博光 1273四球(8.09打席) 2571試合、567本塁打、長打率.529
7位 野村克也 1252四球(9.56打席) 3017試合、657本塁打、長打率.508
8位 福本 豊 1234四球(8.21打席) 2401試合、208本塁打、長打率.440
9位 山本浩二 1168四球(8.06打席) 2284試合、536本塁打、長打率.542
10位 谷繁元信 1133四球(9.12打席) 3021試合、229本塁打、長打率.368
11位 立浪和義 1086四球(9.24打席) 2586試合、171本塁打、長打率.408
12位 榎本喜八 1062四球(8.48打席) 2222試合、246本塁打、長打率.458
13位 山内一弘 1061四球(8.39打席) 2235試合、396本塁打、長打率.521
14位 鳥谷 敬 1046四球(8.27打席) 2169試合、138本塁打、長打率.395
15位 中村紀洋 1030四球(8.78打席) 2267試合、404本塁打、長打率.469
16位 土井正博 972四球(10.14打席) 2449試合、465本塁打、長打率.481
17位 福留孝介 971四球(7.86打席) 1866試合、280本塁打、長打率.495
18位 長嶋茂雄 969四球(9.50打席) 2186試合、444本塁打、長打率.540
19位 大島康徳 964四球(9.57打席) 2638試合、382本塁打、長打率.458
20位 T. ローズ 958四球(7.64打席) 1674試合、464本塁打、長打率.559
※引用:https://www.baseballchannel.jp/npb/76665/2/

選球眼が一流の鳥谷選手がどれだけ良いかをデータで深堀していきます。

四球、選球眼、三振に焦点を当ててみていきます。

16年間の試合数と四球数

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上グラフは試合数(青)と四球数(オレンジ)の棒グラフです。

1年目から100試合以上出場しています。
2年目の2005年から2017年まで140試合以上とほぼ全試合出場している鉄人でもあります。
また、2005年から2017年の間は平均60以上の四球で、特に2013年は100四球以上を出しています。
四球が多いですが、本当に選球眼がいいのか別の指標で見てみます。

IsoPとIsoDで見る選球眼の良さ

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上のグラフはIsoPとIsoDです。
IsoPはパワーを表す指標になります。
横軸は年度、縦軸はIsoP、IsoDそれぞれの数値になります。

IsoPを見るとやはり短距離バッター

IsoPの値を見ても平均0.15を下回ります。
0.15を超えている年は2009年、2010年のみです。
IsoPは0.15で標準レベルですので、パワーは失礼ですがないのです。

BABIPからも短距離バッターがうかがえる

下グラフのBABIPを見ても短距離バッターであることが表れています。
年によって、上下しておりますが平均は約0.318です。
BABIPはインプレー打率と言われ、本塁打、三振除いて打った打球がフェアゾーンに入った確率を表します。
一般的には0.300に落ち着きます。
バッターの場合は投手と比べ、数値のブレが多いので複数年の平均を見なければなりません。
鳥谷選手は通算約0.318でやや高めです。
BABIPが高い選手は内野安打が多い足の速い選手などの短距離バッターに多い傾向があります。
例に挙げるとヤクルトの青木選手も高く、2019年は0.319です。

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BB/KとPA/Kでも見えてくる選球眼の良さ

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BB/Kは三振とフォアボールの割合です。
1より多ければ三振よりフォアボールの比率が高いです。
鳥谷選手の場合は長距離バッターではないので、ストライクゾーンやまともに勝負されやすいです。
そのため、若手のころは1を切っていました。
しかし、2011年からは1以上で2013年に至っては1.6と三振よりフォアボールが1.6倍多いので、ものすごい選球眼を見せつけています。
勝負されやすいのにフォアボールの割合が三振より高いのは選球眼良い証拠です。

PA/Kは三振するまでにかかる打席の数です。
こちらも若手のころは4以下と低かったですが、2005年以降は5以上で全盛期の2013年は8を超えております。
三振を取るのに5打席以上かかるので、2試合に1回の割合でしか三振をしてくれません。
簡単に三振せずボールを見極める力があることがわかります。
BB/Kと合わせてみれば、三振せずフォアボールまで粘る力を持っています。
とてもいやらしいバッターです。

IsoDでみる選球眼の良さ

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IsoDを見てみましょう。
IsoDは四死球率を表します。
デッドボールが含まれますが、デッドボールはフォアボールに比べ極端に低いのでデッドボール部分は無視しても大丈夫です。
一般的には標準レベルで7~8%(0.07~0.08)、10%(0.10)以上で一流レベルです。
鳥谷選手は通算9%(0.09)と標準レベル以上の数値です。
2011年以降は平均0.10以上と一流レベルなのです。
データでも一流の選球眼ということがわかります。

年度     IsoD
2004    0.069
2005    0.065
2006    0.073
2007    0.077
2008    0.084
2009    0.080
2010    0.072
2011    0.095
2012    0.111
2013    0.120
2014    0.093
2015    0.099
2016    0.108
2017    0.097
2018    0.101
2019    0.091

2019年は出場機会も四球も減りましたが、IsoDは0.09と標準以上で選球眼は良いことがうかがえます。
いやらしいバッターとしてまだ活躍できる可能性は高いです。

まとめ

鳥谷選手のデータから選球眼の良さを深堀りしてみました。
鳥谷選手は一流の選球眼ということがデータからはっきりとわかりました。
選球眼が良く三振が少なく粘り強い、いやらしいバッターでした。

鳥谷選手の通算データ(有料)

今回分析にした鳥谷選手の通算データが欲しい方は以下から購入できます。

下記9種類のセイバーメトリクス指標も算出されているデータになります。

OPS:得点力
IsoP:パワー指標
IsoD:選球眼
BB/K:選球眼
BIBIP:運の要素を取り出す指標
RC27:この選手が9人いたとして、1試合の得点能力に換算した式
AB/HR:1本塁打打つまでにかかる打数
PA/K:三振するまでにかかる打数
PS:機動力とパワーを兼ね添えてるかを見る

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