データ戦略の会社が考える「データ分析・AIのビジネス導入に必要な4つのポジション」

分業チームの必要性

AI.Accelerator座長の進藤さんのツイッターで以下のような内容がありました。

私の認識でも、データ分析・AI導入は、今の時点(2019年4月時点)では多くの企業に取って「チーム戦」を取らざるを得ないと考えています。それも、「社内の人間・社外の人間を含めたワンチーム」によるチーム戦です。

サッカーをするならゴールキーパー、ディフェンダー、ミッドフィルダー、フォワードが必要なように、自社にいる人材で賄えるならよいし、そうでないなら社外のチームと協力する必要があります。そして、もっと細かくみていくと、センターバックとサイドバック、ボランチとトップ下が違うようにさらなる専門性があります。

スーパープレイヤーであれば、どのポジションでもある程度はこなせるでしょう。しかし、求められる専門性やスキルが異なるので、それぞれの分野で得意な人を揃えた方がチームとしてのパワーは上がります。データ分析・AI導入でも、これと同じ状況であり、かつ1つの社内チームで全て揃えるのがベストとは限らないと考えています。

AIやデータ分析に必要な4つのポジション

大まかに分類すると、AIやデータ分析導入に必要なチームメンバーのポジションには以下のようなものがあると考えています。

・アナリティクス・ディレクター:事業成長につながる分析テーマを定義して、データサイエンティストとタスクを設定する。データサイエンティストにとってストレスない会話が可能。

・データ・サイエンティスト:モデル精度の向上や、新たな手法を調べて実装する。機械学習・深層学習の理論や実装に詳しく、技術トレンドをウォッチしている。

・データ・エンジニア:自社が保有するデータの設計やテーブル構造を理解し、既存システムからのデータ抽出、テーブルの設計・メンテナンス、前処理などを担当

・開発・実装エンジニア:自社サービスやシステムに組み込むことが決定されたアルゴリズムをサーバー上で実装し、実際の機能として組み込むための開発(と保守・運用)を担当

ちなみに、アナリティクス・ディレクターについては詳細を以前書きましたので、こちらの記事もご参照ください。

勿論、ケースバイケースな側面はあるので、必ずしもこの4ポジションが必要というわけではないですし、複数ポジションを1人が担当したり、2人で1つのポジションを担当するようなこともあり得ます。

そして、よりプラクティカルな論点としては「上記のポジションのうち、社内で持つべきポジションはどこなのか」「どういった順番で揃えていけばよいのか」という論点があります。私の考えでは以下の通りです。

どの順番で揃えていけば良いのか?

AIやデータ分析技術を、機能としてサービスや業務プロセスに組み込む場合は、以下のような流れを踏むことが多いです。

1) 課題把握: アプローチすべき課題を決める
2) 関連技術調査: 利用できる技術や分析アプローチを洗い出す
3) 分析トライアル: 実際にデータを使い意味ある結果が出るか試行錯誤する
4) 開発と試験導入: 実際に動くものを開発して導入する
5) 改善: 導入結果を踏まえて、効果を上げるための改善と検証を繰り返す
6) 拡大展開: 導入領域を拡大する

この場合、各フェーズにおいて、必要になるポジションをマッピングすると下図のようになるかと思います。

* 色付きセルはそのポジションの人の登場シーン、◯印はそのポジションの人が特に頑張る(活躍する)シーン。

上の4ポジションが、そのままの順番で登場しています(アナリティクスディレクター、データサイエンティスト、データエンジニア、開発・実装エンジニア、の順番)。よって、

・まずはアナリティクス・ディレクターを獲得し、
・関連技術を調べ始めるまでにはデータ・サイエンティストを、
・分析トライアルを実施するときまでにはデータ・エンジニアを、
・開発と試験導入をするときまでには開発・実装エンジニアを、

という順番で揃えていくのが良いのではないかと考えています(基本的には、アナリティクス・ディレクターがプロジェクトにおいて必要なスキルセットを設定し、それに合った人や会社を探してリソースを獲得していくイメージです)。

 実際は、既存サービスやシステムのデータを保守運用している人がデータエンジニアのポジションを兼任することも多いです。よって、「データ・エンジニアはいるけど他のポジションがいない」というのはよくあるパターンかと思います。

どのようにして揃えていくべきか?

これまでに相談を受けて来た中で、一番多いのは「4ポジション全部、人がいない」という悩みです。エンジニア全般の需給が逼迫している中で、特にアナリティクス・ディレクターには、他のエンジニアポジションと技術的な会話をしつつ、ビジネスサイドと事業上の課題やアプローチ方法の会話をしないといけないため、両方が出来る人材となると見つけるのが困難です。

私がこれまでに担当して来たプロジェクトの経験では、

アナリティクス・ディレクターの上に位置付けられる事業マネージャー(スタートアップであればCEOやCTO、大企業のプロジェクトであればプロジェクト全体の進行に責任をもつマネージャー)が、「信頼ができ、安心して任せられる人材や企業を、社内外問わずにアサインすること」と、「信頼できるメンバーに継続して担当してもらうこと」が、大きくその後の結果を左右するように思います。

事業としてコントローラビリティを担保しておきたい戦略レイヤーは自社で保有すべきで、事業マネージャー(CEOやCTO、プロジェクトマネージャー)は自社で揃えることが通常です。

その後、事業マネージャーが信頼できるチームを構築する必要がありますが、実際に大手企業のIT開発でも、開発・保守運用や機能改善は特定の外部パートナー企業が継続性を持って担当していることが多く、各ポジションを担う人は「社内か社外か」というよりは「信頼できて、継続してお願いできるかどうか」という視点でチームが組成できれば、良い結果に繋がると思います。

ただし、取り組みたいデータ分析やAIの技術開発が、経営戦略上重要である場合は、社内でポジションを揃えた方が良い場合もありえます。特に技術系の企業に多いですが、アナリティクスやアルゴリズムを事業の重要な競争力とする場合、ディレクターとデータ・サイエンティストは自社で保有すべきで、例えばGoogleの検索アルゴリズム開発のように、社内ですら一部のエンジニアしか情報を持たせない場合もあります。

また、一部特定のスキルが足りない場合は、経験者に外部アドバイザーとして入ってもらうという形式もあります。例えば、AIのモデルは作れるがその分野のデータの実務経験が乏しいので手法の妥当性について相談に乗って欲しい、開発・実装は出来るが要求されるセキュリティ水準が高いので経験者にアドバイスが欲しい、という場合などです。

特に、全てのポジションが常にフルタイムで稼働し続ける必要があるかというと、必ずしもそうではない(フルタイム1人分ほどの業務量が発生しない)こともあります。自社のビジネスのフェーズに合わせて、会社が持つ縁の中で信頼できるチームを作りながら、上記の 1) から 6) までのプロセスが全て回せるような体制を作っていければベストだと思います。

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