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なぜ今、クラウドコンピューティングからエッジコンピューティングなのか

今回はマーケティングはお休みで、DataStrategyのデータ戦略・AI導入戦略でも話題になる話です。

CBinsightでもWhat is Edge Computing?という記事が上がっていたので、いよいよ世間的にもメジャーなトピックになって来た感があります。

何らかのデータの処理をする際には、どこの計算機でその処理を実施するか、を決める必要があります。例えば、工場にセンサーを貼りめぐらせてデータを収集して異常の検知をするケースを考えると、収集されたデータを常に分析して故障かどうかを判断し続ける処理を行う必要があります。

この時、「中央集権的」、つまりクラウドに一つの計算サーバを設置し、そこに各センサーからデータを送信する形をとると、大きな工場では通信のための費用が膨大になったり、通信による遅延でリアルタイムの異常検知が出来ないという状況が発生したり、セキュリティ上ネットワークを設置するのが難しい場合もあったりします。

エッジコンピューティングは、処理を分散させる、つまりデータを収集する場所と処理する場所を近づけるような「分権的」なネットワーク技法のことを指します。例えば先ほどの工場のセンサーの例では、センサーからデータを送信するのではなく、センサー内部で異常かどうかの計算をし続けることになります。こうした技法が注目をあびている背景として、構造的には以下のような内容が先のCBInsightの記事では挙げられています。

・コンピュータの速度の上昇(3D) > 通信速度の上昇(2D)
・クラウドの利用には利用量に応じたコストがかかる
・通信時間を待てないアプリケーションが増えている(e.g. 自動運転)

これらは、予測し得る未来においては、技術が発達しても変わらない構造的な部分です。そのため、この構造が変化しない限りはエッジコンピューティングの重要性は高まっていきます。

エッジコンピューティングのメリットとしては、次のような内容が挙げられています。

・データ処理・分析のリアルタイム化・高速化
・データ管理のコスト削減
・ネットワーク通信量の削減
・遅延の削減による、アプリケーションの効率化

そのため、適用業界としては

・交通(特に自動車):自動運転
・ヘルスケア:ウェアラブルデバイス
・工場:ワークフローのリアルタイムの変更、作業用のロボティクス
・農業・スマート農業:気温などのモニタリングと自動操作
・エネルギー・グリッドコントロール:石油・ガスのモニタリング

といった内容が挙げられていますが、個人的には、業界ごとに捉えるだけでなく用途ごとに捉えることも重要ではないかと思います。例えば、エッジコンピューティングが必要になりがちな状況として

・リアルタイムで処理し続けなければならない
・そのため、ログを送信し続けるとデータ量が増大しやすい
・ログ収集後の判断と応答速度が、アプリケーションや利用シーンにおいて重要

という共通点があるかと思います。自動車に限らず何らかの機器の運転自動化系の取り組みや、業界に限らずあらゆる場面での異常検知(工場内部や社会インフラの異常検知、監視カメラからの異常行動の検出など)では上記内容があてはまるかと思います。

エッジコンピューティングが必要になる場合、エッジの端末は計算リソースが潤沢ではないので、エッジの端末でどのように現実的な処理を行うかという問題もあります。計算機の配置とそれを繋ぐネットワークの設計といった、計算処理の設計図(アーキテクチャ)を描くのは、演算処理・ネットワーク・セキュリティなど幅広い専門知識が必要で難易度が高いです。

AIやIoT、それに関連して工場の異常検知やオペレーションの自動化がブームですが、投資した後で「こんなはずじゃなかった」とならないためにも、背景をきちんと捉えて自社が実現したいことの難易度を事前に判断することが重要ではないかと思います。

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